そう思ったのが、今回ご出演いただいたYさんとパートナーのMさんのお部屋です。
なぜなら、天井をぐるーっと囲む大規模かつスタイリッシュなキャットウォークがあったから。
名前(職業):Yさん(映像制作)、Mさん(美容関係)、猫のういちゃん、おんちゃん場所:東京都杉並区
面積:60.59㎡
購入金額:2,700万円
リノベーション費用:1,200万円
住宅の形態:マンション
築年数:54年
「猫たちにとって幸せな環境にしたかった」と話す、YさんとパートナーのMさん。
棚としても使えるようにデザインしたというキャットウォークは、コンクリート剥き出しのインダストリアルなお部屋に馴染んでいる上に、木の暖かい雰囲気が加わってなんとも居心地がいいのです。
人も猫も気持ちよく暮らせる住まいは、どのようにして生まれたのでしょうか?
お気に入りの場所
居心地のいいソファのあるリビングYさんのお気に入りの場所は、リビング。主役は、「FLANNEL SOFA」の「SIESTA」です。
「仕事から帰ってくるとこのソファに座ってNetflixを見たり、映画を見ながらポテチを食べたりしています。
この『FLANNEL SOFA』は猫の爪が入らない生地を使っていたことと、部屋に合うデザインだったので買いました。
商品名が『昼寝』という意味の『SIESTA』なので、頭を置いて寝られるデザインになっているんです。
ソファって高さがありすぎると部屋が狭く見えますが、これはちょうどいい高さで、座ったときの硬さも絶妙なんです」(Yさん)
部屋全体が見渡せる、キッチンダイニングパートナー・Mさんのお気に入りは、キッチンダイニング。
ダイニングテーブルに合わせて置いたベンチに座って過ごすことが多いそうです。
「ここに座ると部屋全体が見渡せて、猫たちの様子が感じられるんです。メイクもここでします」(Mさん)
ベンチはインターネットで買った作家もので、座面を開けると中が収納に。
その反対側に置いてある椅子はアンティークのチャーチチェアやイームズのリプロダクトなどさまざま。メルカリや通販などで買ったそうです。
「部屋が近代的すぎるので、少しアンティークの要素を加えたかったんです。実家にアンティークの椅子がたくさんあったので、この家でもアンティークの椅子を使いたいという思いがありました」(Mさん)
この部屋に決めた理由
ペット可、50㎡以上の広さ、リノベーションできる中古物件であること以前は東京・信濃町の賃貸物件で猫と一緒に暮らしていたYさんとMさん。
住宅ローン控除や将来的な資産価値などのメリットを考えるようになり、1967年に建てられたこの中古物件を購入。リノベーションして、2年前から暮らしていらっしゃいます。
「僕は個人事業主で毎年確定申告をしているんですが、家賃を経費計上している中で、その経費が『もったいない』と思うようになったんです。
前に住んでいた信濃町の家は家賃が10万円ちょっと。4,000万円の家を買おうとローンを組むと、だいたい月10万円だと知って、それだったら早く家を買おうかなと。
中古物件をリノベーションしたいと思ったので、何社か検討した中からワンストップでお願いできる『リノベる。』さんに決めました。リノベーション空間の体験型ショールームがたくさんあって、リノベーションしたときのイメージがしやすかったのも決め手でした」(Yさん)
おふたりが暮らしているのは、中野に近い杉並エリア。この辺りでいくつか内見をされたそうです。
「実家が近所にあり、この周辺は親しみがあったので希望のエリアとしてお願いしました。
条件は『ペット可』、住宅ローン控除を受けたかったので『50㎡以上の広さ』、『壁をぬいて大きなワンルームにしやすい間取り』。その条件に合ったのがこの家です」(Yさん)
リノベーションのポイント
スペースを有効活用できる小上がりもともとは2LDKだった間取りを、「ワンルーム+ウォークインクローゼット+ストレージ(収納)」にリノベーション。
玄関には土間もつくり、リビングの一角には小上がりも。
小上がりは寝室兼収納として活用しているそうです。
「ふたりで旅行に行ったホテルに小上がりがあって、いいなと思ったので、自宅にも取り入れることにしました。
寝室がないので小上がりにマットレスを敷いて寝て、来客があるときはマットレスをストレージにしまって広く使っています。収納もできてスペースを有効活用できるんです」(Yさん)
躯体あらわしとキャットウォークは必須天井を躯体あらわしにすることとキャットウォークをつくることを第一希望として、デザイナーさんに相談。そうして現在の部屋ができあがりました。
「コンクリ打ちっぱなしの部屋は冷たくなるので、木は絶対入れようねとふたりで話していました。
あとは、『猫と共存』がテーマでしたね。猫が暮らしやすい環境に、とは意識していました」(Mさん)
「今後この家を売ることになったとき、次に住む人が猫を飼っているかわからないので、キャットウォークは棚としても使えるようにしました。
仕事用デスクの延長でキャットウォークに繋がっていて、家の中で浮かないようにつくっています。
躯体あらわしはリノベーションの費用削減にもなるし、ある程度おしゃれだし。
