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ひとりで4階建て!?自分だけの「帰りたい部屋」のつくり方(亀戸)|みんなの部屋

2018/11/14 22:00 投稿

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人気連載「みんなの部屋」vol.128。部屋づくりのアイディア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスします。

若者の集うコーヒーショップやドミトリーホテルが生まれ、めきめきと注目度を上げる東東京エリア。

下町情緒残る街・亀戸に、日下朋子さんは暮らしています。

ロフト付きのトリプレット(つまりほぼ4階建て!)というめずらしい間取りに、

アート作品や植物が所せましと飾られた部屋におじゃましました。

名前:日下朋子さん
職業:フリーランスPR、マーケティング
場所:東京都江東区
面積:58㎡ トリプレット+ロフト
家賃:11万円
築年数:築5年

間取り図(クリックで拡大)

お気に入りの場所

階段の上り下りで気分を変えられる間取り

一見生活しづらそうなトリプレットという特殊な間取り。

キッチンを使うため、ソファでくつろぐため……と、その都度階段を上り下りするのは、デメリットばかりではないのだと日下さんは言います。

「生活の雰囲気を変えやすいのは利点ですね。

私は別でオフィスを借りていますが、どうしても出かけるのが億劫な日もあって。

そんなとき、2階でも3階でも仕事ができるから、気分転換しやすいです」

部屋を友人が訪れることもままあるそう。

友人が3階のソファに座り、2階のダイニングにいる日下さんに「飲みものとってー!」と叫ぶ。

「なにがいいー?」と返せば、「コーラお願い!」とまた叫ぶ……そんなやりとりも楽しいんです。

ダイニング

2階には、コンパクトなダイニング・キッチンが。

食事と仕事やリラックスの時間が分けられるのは、この間取りのよいポイントです。

キッチン家電も充実!

コーヒーを淹れるのが好きな日下さん、特にお気に入りはデロンギのコーヒーメーカーだと言います。

この部屋に決めた理由

“帰りたい部屋”をつくる

ここに暮らしはじめる前は、人と一緒に暮らしていた日下さん。

「その生活の終わりごろは、自分が暮らす家なのに“帰りたい場所”じゃなくて。

だから、次に暮らす部屋は、絶対に帰りたくなる場所にしようと決意しました」

ロフトを寝室に

そんな気持ちが爆発してできあがった部屋は、実に奔放。

アンティーク家具やとりどりの観葉植物、壁一面に飾られたアートやイラスト……

とにかく日下さんの好きなものだらけで構成されています。

「以前の家は、いつか転売する資産として買ったもので、そこが大きな間違いでした。

汚さないために穴も開けられないし、大きな家具を買うのも控えて。そうするとこだわりのないモノばかりが増えていきました。

だから、今回はそれと真逆のことをしようと決めたんです!」

大家さんに恵まれて

この部屋で暮らしはじめて間もない頃、鍵の不具合で部屋に入れなくなった日下さん。

契約している不動産に連絡したものの、夜間で対応してもらえず。

ダメ元で大家さんに連絡してみたところ、遠方から駆けつけ、その場で鍵屋さんを呼んでくれたのだといいます。

「そのうえ『すぐに作業が終わらなかった場合は、あとで金額を請求して、ホテルに泊まっていいからね』と親切に対応してくださって。

それからというもの、いろんなことを相談する仲になったんです」

1〜2階の階段は、服の収納スペースに

家具がそろわない間は家具や照明を貸してくれたり、高いところの窓を拭いてくれたり、部屋掃除の相談に親身になってくれたり……

至れり尽くせりとは、このこと!

「なんだかんだで、契約更新しちゃいました」と日下さんが言うのも納得です。

下町は暮らしやすい

「やはり下町は、地域にコミットしているひとが多いですね。

昔からこの場所に住んでいるひとたちばかりで、女性でも安心して暮らせる街です。

郷に入っては郷に従え……ってことで、私も極力地域に根ざして暮らすようにしています。お気に入りの飲食店も、何軒もありますよ!」

「そうそう、近くに亀戸水神があるところにも惹かれました。

以前暮らしていた家も、神社が近くて。なんとなく『神様の近くに住んでいる』っていう感覚が好きかも」

残念なところ

トリプレットゆえのデメリットも…?

トリプレットという間取りには満足しているものの、階段がかなりの急勾配で、やっぱり危なっかしい。

「私も最初は怖かったです」という日下さん、今では慣れたものだし、飲酒もしないそうですが、

遊びにきた友人がお酒を飲んでうっかり酔っ払ったりすると、事故につながりかねないかも!?

