駅ビルやデパートなどの商業施設、たくさんの飲食店や大学などが立ち並ぶ池袋。平日、休日を問わず人で賑わう駅から10分ほど歩くと、それまでの喧騒とは真逆の住宅街にたどり着きます。

今回ご紹介するのは、その一角で暮らす樋山さんファミリーのご自宅。

実は、「みんなの部屋」の記念すべき第1回に登場してくれたんです。

それから数年、樋山さんは池袋に3階建ての新居を構えました。しかも、その家はシェアハウスを併設していたんです。

名前:樋山潤さん、千恵さん、一太郎くん
職業:ともに会社員
場所:東京都豊島区池袋
面積:65㎡
築年数:4か月(2018年12月完成)


全面ガラス張りのシェアハウス入り口


シェアハウスのロゴは千恵さんが制作



外には井戸も

お気に入りの場所

家族も部屋もテレビも見える、アイランドキッチン


千恵さんの1番のお気に入りは、このアイランドキッチン。

並んだ窓から暖かな日差しが差し込んで気持ちいいんです。

「キッチンに立ちながら子どもが遊んでいるのを見たり、好きなテレビを見たり。3つ並んだ窓があって開放的なところも好きですね。

マグカップを集めているので、飾れるところも気に入っています」(千恵さん)

特にこだわったのは、3つ並んだ窓。

「大きな窓にしたかったのでビル用のサッシにしました」(千恵さん)

そして、キッチンに置いたユニットシェルフにもひと工夫したのだそう。

「この無印のユニットシェルフは収納しやすくて使いやすいんです。でも床の無垢材に合うよう少しオリジナリティを出したかったのでオイル塗装をした板を乗せました。

板はホームセンターで2,980円くらいだったかな」(千恵さん)

食器類や調理家電なども、ゆったりと収納されています。

バスルームの収納


もう1か所、千恵さんが気に入っているのがバスルームの洗面台です。

「インスタで見て気に入った収納の仕方を真似しました。化粧品は無印のディスプレイケースに並べ、タオルはくるくる巻いて収納しています。

カゴもぴったり入るように洗面台下の収納を設計してもらいました」(千恵さん)

バルコニーのハンモック

潤さんのお気に入りは、このハンモック。

「お風呂上がりにハンモックに揺られるのが気持ちよくて好きなんです」(潤さん)

その様子を再現してもらいましたが、とっても幸せそうです。

この家を建てた理由

東京・参宮橋の賃貸物件で暮らしていた樋山さんファミリーが、シェアハウス付きの家を建てることを決めた理由は何だったのでしょうか?

「子どもの頃、僕はここに住んでいて、キッチンの窓から見える小学校に通っていたんです。

この敷地には叔母が住んでいた家と両親が住んでいた家がありましたが、築40年以上だったのでベランダに穴が開くほど老朽化が進んでいました。

塀に囲まれた閉鎖的な一軒家でもあったのでオープンな雰囲気の家に建て直したいなぁ、シェアハウスを作って入居者と交流しながら暮らしたら楽しいだろうなぁと思っていたんです」(潤さん)

シェアハウス付きの一軒家を建てたいと思い始めたのは今から4年前だったと話す潤さん。当時のエピソードを千恵さんが教えてくださいました。

「夫と知り合ったのがちょうどその頃だったんですけど、付き合う前のデートの段階で『家を建て直して両親と住んで、シェアハウスも作りたい』と言ってました」(千恵さん)

「それに同意できるのか?みたいな。奥さんも反応が良かったので僕も安心しました」(潤さん)。

その後、おふたりは結婚。住宅ローンの問題などがあって、実際に建て直しに着手したのは今から2年ほど前だったそうです。

「設計に1年、工事に7〜8か月かかって、完成したのが2018年12月でした」(潤さん)

現在、1階に潤さんのご両親、2階に叔母さま、3階に潤さん、千恵さん、一太郎くんの3人が暮らしています。そして、住居の横にはシェアハウスが併設されているのです。

知り合いの設計事務所に依頼したそうですが、思いのほか、完成までの道のりは大変だったのだとか。

「床材、外壁などのサンプルを取り寄せて、ひとつひとつ自分たちで決めるのは大変でしたね。当時は2週間に1回は設計事務所とミーティングをしていました」(潤さん)

おふたりがこだわって建てた甲斐があり、イメージ通りに仕上がったそうです。

「前の家は仕切りがあってイヤだったので、今回の家は1つの広い空間にしたいという希望がありました。

プライベートはなくていいから、広く感じる部屋にしたかったんです。究極的にはリビングと寝室を分けなくてもいいと思っていましたが、テレビが欲しかったので分けました」(千恵さん)


「天井が高いので開放感があって明るくて気に入っています。ただスペースが限られているので、思い切って寝室とバスルームをつなげました。その分、常に綺麗に使うようにしています」(潤さん)

こだわればこだるほど膨れあがるのが建築費用。その点は大丈夫だったのでしょうか?