剥がしてみないとどんな表情になるかわからないのはリスクでしたけど、黄色い糊のあとが出てきていい感じでした。この天井の感じはこの年代(1960年代)にしかなくて、木をはめてつくっているらしいんですよね」(Yさん)
残念なところ
窓が変えられなかった「窓はマンション全体で管理されているものなので、リノベーションでは変えられませんでした。謎の換気口があるんですよ。
でも、今度マンション全体の工事があるので、そこで変えられることになりました」(Yさん)
お風呂が狭い「お風呂は躯体の中につくられていたため移動もできず、広くもできませんでした。
せめて見た目だけでも広く感じられるようにガラス戸(LIXIL)にしています」(Yさん)
お気に入りのアイテム
モールテックスのダイニングテーブルダイニングキッチンのテーブルは、Yさんが「絶対使いたかった」というモールテックスです。
「天板は『Laughing Gate』、脚は『toolbox』で買いました。
toolboxでもモールテックスの天板はつくれるんですが、このサイズはなかったので別々でお願いしたんです。
旅行に行ったときに入った料理屋さんがモールテックスのテーブルを使っていたので、うちにも入れたいなと思っていました。
天井の駆体あらわしに合わせて、キッチンもダイニングテーブルもグレーにしています」(Yさん)
ハーマンミラーの「セイルチェア」Yさんが最近買ってよかった!というのが、仕事用のデスクで使っている、ハーマンミラーの「セイルチェア」です。
「これを買うまではパシフィックファニチャーのアメリカのアンティークチェアを使っていたんですが、仕事で長時間座るので買い換えました。
ヘッドレスト付きとどっちを買うか迷ったんですが、デザイン的に圧迫感が出るかなと思って、ないタイプにしました。背面がおしゃれだから気に入っています。
『セイルチェア』は座り心地がいいので、これに変えてから座っていられる時間が長くなったんですよ」(Yさん)
手描きの「やもり」の絵細かいタッチが目を引くヤモリの絵も、Yさんのお気に入りです。実はこれ、Mさんが描いたオリジナルの作品。
「恥ずかしい!(笑) 趣味で描きました」(Mさん)
便利なキッチン家電家電好きなYさん。キッチン家電も種類豊富にお持ちでした。
「鶏の胸肉をおいしく食べたくてBONIQの低温調理器を買ったんですが、これはすごくいいです!
鍋の中にこれとお湯を入れておくと低音調理ができて、鶏の胸肉がしっとりしておいしくなるんです。
他に持っているキッチン家電の中でよく使っているのは、『Instant Pot Nova Plus』という電気圧力鍋です。
炒め物から蒸し料理、チャーシューや角煮もおいしくできます」(Yさん)
センサーで開くゴミ箱「前はフタが上に開くタイプを使っていたんですが、上にものがあると当たってしまうのがストレスでした。でも、これは横にスライドして開くので使いやすく、気に入っています」(Mさん)
このご時世、箱を触らず開くところもいいですよね。
AQUA(アクア)の冷蔵庫グレーを基調としたスタイリッシュなキッチンに自然と馴染んでいるのは、アクアの冷蔵庫。
「真四角のデザインがこの部屋に合っていて、気に入っています。このサイズ感で質感がマットなのはアクアしかなかったです」(Mさん)
暮らしのアイデア
リビングにはものを置かない「リビングにはものを置かないようにしています。趣味のものはストレージに収納して、生活感をなくしています」(Mさん)
ちなみに、キッチン下の引き出しは収納になっていて、食器類や調味料などをすべて収納しているそうです。
そのほか、水切りカゴも生活感が出やすくなるのでシンクには置かないようにしていて、食器類は洗ったらすぐにしまうのだとか。
色を統一する「躯体あらわしのコンクリートと黄色い糊の色に合わせて、コンセントなどをグレーに、家電は黒に統一しています。畳の色もグリーンはやめました」(Yさん)
洗濯はクローゼット内で完結させる「ウォークインクローゼットの中に洗濯機を入れて、そこで洗濯関連は完結させています。
洗濯物は乾燥機にかけ、乾燥機にかけられないものはウォークインクローゼットの中のアイアンにかけて干しています。
ウォークインクローゼットと土間は天井がつながっていて、湿気がたまらないようにしています」(Yさん)
これからの暮らし
「今後、家族が増えるとこの間取りでは狭いので、引っ越すかもしれません」(Yさん)
「家の中をどうアップデートするか、効率的に暮らすにはどうかすればいいかを毎月ふたりで話し合っています。
最初の頃は変えたいところがいろいろあったのですが、毎月話し合っている甲斐があって、最近はいい感じです」(Mさん)
ペットも大切な家族である以上、人も猫も快適かつ幸せに暮らせる家をどうつくるかを考えていくことはとても大切なことですよね。
コンクリート躯体あらわしの部屋はとかく無機質になりがちですが、キャットウォークやアンティーク家具などがあることで暖かみもあるバランスのいい雰囲気を感じました。
今後、ご家族が増えて新しい家に移り住んだとき、おふたりはどのようなお部屋をつくるのでしょう。そのときはまた取材させてくださいね。
Photographed by Kenya Chiba
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