「それと、スイッチの位置が微妙で。

寝室に上がってから『あ、下の階の電気消し忘れた〜』ってなると、面倒くさいんです(笑)」

お気に入りのアイテム

出張先で巡り会ったビカクシダ

“帰りたい部屋”をつくるため、「いいな」と思える友人宅を参考にした日下さん。

「魅力的に思える部屋には、植物と絵があることに気づきました」

採光面がとても多い日下さんの部屋は、植物を育てるにはうってつけの環境。

特にお気に入りは、存在感たっぷりのビカクシダ。

「広島出張のときに、植物屋さんの軒先で見つけたものです。

そこに20年近く置いてある非売品で、購入の交渉は断られてしまったのですが……後日大雪でそのビカクシダが傷んだらしくて。

『20年もこんなことなかったのに、キミがほしいって言った途端に大雪が降ったから、何かの縁かも』って、店主さんが安く譲ってくれました」

「でも、20年も外に置いてあったので、ナメクジとミミズがたくさん住んでて。

きれいにするまでは大変でしたね(笑)」

友人との思い出がつまった絵画やイラスト

至るところに飾られているアートは、ほとんどが日下さんの友人作のもの。

画家の友人の絵や、友人に書いてもらった自画像、余っていたキャンバスに友人と一緒に適当に書いたイラスト、友人からもらった海外の切手をコラージュしたものなど……

それぞれに大切な思い出が詰まっています。

「楽しい部屋にしたいから、知らない誰かの絵より、自分に関係のある誰かの絵を飾りたかった。

おかげで、毎日が文化祭気分です!」

無骨で使い勝手が悪い、でもそこがいいスタンレーコレクション

「一番の宝物」と言って見せてくれたのが、真空断熱ステンレスボトルを扱うStanley(スタンレー)のコレクション。

「軽くないし、使い勝手は悪いかもしれないけれど、そのぶん頑丈。無骨で大雑把な感じがアメリカらしくて、好きなんです。

塗装がボロボロに剥げるまで使ってやろうと思ってます!」

ピクニックに出かけるときにつくるお弁当を入れるランチボックス、ちょっとアクティブに動きたい日のための水筒、そして毎日飲む漢方薬を持ち歩くためのスキットル。

モノによって自由に使い分けているようです。

大好きな洋服たち。“セール品を買わない”理由は?

「とにかく、引くくらい量がある」という洋服も、日下さんの暮らしに欠かせないもののひとつ。

一番気に入っているのは、50年くらい前のチャイナガウン。

ところどころ傷んでいるのを、自身で刺繍を入れて補修しながら、大事に使っています。

そんな服好きの日下さんの買いものルールが、「セールになるものは買わない」というもの。

「私の仕事のひとつが、そのものの価値を下げないように値段付けすること。

だから、値段を下げるアパレル業界の文化が、どこか許せなくて……。

ほしい洋服があったときは、それがセールになる品かを絶対に訊くようにしています」

「セールになるまで待って買う」のはありそうですが、「セールにならないなら、買う」というのはちょっと耳慣れませんが、清々しくてかっこいい!

「アパレルメーカーのなかには『ウチの洋服はセールにしないでください』っていう信念のところもあります。

それってすごい勇気だと思うから、そこに価値を見出したいし、そういう姿勢をきちんと応援したいですね」

暮らしのアイデア

理想の部屋をつくるためにしたこと

日下さんが行ったことのひとつが、下手でもいいから部屋の図面やイメージ絵を描くこと。

「その間取りにどんなものを置きたいかを、下手でもいいから描いてみるっていうのは大事だと思います。

あと、思い通りのサイズの家具は見つかりにくいものだから、やったことがなくてもDIYをしてみる。

例えばこの靴箱とか、私も実際にやってみて。

失敗もしたけど、愛着が湧くのでおすすめです!」

特殊な間取りだけに、デッドスペースも多い日下さんの部屋に合わせてDIYしたものたち。

ひとつは、階段の側面にはめ込んだ収納ボックス。階段の多さを逆手に取った好例ですね。

アクセサリーなど、こまごまと散らかりやすいものを収納しています。

もうひとつは、キッチンにある斜めの壁に取り付けたカゴ。

典型的なデッドスペースですが、ホームセンター・島忠ホームズに売っていたフックとカゴのコンビネーションで、空間のムダを巧みになくしています。

これからの暮らし

この部屋に暮らしたことで、“帰りたい部屋”をつくるという日下さんの目標は、より確固たるものとなりました。

次の住まいは、もっと遊べる場所がいいと画策中。

日本で行われたメキシコのお祭り「死者の日」に参加した写真

「たとえばビルを丸々借りて、1階は友人と楽しめる遊び場で、ドローンの操縦場にしたり。

2階は自分のオフィスにして、3階に住居スペースを。そして、屋上で植物を育てられたら最高ですね。

実は、いままさにそういった物件を探してて」

過去の経験をポジティブに昇華した日下さん。

飽くなき住まいへの探究心は、まだまだ留まるところを知らなそうです。

Photographed by Yutaro Yamaguchi

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