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ベッドは機能的に自作する。建築家夫婦の寝室は、暮らしやすさまでを考え抜かれた設計だった

2020/08/26 14:00 投稿

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特集「たのしい眠り」では、熱帯夜でも快適な睡眠をとるための方法を探求しているROOMIE。
マットレスなどの寝具はもちろんのこと、見た目にもリラックスできるインテリアや、眠りにつくのが楽しみになる小物も、質のいい睡眠の大事な構成要素。
そんな“たのしい眠り”の秘訣を、部屋づくりの達人である「みんなの部屋」出演者に聞きました。

Photograghed by Kenya Chiba

いまから3年ほど前「みんなの部屋」に出演いただいた、泉さん・直子さん夫婦。

現在は直子さんの地元である京都で、2歳になるお子さんと3人で暮らしています。

名前:小笹泉さん 奥村直子さん
職業:建築家(「IN STUDIO」主宰)

ワンルームDIYが参考になる。暮らしを手作りで組み立てる建築家夫妻(荻窪)|みんなの部屋 - ROOMIE(ルーミー)

Photograghed by Kenya Chiba

取材当時住んでいた東京・杉並区のお部屋では、ダイニングテーブルと肩を並べて設置されていたベッドスペースが印象的でした。ワンルームでありながら空間を区切り、収納としての機能も持たせるDIYのアイデアは、真似したくなった方もきっと多いはず。

さらに、空間を最大限に活用する自由な発想は、建築家という職業ゆえ、他の方のお部屋にも……。

Photograghed by Daisuke Ishizaka

ひとり暮らしからふたり暮らし、家族暮らしまで幅広く手がける建築家夫婦のリノベーションを、今回は“寝室”に注目して3つご紹介します!

①リビングの中にある寝室

Photograghed by Kenya Chiba

場所:東京都杉並区
面積:32㎡ ワンルーム
家賃:85,000円
築年数:築40年

お子さんが生まれる前にご夫婦が住んでいた杉並区のお部屋は、32㎡のワンルーム

寝室とリビングを分けるだけの部屋数がない中、工夫してベッドスペースを仕切り、オンとオフを棲み分け。同時に「寝るだけだと機能的でない」ベッドを、収納として活用する実用性も兼ねていました。

高さ74cmほどの棚で囲ったベッドゾーン
Photograghed by Kenya Chiba

Photograghed by Kenya Chiba

角材を組んで天板を載せ、マットレスを置いたベッドを囲むように、腰高の棚を設置。

高さはダイ二ングテーブルにぴったり合わせ、ベッドで起き上がったときに外が見えすぎず、かつちょうどいい“こもり感”が感じられる絶妙な高さにしてあるのだそう。

キッチン側の棚は、食材や食器などの収納になっているという抜かりなさです。

写真提供:小笹泉さん

出産後は、テーブルのあった場所をベビーベッドに改造し、親子3人川の字で一緒に寝られるようなつくりに。

ワンルームでありながら空間に役割を持たせ、暮らしの変化に合わせて部屋もフィットさせていく術には、さすがの一言!

②23㎡をフル活用するためのベッドスペース

Photograghed by Daisuke Ishizaka

建築事務所「IN STUDIO」を経営している泉さん・直子さんご夫婦。機能的で暮らしやすい設計は、もちろん自宅以外の場所にも。

以前ROOMIEで紹介した漆原正貴さんのお宅も、実はご夫婦が監修したお部屋のうちの一つ。

名前:漆原正貴さん
場所:東京都世田谷区・三軒茶屋
面積:23㎡
家賃:8万9000円
築年数:12年 マンション
(取材当時2016年の情報)

1000冊の本と暮らす。ワンルーム賃貸で大胆にDIY(三軒茶屋)|みんなの部屋 - ROOMIE(ルーミー)

ミニマルながらに機能的なつくりのワンルームの中で、なんといっても特徴的なのがベッドスペース。ここにもご夫婦の、限られた空間を最大限に活用するためのアイデアが隠れていました。

Photograghed by Daisuke Ishizaka

ベッドフレームの周りを背の低い本棚がぐるりと囲み、さらにベッド下にも収納スペースが。

「収納スペースの少ないワンルームでも、本をたくさん収納したい」という部屋の主人の願いを叶えるべく考案された設計は、なんと1,000冊の本を収納できているというほど! これがワンルームとは、にわかには信じがたいです……。

Photograghed by Daisuke Ishizaka

さらにベッドサイドを斜めに設計して余白を持たせることで、ベッド横をサイドテーブルがわりにも、ちょっと腰掛けるスペースとしても使えるようになっているんだとか。

「狭いからこそ必ずでてくる課題を、機能的に作り尽くしたのが、この漆原さんのお宅です。

特にベッドはかさばってしまうものなので、できるだけ機能性のある物体にしようと設計しました」(泉さん)