「自分たちで作ったり、塗ったりしたものも多いですよ。例えば、シェアハウスの壁は自分たちで塗りました」(潤さん)

シェアハウスのお部屋

「パントリーの棚は、『シューノ』。インスタを見たらフォローしているおしゃれなインスタグラマーの方が使われていて、イメージしていた可動棚とぴったりだったんです。

直接連絡をしてみたら、担当の方が丁寧に質問の内容に答えていただき設計などもアドバイスいただけたので、採用しました」

こだわりと工夫と知恵が詰まった部屋は参考になるところがたくさんありますね。

残念なところ

夏の暑さが心配

「西日が入るので冬はあったかいんですが、夏はすごく暑くなると思うので、そこが心配です」(潤さん)

「暑さ対策でカーテンをつけたいですね」(千恵さん)

お気に入りのアイテム

幹太くん&ホシ姫サマ


電源を入れると天井からゆっくり降りてくる「ホシ姫サマ」

「子供が小さいので家事を時短したくて、ガス衣類乾燥機の『幹太くん』と、室内物干しユニット『ホシ姫サマ』をバスルームに入れました。

『幹太くん」は50分くらいで洗濯物が完璧に乾きます。『ホシ姫サマ』は使うときに竿を下ろして室内干しができるので、洗ったらすぐ下着やワンピースをかけて干しています。

外に干さなくていいので家事がラクになりました!」(千恵さん)

さらなる家事の時短を目指して、今後「ルンバ」も欲しいそうです。

買い集めたマグカップなどのジャンク品


「アメリカに留学していた頃、花瓶、マグカップ、タイルなどのジャンク品を集めていました。前の家は飾るスペースがなかったんですけど、今は飾れるのでうれしいです」(千恵さん)

丸い照明

「原宿の小さなお店で激安で買いました」(千恵さん)

温かみのあるフィラメントが素敵です。

イケアアイテムを組み合わせて作った自前のデスク

「DIY好きの間では有名なんですが、イケアのALEXADILS(脚)を組みあわせたパソコンデスクを自作しました。

僕は天板を塗りましたが、塗らなければ10分くらいでできます」(潤さん)

「天板の裏に強力両面テープで延長コードを貼り付けています。落ちないですし、コードをまとめられるのでスッキリします」(潤さん)

木毛セメント板

「内装のデザインをしてくれた人がおすすめしてくれました。渋谷の無印にもこの壁があって、いつもかっこいいなぁと思っていたんです」(千恵さん)

壁掛けテレビ専用のニッチ


「壁にテレビだけがついているように見せたくて、テレビに合わせて壁を設計してもらいました。コードが見えないように、裏にコンセントなどを直接つけられるんです」(潤さん)

暮らしのアイデア

モノはできるだけ少なく、6〜7割に

一太郎くんのおもちゃ、書類、洋服、食器など、家族全員の荷物がきちんと収納されてスッキリとした印象のお部屋。キレイに保つポイントはあるのでしょうか?

「書類や子どものおもちゃなど、こまごまとしたものは見えないように引き出しに入れています。引き出しの中もパンパンな状態だとしまうのが大変なので、6〜7割くらいの状態にしておくのが理想です。

僕はモノを捨てるのが嬉しいタイプなので、もう少しモノを捨てたいです。あとは、しまう場所を決めるようにしています」(潤さん)

「旦那さんから『収納に入る分だけしか持っちゃいけない』と言われます。私は捨てられないタイプなので、メルカリに出すことが多いです」(千恵さん)

水垢掃除をなくすため鏡ごとなくす&吊るして収納


「お風呂場の水垢の掃除がイヤなので鏡をなくし、シャンプーなども全部吊るしています」(千恵さん)

バスルーム以外にも、掃除道具も引っ掛けて収納していらっしゃいました。スペースが有効活用できる上に、使いたいときにサッと取り出しやすそうです。

これからの暮らし

「せっかく両親と同居しているので、できるだけ多くの時間を一緒に過ごしたいと思います。あと、今は広さ的にちょうどいいんですが、子どもが大きくなったときにどうしようかと考えています」(潤さん)

「中学生くらいになったら、シェアハウスに住んでもらってもいいかも」(千恵さん)

そのシェアハウス「h.y.apartment」は、1階がバーカウンターやシャワールーム、2階が部屋(全3室)になっていて、全室とも入居者が決まったそう。

管理人デビューする潤さんと千恵さんは、これからのシェアハウス運営を楽しみにしていました。

「まだどうなるか分かりませんが、入居者の方たちとバーカウンターでまずは食事をして、仲良くなったらキャンプに行けたらいいですね。

隣に住んでいるのに全く管理しない関係性はよくないので、仲良くしながらよりよいシェアハウスを作っていきたいと思っています」(潤さん)

「夫は人をもてなすのが好きなので、その感覚でシェアハウスをやりたいんだと思います」(奥さん)

取材中、「ここ家?何ができたの?」と興味津々な表情で中を覗きながら通り過ぎる人を何人も見かけました。

樋山さんファミリーとシェアハウスに入居される方たちが1階のバーカウンターで過ごしている姿を見たら、ふらりと入ってくる人もいそうです。

家族のために建てた家と、おもてなし精神に満ち溢れたシェアハウス「h.y.apartment」を中心に、新たなコミュニティが生まれる日もそう遠くないかもしれません。

Photograghed by Kenya Chiba

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