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女優・宮下かな子さんが10年後も手放さないモノ

2021/03/08 21:30 投稿

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10年という月日が経つと、いま住んでいる部屋も、立場や環境も大きく変わってきます。ただ、たとえ環境が変わっても「これだけはずっと持っていたい」というモノが、ひとつはある……。

そこで、さまざまなジャンルで活躍する方々に「10年後も手放さない」思い入れのあるモノを、31×34.5cmという限りのある『ROOMIE BOX』の中に詰め込んでもらいました。

なぜ、「10年後も持っている」と考えるのか―――。大切に持ち続けるモノについて語る姿から、その人の暮らしが徐々に見えてきます。

女優 宮下かな子

1995年7月14日生まれ。福島県出身。舞台「転校生」(2015)でデビュー。ドラマ「チャンネルはそのまま!」(2019)「女子グルメバーガー部」(2020)、映画「曇天に笑う」(2018)「居眠り磐音」、「人間失格 太宰治と3人の女たち」(2019)、舞台 劇団た組「私は私の家を焼くだけ」(2020)など出演。2021年3月12日(金)に映画「ブレイブ -群青戦記-」が公開予定。

Instagram:@miya_kanako
Twitter:@miyashitakanako

10年後も手放さないモノ

ふたりの妹からもらった手作りのお守り

妹からもらった、手作りのお守りです。

私、妹がふたりいるんです。いまも一緒に暮らしているくらい、仲が良くって大好きなんですよね。このお守りは、私が中学生の頃にバレエコンクールへ出場することになって、そのときに渡してくれたもの。仙台に1~2泊ほど遠征する予定で、それまであまり家を空けたことがなかったものですから、泣きながら送り出してくれたことを覚えています。

家にあった布と綿で作られていて、中には手紙が入っている。この刺繍は、母親が手伝ってくれたのかなぁ……ふたりの思いがこもっているのが伝わってきます。中の手紙はもうこの先ずっと読めないですね。

妹たちとは仲が良すぎて……というより私が妹のことを大好きすぎて(笑)。誕生日やクリスマスなど、記念日にはよくプレゼントを贈り合っています。とくにイベントがなくても、「似合うと思ったから」と靴下やお菓子などちょっとしたものを贈り合うこともありますよ。

このお守り、布が色あせてる様子からしても年月の長さが見えますよね。もうこれは、捨てられないです。私が今でもこのお守りを大事にしていることは、妹たちもわかっているとは思うんですけど……でも、あげた本人たちは「いつのだっけ?」って、あんまり覚えてなかったりするのかな。

感情を書きとめる日記帳

小学生の頃から、ずっと日記をつけています。

「半分人間」のモチーフが好きなんですよ。ケンタウロスとか人魚とか、半分が人間でもう半分が動物になっているモチーフ。小さい頃の夢に「馬人間になりたい」って書いたくらい、大好きなんです。

ディズニー作品の『ファンタジア』ってご存知ですか? あの作品に出てくる馬人間が大好きで。同じように人魚も大好きなんですよね。この日記帳も、たまたまロフトで見かけたときにビビッ!ときて、その場で買っちゃいました。やっぱり、特別感のあるデザインだと気持ちも高まりますよね。

少し前までは毎日欠かさず日記をつけていたんですが、最近は特別なことがあったときにつけるようにしています。

日記をつけるようになったきっかけは……小さな頃、福袋が好きだったんですよね。小学生の頃に買った福袋の中に、ほかの文房具と混ざってノートが入っているのを見つけて、妙に惹かれてしまって。それ以来ですかね、書くようになったのは。上京してからも定期的に書いています。

あ! 日記をつけるようになったのは、小さい頃に見ていたアニメ『とっとこハム太郎』の影響もあるかもしれません。いま、思い出したんですけど……ハム太郎の飼い主である女の子・ロコちゃんがいつも、話の終わりに日記をつけながら「明日も良い日になるよね、ハム太郎!」って言いますよね。あのシーンを見ながら、日記をつけることに憧れていたのだと思います。

