新しい施設と古くからあるショップとが混在し、人で賑わう下北沢の魅力を楽しみながら静かに暮らせる住みやすい街です。
その住宅街の一角にある、築90年の2階建ての古民家をシェアして暮らす宮地さんと谷口さん。
名前(職業):宮地健太郎さん(広告代理店)、谷口さん(メーカー)場所:東京都世田谷区代田
面積:60㎡+庭
家賃:12,5万円
築年数:90年
宮地さんは以前、建築男子たちがリノベーションして暮らす一軒家「三茶ハウス」の記事に出演してくださいました。
あれから3年が経った今、三軒茶屋を離れ代田へと引越し。
会って2回目で同居を決めたという谷口さんと、またまた面白そうな物件で新しい生活をスタートしていたのでした。
お気に入りの場所
ふたりの好みがいい具合にブレンドされたリビングおふたりの住まいは2階建ての古民家で、玄関を開けると土間があり、1階にリビング、宮地さんの寝室、キッチン、水回り、庭、2階に各々の居室が1部屋ずつ。
大家さんの息子さんが建築士であることから、室内は入居前にリノベーションされていたそうです。
渋いグリーン色のカリモクのソファに座って、天井に付けたプロジェクターで映画鑑賞をしたり、レコードを聞いたりできるリビングが宮地さん、谷口さん共通のお気に入りの場所です。
「居心地がよくて、リラックスできるので気に入っています。
もともと押し入れだったところの白い壁にプロジェクターでYouTubeやNetflixを映して映画を見たり、食事をしたり。近所に住んでいる友達が遊びに来ると、ここでテーブルを囲むことも多いです」(宮地さん)
「音楽が好きで、映画を見ない時はレコードを聞いています。リビングに置いてあるレコードはほとんど僕が集めたものです。
花や写真はミヤケン(宮地さん)のものなので、リビングはお互いの好みがいい具合にブレンドされている空間だと思います」(谷口さん)
丸鏡を飾った、2階の個室(宮地さん)「この家のいいところは、シチュエーションに応じて部屋を移動できること」と話す宮地さん。
落ち着いた雰囲気の1階のリビングとは違い、明るいリラックス空間として気に入っているのが2階の個室(3畳)。
DIYで壁を作り丸鏡を飾った白を貴重とした空間は、日当たりがよくてとっても明るいんです。
「日中ここで過ごすと気持ちいいですよ。夜は間接照明にすると落ち着いた空間になります」(宮地さん)
宮地さんのこの部屋は階段を上がってすぐのところにあり、もともと壁や扉はありませんでした。
そんな中でもプライベート空間にするために、透け感のある白い麻の布をかけたそうです。
「ここにも壁を付けようかとも思ったのですが、圧迫感があるので風になびく麻の布にしました。
旅とインテリアが好きなので、ウェグナーと柳宗理の椅子、モロッコのスツールやラグ(ボ・シャルウィット)、台湾で買った鉢など、色々な国のものをトーンや色味を和室にあわせながら置いて楽しんでいます。
新型コロナの影響で家にいる時間が長かったので、メリハリを作ろうと、渋い床材を机にして書斎的な空間も作りました」(宮地さん)
自作の本棚がある1階の寝室(宮地さん)1階にある3畳ほどの寝室も、宮地さんのお気に入りの場所です。
「寝室も白をベースにしています。ベッドフレームは無印。脚の高さやヘッドボードなども選べるので使いやすいです。
本棚は自作で、一番高さのある本が収納でき、なおかつベッドと同じ横幅に作りました。材料は方南町のビバホームや、渋谷の東急ハンズで買うことが多いです」(宮地さん)