③シンプルで落ち着いた“寝ること”に特化した寝室

写真提供:小笹泉さん

場所:京都市左京区
面積:80㎡
築年数:築33年
寝室の広さ:4.5畳

最後は、そんなご夫婦の現在の寝室をご紹介。今年6月から施工をはじめたという中古の物件で、京都ならではの風情を感じる佇まい。

寝室は4.5畳のスペースにシングルベッドとダブルベッドを繋げて配置。計約2.4mの幅のあるベッドを、端から端までめいっぱいに使ったレイアウトです。

コンパクトがゆえのメリット

写真提供:小笹泉さん

寝室自体がコンパクトな分、窓もベッドも大きく感じる上に、エアコンがすぐに効くというメリットも。

また、寝室に余計なものを溜め込まなくなるため、寝室が寝るためだけの純粋なスペースになるんだと泉さんはいいます。

「寝室って多分、もともとは布団を敷いて寝るための場所だったはずが、いつしか個人部屋として使うようになってから、すごく充実していったと思うんです。

机を置いたりドレッサーを置いたり、どんどん寝室がリビングっぽくなっていって。そうすると、寝室が心地いいからずっと寝室にいちゃう、みたいなことが起きると思うんですね。

だからこそ、寝室を寝るためだけの場所にすると、日中はリビングなど他の場所で過ごすようになる。普段の設計でも、あんまり寝室を充実させすぎないように気をつけています」(泉さん)

廃材を活用した扉

写真提供:小笹泉さん

どこか“和”なテイストを感じる寝室のポイントは、引き戸になっている入口部分。実はこの引き戸、解体される家からもらってきて再利用しているんだとか。

全部で10枚ほどもらってきたうちの1枚だといいますが、どこか重厚感を感じる風貌は、もともと玄関で使われていたがゆえ。

「寝室に引き戸を使っている理由は、開けっ放しにしていてもだらしなく見えないから。

開き戸は開いているとだらしなく見えてしまうんですが、引き戸なら風を通したい時や湿気を逃したい時も、開けっ放しにしやすいんですよね。

あとは、ガラス戸ということもあって、寝室に閉塞感がなくなるというか、ほかの部屋と少し繋がりを感じられるところもいいなと思いました」(泉さん)

写真提供:小笹泉さん

壁紙は使わず、ラワン合板をはりつけた壁に夫婦で蜜蝋ワックスを塗って加工。焦げ茶色がなんとも渋い、落ち着いた雰囲気に仕上がっています。

お子さんも、この部屋で寝るようになってから寝つきがよくなったんだとか。

「家全体が、基本的にはコンクリートみたいな灰色と、ラワンに蜜蝋ワックスを塗った焦げ茶で構成されているんですね。

できあがってみて、最初はちょっと暗いかなって思ったんですけど、夜、オレンジの光が当たると、すごく落ち着いていていい寝室だなって思います。

ちょっと前まで仮住まいしていた家が、白い壁紙に、蛍光灯でパーんと明るい照明だったので、子どもも寝つきが悪かったんですよね。だけどこっちに引っ越してからは、スーッと寝てくれるようになったなって印象はありますね」(直子さん)

DIYしたベッドフレーム

ベッドフレーム制作例
写真提供:小笹泉さん

部屋にジャストサイズで収まっているベッドフレームは、ホームセンターの角材でDIY。35mm角の板をちょうどいい長さにカットし、すのこ状に組み合わせてビスで固定。1日ほどで完成したそう。

シンプルなつくりでありながら、実は脚の部分にちょっとしたポイントが。

「高さを少しだけ高めに設定して、下にルンバが入れるだけのスペースを確保しているんです」(泉さん)

寝室に対してベッドがめいっぱい配置されていて掃除機を入れづらいため、ルンバ任せにできるような設計にしたといいますが、そうでなくても埃がたまりやすいベッド下。これはぜひとも真似したいアイデアです。

写真提供:小笹泉さん

フレーム制作(2m×2.4m)にかかった費用は全部で1万円ほど。好みの大きさにカスタマイズできる上に予算も抑えられるとは、うれしいことだらけ!

「ベッドフレームって、買うと高い上にマットレスで隠れちゃうし、安いものを選ぶとたわむしで、作れるなら作った方がいいなと思って」と、泉さん。「既製品のベッドって、シンプルなものを選んでいくとだんだん高価になる印象があるんですよね」と、直子さん。

ベッドを自作することは、ふたりにとってはもはや鉄板のようです。

ちなみにフレームをシングルとダブル別々で作ったのは、お子さんが成長したときのため。自分の部屋を持つ年齢になったら分けて使えるように、シングルの大きさに合わせて作っているのだとか。

スムーズに眠りにつける調光タイプの照明

写真提供:小笹泉さん

ライトには、IKEAの調光できる照明「トロードフリ」をセレクト。

「子どもが寝るときに、パチンと電気を消すと嫌がるんですけど、じわぁっと暗くしていくと『なんか眠いなあ、まぁいっか』みたいになってスムーズに寝てくれる(笑)電気を消すことに怒らなくなったんですよね」(直子さん)

確かに小さい頃って、いきなり暗くするのではなく、まずは豆電球にしないと眠れなかったような記憶が。大人も同じように、徐々に眠りへとスイッチを切り替えていくような仕組みづくりをしてみると、スッと気持ちよく眠れるようになるかも。

眠りに特化した寝室づくり

写真提供:小笹泉さん

シンプルに“眠ること”に特化した、泉さんと直子さん夫婦の寝室。目的が明確だからこそ、壁の色も照明も“眠る”ための一番いい選択ができているのかも。

なんだか最近寝つきが悪い……と思っている方、まずは小さく電球を変えてみることからはじめてみては?

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