日記の中身は、とても人様にはお見せできません。家族にだって見せられないくらい(笑)。

気持ちや感情を吐き出すために書いているので、あまり自分で読み返すことは少ないかもしれません。ただ、お芝居で「この感情はどうやって表現すればいいだろう?」と悩んだときに、たまに過去の日記を読み返すとヒントが書かれていることもあって。過去の自分に助けられることも多いんです。

日記をつけることで、感情の引き出しを増やす

「過去の葛藤していた心情を、そのまま作品に乗せられたらいいのに」と思うこともあります。それを思い出すためにも、日記帳は気持ちの引き出しになっている大事なもの。

単純に一日の出来事を記録する、というよりは、渦巻いた感情を書き連ねている感じというか(笑)。なぐり書きのような部分もあったり、書いた時の感情が字に乗っているのが伝わってきたり、泣きながら書いたんだろうなってわかる部分もあったり。読んでいると、いろんなことを思い出しますね。

そんな自分が嫌になって、前までの日記帳を捨ててしまったこともあったんですよ。いまとなっては、「もったいないことをしたな」って後悔していて。とっておけばよかったなぁ。

生きていると毎日いろいろな感情がわいてきますが、「いつかこの気持ちが報われたらいいな」という思いで、女優をやっている面もあるのかもしれません。

茨木のり子さんの詩集『自分の感受性くらい』

小さい頃から読書が大好きなんです。図書館に通うのにハマって、それ以来ずっと。

月に1回くらい、おじいちゃんと図書館や書店に行く機会もありました。大学も国語国文学科に通っていたので、文学小説を読むのが習慣になり、そこからどんどん読む分野が広がっていきましたね。

茨木のり子さんの詩集『自分の感受性くらい』は、古本屋さんで見つけて手に取ったもの。前からずっとチェックしていた本が状態も良く手頃な値段で売られているのを見たら、「買いなさい」って言われているみたいで、ついつい買ってしまうんですよね。

茨木のり子さんの詩を読むと、ほかの誰でもない、自分自身に言われているように感じられて、ビビッときます。

本のタイトルにもなっている「自分の感受性くらい」という詩は、「ああ、自分ってダメだなあ」って落ち込んだときに読むと、原点回帰できるんです。初心を思い出して、目の前のことに丁寧に向き合おうと思えます。お母さんに叱られてるような感覚に近いかもしれません。

自分が仕事をしていくうえで、いちばん大事にしたいことが書かれているんですよね。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
人のせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

茨木のり子『自分の感受性くらい』(花神社/2005年)より引用

この部分、特に響きます。自分に苛立ったり、上手くいかないなと思ったときにこの言葉に触れると、人のせいにしてはいけないなと思えるんです。自分の感受性や心が乾いていることに気付かされるというか……。うん、茨木さんの詩は、ぜんぶ好きです。

仕事の経験を積んでいくにつれて、どこか初心から遠ざかっている感覚があって。でもこの本は、仕事を始めたころのわくわくした気持ちに、グイッと引き戻してくれるような気がしますね。なんというか、自分の中でいちばん大事にしたい「芯」の部分という感じがします。

お話するのが苦手で、思ったように言葉を伝えられないのがもどかしく感じるときもあるんですけど。できるだけ丁寧に、気持ちが伝わるようにしたいと常に思っています。台詞の語尾や役の人間性を、言葉から丁寧に読み取れる女優さんになりたいです。

女優 宮下かな子の10年後

着実に、いろいろな経験を積み重ねていって、それをしっかりお芝居に落とし込める女優になっていたいなと思います。

私の憧れる素敵な女優さんは、普段から丁寧に生活されているなと感じることが多いんです。その姿を見習って、私もさまざまな感情と向き合いながら、良いことも、悪いことも、ちゃんと受け止めながら前に進める女性になりたいな。

積み重ねてきた経験や背景を、表情に反映させられるような女優になりたい。それが、今の私の強い思いです。

Photographed by Kaoru Mochida

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