寝室の柱の照明は宮地さんが付けたお気に入りです。
好きなものを詰め込んだ自分の部屋(谷口さん)谷口さんのお気に入りの場所は、宮地さんの部屋の隣にある2階の自室。広さはおよそ6畳で、奥に縁側があります。
宮地さんの自室は2部屋に分かれていましたが、谷口さんはこのひと部屋に集約。棚や椅子の緑色がアクセントカラーになっています。
「生活の中心に音楽があるので、この部屋には趣味の音楽を詰め込みました。
スーパーカー、andymori、Mr.Children、Thee Michelle Gun Elephantなど、好きなアーティストのスコアや雑誌なども買い集めています。
オザケン(小沢健二)が好きで、もともと床の間だった場所にポスターやTシャツを飾っています。Tシャツはメルカリで買いました。
最近、このコーナーに間接照明をつけたんですけど、ライティングすると気分が上がってお気に入り度がさらに増しました。
フェス用に買った椅子に座りながら、『このアルバムいいよなぁ〜』って、CDを物色する時間が好きです。
CDはメルカリやココナッツディスク池袋店でよく買います。好きな音楽はモノで持っておきたいですし、DJコントローラーで編集することもあるのでCDがいいんですよね」(谷口さん)
縁側奥の書斎スペースではPC作業をしたり、勉強をしたりするそうです。
井戸のある庭リビングに続いて、おふたりが共通で気に入っているのが庭。家庭菜園ができるような園芸コーナーと、井戸もあります。
「ロードバイクに乗るので、庭で洗車することがあります」(谷口さん)
「大家さんから庭を好きに使っていいと言われているので、『緑でも育てようか?』って話したまま、気付いたら1年経っていました。
今は大家さんが育てていたローズマリーなどが育っています」(宮地さん)
この家に決めた理由
図面を見て一目惚れしたこの部屋と最初に出会ったのは宮地さん。
三茶ハウスを出て、ひとり暮らし先を探しているときに「東京R不動産」に勤めているご友人がこの物件を教えてくれたそうです。
「今から1年くらい前に、『ルームシェアできるくらいの規模でいい感じの家があるよ』と友達が教えてくれて図面を見せてもらい、一目惚れしました。
2軒隣に大家さん、隣に建築士の息子さんが住んでいて、息子さんから『この家をR不動産で貸し出してくれないか』と依頼があったそうで。
要所要所に古い部分も残っていますが、入居した時点で床は張り替えられていましたし、土間もきれいになっていて、水回りも新しくなっていました」(宮地さん)
三茶ハウスに慣れすぎて普通の家に住みたくないという気持ちがあったと話す、宮地さん。この家に住むと決めてから急遽、一緒に住んでくれる人を探し始めたそうです。
「僕の趣味がDIYだと知っている知人から『古着屋をオープンするので棚を作ってくれないか』と頼まれたんです。人手が足りなかったので会社の後輩に手伝いを頼んで、その時に一緒に来たのが谷口くんでした。
そこで棚を作りながら、『こういう物件があるんだけど一緒に住んでくれる人いないかな?』って、やんわり話したんです」(宮地さん)
「当時、僕は会社の寮に2年くらい住んでいて、そろそろ出たいなと思っていたタイミングだったので、この家の話を聞いて面白いなと。
ミヤケンとは会ってまだ2回目だったんですけど、話を聞いてすぐに住むことを決めました」(谷口さん)
初めて会ってから一緒に暮らし始めるまで、わずか2ヶ月というスピード感! 知り合って間も無く、同居することに抵抗はなかったのでしょうか?
