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住まいのリスクマネジメントは、もはや職業病?保険会社に勤務する新婚夫婦の暮らし(旗の台)|みんなの部屋

2018/06/06 21:00 投稿

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人気連載「みんなの部屋」vol.114。部屋づくりのアイディア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスします。

遠距離恋愛、社内結婚、そして単身赴任の期間を経て、この春晴れて新居でのふたり暮らしをはじめた瀬川さん夫婦。

住まいに選んだのは、2フロアにまたがったメゾネットタイプの部屋でした。

戸越銀座商店街からほど近く、古くからの活気衰えぬ商店街のなかに佇むデザイナーズマンションで新婚生活を送るふたりの住まいにお邪魔しました。

名前:瀬川大喜さん 未沙子さん
職業:保険会社勤務
場所:東京都品川区
面積:55㎡ 間取り:2LDK
家賃:18.5万円
築年数:新築

お気に入りの場所

未整備の大喜さんの部屋、もとい、リビング!

大喜さんのお気に入りの場所としてまず紹介されたのが、2階にある部屋。

リビング、寝室、など分かりやすく機能しているほかの部屋と違って、家具もほとんどなくガランとしたその部屋は、未沙子さんにワガママを言って譲ってもらったのだそう。

「とにかくプライベートな時間がほしいので、2LDKという間取りだけは譲れませんでした」(大喜さん)

ひとりの時間が好きな彼がYouTubeを心置きなく視聴できる部屋として。酔っ払って帰ってきて、風呂に入らずそのまま寝られる部屋として。そして、夫婦喧嘩したときの逃げ場の部屋として。

そんな風にしかるべく機能している、多目的な場所なのです。

とはいえ、先ほども言ったようにまだロクに家具すらない、未整備の部屋。

未沙子さんとしては、そこを“お気に入りの部屋”にするわけにはいかず、「あの部屋って言っちゃダメだよ!」と。心中お察しします……。

大喜さん「だって、落ち着くし……」

未沙子さん「あそこ、落ち着く!?リビングでいいじゃん!」

大喜さん「じゃあ、リビングで……」

未沙子さん「そうそう、最初からそうやって言えばいいじゃん!(笑)」

改めて、“お気に入りの場所”は……?

大喜さん「……リビングです!(笑)」

その扉の奥に、未知の世界が広がる?

「あと、階段を上がったところの閉塞感が好き」と、奇妙な癖を覗かせる大喜さんに連れて行かれたのは、3方向を扉で囲まれた階段上の廊下部分。

その圧迫感と、漂う恐怖感に、大喜さんはいつしか病み付きになっていたのだといいます。


「このラビリンス感というか。扉の先に、どこまでも広がり続ける空間があるような気がするんです(笑)」(大喜さん)

この想像力に、どれだけのひとがついて来られるかわかりませんが、僕にできるのは“わかるひとには、わかる”といった感覚なのだと願うのみです。

この部屋に決めた理由

遠距離恋愛のまま結婚し、そのまま1年間の単身赴任を経たふたり。

この4月から大喜さんの東京勤務が決まり、ようやく、“新婚生活”がスタートしました。

メゾネットタイプの部屋を選んだ理由について未沙子さんは、「最初、『メゾネットタイプって、狭くないのかな』と少し不安だったのですが、内見に来てみて、意外にも空間が広く感じられて。

実際に暮らしてみると、1階と2階で生活空間を分けられるのが良かった」と話します。

「決め手のひとつは、柱や扉の素材感や色味が、実家の雰囲気と似ていたこと。初めて実家から出ることになったのですが、まるで実家にいるときのように落ち着くんです」(未沙子さん)

一方の大喜さんは、というと、「部屋や家具選びについては、すべて妻に任せっきりでした」と、全くこだわりはなし。その延長なのか、家事もすべて未沙子さんに任せていて、分担はしていないとのこと。

「私に対してああしろこうしろとも言ってこないので、あくまでマイペースにやっています。いまは毎日一緒に居られるのが嬉しいので、『家事も頑張ろう!』って思えるんです」(未沙子さん)

「でも僕もこの部屋に住みはじめてから、実は料理をするようになったんですよ!」(大喜さん)

「野菜を切りたいらしいんです(笑)。私がキッチンで野菜を切ってると、『俺やるわ』って」(未沙子さん)

以前からひとり暮らしをしていた大喜さんなのに、どうして心境が変化したのかというと、

「たとえばインスタントラーメンも、野菜を切って加えるようになりました。だって、野菜室に野菜が入ってるんですよ……!卵があったりとか!」(大喜さん)

