昭和レトロな3畳一間アパートから自転車で移動して、メインの生活空間である原宿のシェアハウスにたどり着きました。
イマドキのシェアハウスに取材陣の期待は高まりましたが、それが、まさかこんなことになるなんて……。
名前:永井一二三さん職業:コピーライター
場所:東京都渋谷区
面積:約12㎡
家賃:約10万円
築年数:築56年
お気に入りの場所
眠るのと仕事は個人ルームでキッチンやリビングなどの充実した共有スペースをひと通り拝見して、
肝心の個人ルームに入ると……
「トンネルの向こうは、不思議の街でした。」という、ジブリ映画の有名なキャッチコピーを思い出した僕。
玄関ドアを開けると、紙くず、なにかの空箱、名刺、封筒、本、カバン、衣類……そこいらじゅうにモノが散乱していて、足の踏み場もありません。
なかでも目立つのが、ビニール袋。
「買いものをすると、どんどん増えちゃうんですよね。何かに使うんじゃないかと思うと、捨てられなくて」
「自分は趣向としてはミニマリストなんですけど、どうしても片付けられないし、捨てられないんです。
今回も、取材にあたって3日間掃除したんですけど、いつの間にか『こんなの買ってたな』『これ懐かしいな』って“思い出タイム”が訪れちゃって」
「3日間片付けたので、床が見えてきました」
ふと足元に目をやると、永井さんの会社員時代の名刺が。
「いつか『情熱大陸』に出るときに、あった方がいいかなと思って」とのこと。
データ化すればモノは減らせるのでは? と聞いてみると、
「そう思って、こないだiPadを買ったんですよ!」
と散乱した床を一瞥してひと言、「もう、どこ行ったかわからないですけど」。
仕事がはかどるデスクまわり「仕事で長時間座るし、自分はお尻が硬いので、イスの座り心地にはこだわっています。
座ったときの目線に合わせて、ノートパソコンを専用の台に設置したりもして。
そうしないと首が疲れちゃうんですよね」
同じくデスク上に置かれた、BsizeのLEDデスクライトもお気に入り。
この部屋に決めた理由
ここに決めた理由は、渋谷のアパート同様、好条件の立地と、生活をミニマル化するため。
「入居者用のレンタサイクルがあるので、新宿、恵比寿、六本木などは自転車で行けます。仕事的にも便利なんですよ」
シェアハウスなら、掃除などの管理は管理会社に任せることができます。
「なにしろ掃除が苦手」という永井さんの言葉が切実な声だったのだと、ここにきてわかった取材陣。
残念なところ
「正直、全部です(笑)」
カオスをつくりあげた張本人も、さすがに望んで散らかしているわけではないようです。
お気に入りのアイテム
使う機会がないことを望む、からこそ水さえも部屋の外で飲み、食べものだけは徹底して部屋から排除している努力の賜物で、これまで部屋にゴキブリが出たことはないといいます。
そんな永井さんが取り出したのが殺虫スプレー。
「『これを使ったことがない』という現状が、お気に入りの理由です!」
ビニール袋の意外な使い途
「ミニマリストたるもの、とにかく身軽でいたいので、重宝しています」
と取り出したのが、PORTERのメッシュバックパック。
「これはブラックで、ネイビーも持ってます。明日、ホワイトも買います」との宣言に、ミニマリストだけど色違いでたくさん買うんだ……というツッコミはぐっと堪えました。
ZOZOTOWNの箱は棚にピッタリなので、集めているそう
「ちなみに雨の日はどうするかというと、そのときこそビニール袋に入れるわけです」
意外にも繋がっていた伏線を華麗に回収した永井さん。
財布こそ、究極のミニマリズム「ミニマリストにとって、もっともミニマルな課題って財布だと思うんです。
先日買ったPORTERとBAMBOO SHOOTSのコラボミニウォレットを、これから愛用予定。
こういうのってカードを入れたら容量いっぱいのものが多いですが、これはカードも小銭もお札も入るんです」
暮らしのアイデア
シェアハウスあるあるへの対処法エンダースキーマのシューズは、まだ一度も履いていない
「部屋に冷蔵庫を置いてないので、共有スペースの冷蔵庫を使っていますが、誰かに食べられてしまうことも。
それで編み出したテクニックが、例えばペットボトルの飲みものなら、ラベルをはがす。なにかわからないものには手を出したくないですからね。
食材のパッケージには、わけのわからないカタカナや、『ワケあり』と書いておくのも有効です」
積ん読への対処法部屋についている水栓は、一度も使っていない
「本は、ついつい買ってしまうもののひとつ。でも、ほとんど“積ん読”状態で……。
だから最近は、買ってすぐにメルカリに出品します。
売れると、発送までの期限ができるので、それを〆切として自分を追い込んで、読まざるを得なくするわけです」
これからの暮らし
最後に、どうしてミニマリストにこだわるのかを訊いてみました。
「シェアハウスに住みはじめたことが、大きなきっかけかもしれません。
風呂やトイレを含め、暮らしのさまざまが、必ずしも自分だけのものじゃなくてもいい。いろんなものをデータ化してしまえば、持ちものを少なくできますし」
「……まあ、現実は伴ってないですけど、理想としては(笑)」
渋谷と原宿の二拠点を、それぞれ明確に棲みわける永井さんは、レトロとモダンという両極を行き来しながら、自身のなかの理想と現実のはざまに揺れていました。
レトロな前編はこちらへ!
Photographed by Yutaro Yamaguchi
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