「学生の頃にバックパッカーをやったり、三茶ハウスに4〜5人で住んでいたりしたので誰かと一緒に過ごすのは苦じゃない、むしろ大歓迎なタイプなんです」(宮地さん)
「僕も会社の寮が合宿所みたいな感じだったので他人と住むことに慣れていましたし、ミヤケンはバックパッカーとして世界一周をしたり、三茶ハウスに住んでいたり、尊敬できる面白い人だと思ったので、不安より興味が優って一緒に住みたいと思いました」(谷口さん)
ふたりの共同生活が始まって1年、住み心地は最高だそうです。
「築90年の物件なので柱にビス打ちをするなど簡単なDIYはしていいと言われていて、玄関の靴棚や自転車置き場など、ポイントポイントで痒い所に手が届かない場所はDIYをして、住みやすくなってきました。
大家さんとの関係もよくて、季節ごとに果物を持ってきてくれたり、元旦にはお汁粉を作って持ってきてくれたり。ビールや手作りマスクを差し入れてくれることもあって、ご近所づきあいが良好でめちゃくちゃ居心地いいです」(宮地さん)
谷口さんがつくったというトイレの棚
「今までDIYはしたことがなかったので、ミヤケンがリードして図面を引いて、最低限必要な棚をパパッと作ってくれるのがすごく頼もしかったです!」(谷口さん)
残念なこと、気になるところ
冬は寒くて夏は暑いところ趣のある築90年の古民家。リノベーション済みとはいえ、気になるところはないのでしょうか?
「隙間風が入ってくるので、冬は寒くて、夏は暑いんです……」(宮地さん)
「台風の時も窓が外れるんじゃないかっていうくらい、ガタガタいってました」(谷口さん)
外から色々な生活音が聞こえる「この辺りに住んでいる人の通勤ルートなので、その足音や、夜は酔って歌っている人の声とか、スケボーの音が聞こえます。
笛と掛け声が聞こえて何かと思って2階から顔を出したら、お神輿が目の前を通っていくこともありました。
いい意味でも悪い意味でもいろんな音が聞こえるんです」(宮地さん)
「小学校の運動会の掛け声や太鼓の音が聞こえてきたりして、心地よくもあります」(谷口さん)
お気に入りのアイテム
自作の押し花の作品(宮地さん)「植物が好きで、生花を押し花にした自作の作品を飾っています。中に入っているのはスネークヘッドで、このウネウネ感が気に入ってるんです。
以前から持っている額に合う押し花を作ろうと思って、本やインターネットを見ながら勉強して押し花を始めました。
押し花にするプレス機を買うと高いので、ホームセンターで板と全ネジを買ってきて作りました。
板と板の間に専用のシートと新聞紙を敷いて、中に花を入れてプレスすると押し花ができるのが楽しいですし、額装すると一気に存在感が出るんです。
今後、これを作品化、シリーズ化できたらと思っていて、今はミモザを押し花にしています。手を動かすのが好きなんですよね」(宮地さん)
愛用のカメラと撮りためた写真(宮地さん)「大学で街づくりについて勉強していたこともあって、いろんな街を見るために大学を1年休学して海外に行きました。
そのときに『きれいに写真が撮れたらいいよなぁ』と思ってカメラを始めたんです。最初はデジタルカメラ、社会人になってからフィルムを始めて、今はデジタル、中盤、フィルムの3台のカメラを使っています。
オールドレンズはボケ具合が面白かったり、デジタルみたいに綺麗に写らないところが面白いので、変換アダプタを使ってデジタルカメラにつけて撮影しています。
家にあるのは卒業旅行で北欧を回っていた時の写真が多いですね。去年はコンテストに応募して、旅行の写真で賞ももらいました。
気に入った写真は大きくして、部屋に合いそうなものは額装して飾っています」(宮地さん)
まだ結果は出ていないそうですが、現在ランドスケープをテーマにした写真コンテストに応募中とのこと。結果が楽しみですね。
三茶ハウスにいたときに譲ってもらったラジカセ(宮地さん)「三茶ハウスに知らないおじさんが急に来たことがあって(笑)。その人は居酒屋をやっている人で、『店を畳むから好きな備品を持っていっていい』と言われて、もらったのがこのラジカセです。
カセットもラジオも現役で使えるので今も使っています」(宮地さん)
小沢健二とFishmansのポスター(谷口さん)「オザケンのファーストシングルのポスターはメルカリで買いました。孤高の詩人という感じがしてかっこいいですよね。
