本通りから少し内側にはいった静かな住宅街の一角にあるのが、WEBサイトhitonotoでご自身のライススタイルを発信されている安田さんご夫婦の住まいです。
地元を離れ、東京、ヨーロッパでの生活を経てUターン。
そして、ライフスタイルを考える中で辿り着いた町家生活。
住まいとともに、家族や職人、自らの想い(ストーリー)を紡いで行く住まいってどんなものなのでしょうか。
名前:安田奈央さん(ブランドマネージャー)ニックさん(フォトグラファー)
場所:石川県 金沢市
面積とLDK:80平米 2階建て 4LDK
築年数と住宅の形態:戸建 築80年(リノベ後2年)
お気に入りの場所
日当たりの良い1階畳スペースニックさんは写真家。日の光がキレイに入ってくる1階の畳スペースがお気に入りのスペースです。
「写真を撮るときには外せないスペースの1つですね」(ニックさん)
フォトスタジオ、ギャラリーにもなる2階の畳部屋2階は天井にフックをつけ、ホワイトペーパーを垂らせば、写真スタジオに早変わり。
「住むだけでなく、ギャラリーとしての要素も持たせているので展示スペースにすることもあります。
何もないときは広く開けていて、ふと一休みしたいときに使うスペースになっていますね」(奈央さん)
この部屋に決めた理由
駅に近い町家だったこと奈央さんはヨーロッパの生活で、自分のアイデンティティが地元からきていると実感しUターンを決意されたとのこと。
いつまで住むのかというプランもないままだったので、賃貸で金沢らしい家を探していたそう。
そんな時、ネットで見つけたのがことのは不動産で掲載されていた三軒連なった町家だったんだとか。
「住めるように整えられた町家の賃貸ってほぼなかったので、これは逃してはいけないと思いました。
私も彼も金沢と東京を行き来しながら働くことが多いので、金沢駅から近いというのも良かったですね」(奈央さん)
残念なところ
むき出しになった冷蔵庫の配線配線が出ているのがどうしても気になってしまうとの言葉通り、配線はむき出し。
コンセントの位置が上にあるせいなので仕方ないそうですが、極力見えないようにしたいそう。
収納スペースが少ないこと「基本的にモノは少なくなるように調整はしているのですが、収納スペースが2階にしかないのが辛いですね……。
実家や東京の住まいに使わないモノは手放しているのですが、それでも足りない。町家あるあるなのかもしれません」(奈央さん)
お気に入りのアイテム
バリの旅行で購入したソファーバリに旅行した際に、一目惚れしたのがこのソファー。
「色合いもそうですが、何かストーリーを感じさせる雰囲気がとても良くて。
ただ輸送するのはお金も労力もかかって大変でしたね……」(奈央さん)
ギャラリー展示時に一目惚れした一点物のアート「以前、住まいのギャラリースペース部分を使ってはいいろオオカミ+花屋西別府商店の展示を行いまして。
その際に持ってきてもらっていた作品がすごく気に入ったんです」(奈央さん)
なんと、凸凹はユーカリを一枚一枚しきつめたものだというから驚きです。
色が少しづつ変わる、経年変化を楽しめるのも魅力なのだそう。
「雰囲気もエネルギーを感じるようなところが、とても好きなんです」(奈央さん)
ケンカをなくした無印ベッド「前はセミダブルのベットだったのですが、彼が眠れない、体が痛いといつも言っていて。ケンカの種になっていました」(奈央さん)
そのため、無印良品でサイズアップしたベットと枕を購入したそう。
寝心地が良くなったためか、ケンカを全くしなくなったんだとか。
「関係性を変えるためには、住まいを変えることも大事なんだと実感しましたね」(奈央さん)
暮らしのHow ToやTIPS
買い物はたくさんしないと上手くならない「モノを無闇に増やす気はないのですが、買い物はたくさんして、失敗しないと分からないなと思います」(奈央さん)
その言葉通り、先ほどのソファーしかり、買った時は良いと思っても、家に帰るとなんだか合わないなんてことはたくさんあったそう。
まだまだ勉強中です、とはにかむ奈央さんなのでした。
あるモノは直して使う「叔母の住んでいる家に古くて歴史ある家財がたくさんあって、いくつかその家財を修繕して使っています。
住まいに合っているのもあるのですが、使われてきたストーリーに、自分たちのストーリーを繋いでいきたいなと思うのです」(奈央さん)
しかしながら、上手くいかずに使いにくい時もあるそうで、「このタンスも少し開けにくくて……」と笑いながら紹介してくれました。
間が保たれるようなサイズ感「町家の設計に合うように、モノは選んでいるかもしれません。
なくて困るのはイヤなのですが、ごちゃつかないように数やサイズは気を付けていますね」(奈央さん)
逆にピッタリハマると心地よいそうで、先ほどのベットは梁と合う幅に。
とても居心地が良い空間になったと奈央さんもご満悦です。
これからの暮らし
ストーリーのある家具で埋められた住まいに「先ほどの話にもあったように、住まいを構成するモノは極力ストーリーが加わっているのモノで構成したいと思っています。
だから、そうしたモノに囲まれる住まいにしたいですね」(ニックさん)
さらに、旦那様によれば、理想の住まいには3要素があるのだとか。
「古くから使われてきた家具はもちろん、職人など作り手のストーリーがあるモノ、そして私たちがこれからストーリーを描いてあげられるモノ……。
この3つが上手く構成された住まいが理想なんです」(ニックさん)
食生活について考えるような住まいを「今は1階の仕事場で仕事も食事も行っているのですが、次の住まいでは分離させたいですね。
もっと食に向き合えるような住まいにしたいなと思っています」(奈央さん)
食事の場所もそうですが、食事を作る、農業などにも興味があるという奈央さん。
「もう少し田舎で、作ったものを食べながら、そうしたライフスタイルを宿として他の方にも一緒に体験してもらえるような暮らしをしたいですね」(奈央さん)
住まいのあり方、想いを大切にされている安田さんご夫婦。
そんなお二人が、次にはどんな住まいで、どんな想いを伝えていかれるのか、とっても楽しみです。
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