Fishmansのポスターは、『君は正しい、僕も正しい』というメッセージが入っているところが気に入っています。
このメッセージが入っているのは、このポスターだけなんです。ヤフオクで探して、最近やっと手に入れました」(谷口さん)
フェンダーのテレキャスター(谷口さん)「キャンディアップルレッドという色で、オザケンに憧れて買いました。ネック材などが違いますが、ポスターで持っているものと同じギターです。
好きな曲をコピーしたり、macbookに繋いで遊んだりしています」(谷口さん)
カレー作りにハマって買ったスパイス(谷口さん)「自粛期間中にカレー作りにハマって、新大久保でスパイスを買っています。ハマるととことんやっちゃうタイプで、チキンカレーばっかり作ってますね」(谷口さん)
スパイスを入れているケースは、新大久保の100円ショップで買ったそう。使いやすいのでケースもセットで買うのがおすすめとのことです。
panpanyaさんの漫画(谷口さん)洗濯機の上のホワイトボードには、かわいいイラストの落書きが。最近買った漫画『グヤバノ・ホリデー』(著:panpanya)に出てくるキャラクターで、こちらも谷口さんのお気に入りなんだとか。
「panpanyaさんの描くキャラクターがかわいいんです。作品自体も小説みたいな雰囲気を持っていて、読んでいて面白いです」(谷口さん)
暮らしのアイデア
布はいろんな使い方ができる布を上手に活用していた、おふたりの部屋。
「リビングの壁に飾っているのはハンカチ(黒坂麻衣さんの作品)を木工ボードに貼ったものですし、階段にのれんがわりに掛けているのはフィンランドのマリメッコ本社で買った端切れです。裏側は缶バッチで止めています。
無機質なものや見せたくないものを隠せるので布を多様しています。簡単に安く手に入るし、いくらでも加工できるので便利ですよ!」(宮地さん)
ディスプレイは椅子を有効活用する「座るだけじゃなくて、ちょっとした物を置くのに椅子を活用しています。床に置くより断然すっきりするんです」(宮地さん)
家具の高さや導線を意識して、部屋を広く見せる「部屋の端には高めの椅子を置いているのですが、そうすると目線が奥の扉ではなく、その前で止まるので広く見えます」(宮地さん)
「導線になる通路側に背もたれのあるソファを置いてみたら圧迫感が出たので、置く位置を変えました。
テーブルや椅子も置く場所を色々模索して、部屋全体が広く見えるような今の配置にたどり着いたので、色々試してみることは大切ですね」(谷口さん)
家具は安くなっているタイミングで賢く買う「書類やペン類など小物入れとして使っている美容室のワゴンや、傘立てにしている桶などは長野県諏訪市にある『リビルディングセンター』で買いました。どう使うか考えることも楽しいですね。
リビングのカリモクのソファはメルカリでセットで5万円でしたし、赤い椅子は『toolbox』が年に1回やるガレージセールで1脚2,000円で買ったものです。
リサイクルショップなどは定期的にチェックしているといいものがありますよ。
特に今はインスタのストーリーで最新情報が流れてくるので、よくチェックしています」(宮地さん)
これからの暮らし
もうしばらくはふたりで暮らし、更新の時期が来たらその後どうするかを考えたいと話す宮地さんと谷口さん。それまでは手付かずになっているところを変えていきたいそうです。
「キッチンは乱雑さが残っているので、見て楽しくなるような場所になるよう徐々に変えていきたいですね。あと、ゆくゆくは庭で野菜を育ててみたいです」(宮地さん)
「部屋に緑色の家具が多いですし、ミヤケンの影響で植物に興味が出てきているので、部屋に植物を飾りたいと思っています」(谷口さん)
アートが好きで写真やDIYが得意な宮地さんと、音楽が好きで料理が得意な谷口さん。
「ふたりで暮らすと化学反応が起きて楽しい」と話すおふたりはそれぞれが得意なことを生かして、唯一無二の空間を作り上げていました。
同居生活が続く中でこれからどんな化学反応が起きるのか、ますます楽しみですね。
Photographed by Kaoru Mochida、Kentaro Miyaji(2枚目)
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