同居を開始して初めて、至極当たり前の生活環境に身を置かれ、それを純粋に楽しみ、享受しているのでした。

もしかすると、これから徐々に大喜さんが家事に参加する部分も増えてくるかもしれませんね。

「まぁ、いまでもゴミ捨てはするかな。あと、たまに……」と少し調子に乗りはじめた大喜さんがいい気持ちで続けようとするのを、すかさず未沙子さん「え、何かしてくれてるっけ(笑)?」と、不敵な笑みをこぼしながら制す。

形勢が悪くなったことに気づいた大喜さん、「夜中に酔っ払って帰ってきて食べたお菓子を、自分で片付けます……」と悪あがき。

「それは当たり前でしょ!」と、未沙子さんぴしゃり。

残念なところ

デザイナーズマンションの宿命とでもいうのか、デザインと引き換えに利便性が損なわれてしまった部分もあります。マンションにエレベーターがなく、階段や廊下も狭い、というのがそのひとつ。

「最上階まで大きな家具を吊り上げなければならなかったので、引越しを引き受けてくれる業者を見つけるのも、ひと苦労でした……。

あと、床がニス塗りされていないマットな素材でできているので、どうしても汚れが目立ってしまうんです。そのため、しっかり拭き掃除までしないといけません」(未沙子さん)

お気に入りのアイテム

これ以上空間を圧迫しない、サイズ重視の家具選び

リビングとダイニングがひとつの空間にある分、慎重を期したという家具選び。

「最初に決めたのが、ソファとテーブルでした。お客さんが来たときに座れるよう、L字ソファに。かつ、空間が圧迫されないよう狭めの座面のもので。

テーブルは、きちんとした姿勢でご飯を食べられるよう昇降機能つきのものを選びました」(未沙子さん)

なるほど、狭いながらに快適に暮らせるよう、暮らしのイメージを抜かりなく膨らませたうえで選んだようです。



その他の家具選びは、テーブルの色味を基準に。

とにかくサイズが重要だったため、あえて家具カタログを使い、デザインよりも数字と素材重視で選んだものも多いのだとか。

シリコン製のシャンデリア

「これは、実はシリコンでできているんです」と言われ、触れて驚き。ガラスと見間違うほどの出来ですが、ランプシェードはやわらかなシリコン素材。

未沙子さんによると、「落ちてきても安心なんです」とのこと。

よもや照明が落ちてきたときのことまで考えているとは思いませんでした。

周到なリスクマネジメントは、やはり保険会社に勤めるふたりならではの職業病なのでしょうか。

暮らしのアイデア

住まいの危機管理は、職業病?

そんな住まいの危機管理は、きっと他にも潜んでいるはず、と部屋のなかを注意深く見渡していると、大喜さんが「ずっと気になってたんやけど……」とおもむろに口を開きます。

「ずっと気になってたんやけど、あのコンセントに被せてあるのは、何なの?」(大喜さん)

「あれは、コンセントに埃が溜まって火事にならないように。共働きで、家に誰もいない時間が多いので。気になってたんだね(笑)」(未沙子さん)

ひと一倍リスクに備える未沙子さん。かたや、疑問を抱えつつ1ヶ月間訊かずにいた大喜さん。

住まいに関するリスクマネジメントは、どうやら職業病というわけでもないようです。

ベランダが寝室にあるなら、マルチベッドカバーを

「あと、これも何なんやろうってずっと思ってるんやけど……」と、ここぞとばかりに、訊けずにいたギモンを洗い出す大喜さん。

「これは、マルチベッドカバー。ベランダが寝室についているので、洗濯物を取り込んだときにベッドに置けるように掛けているんです」(未沙子さん)

これから結婚や同棲をする方へのアドバイス

せっかく新婚のふたりなので、これから結婚、同居をはじめる未来の夫婦に向けてのアドバイスも求めてみました。

「やっぱり、別々の時間を過ごせる部屋!」(大喜さん)

「なんで!別部屋はそんなに作る必要ないよ!」(未沙子さん)

大喜さんの失言にふたりがヒートアップし、「いままさに別部屋が必要」といった状況。さらに話題を『お財布事情』に振ってみたのが、さらに状況を悪化させてしまいました……。

「完全に別にしてます。でも、家賃や光熱費なんかのインフラ系は夫、生活費は私が払うように」(未沙子さん)

「まぁでも、生活費はそんなにかかってないもんね」(大喜さん)

「いや……!かかってるから!なに言ってんの!」(未沙子さん)

知らない間に損しているかも?住まいの保険事情を聞いてみました

ますますおかしな状況になってきたので、当たり障りない、保険についてのマメ知識を教えてもらうことに。

すると、意外と気がつかない、目からウロコの情報を教えていただけました。

「たとえば、僕がテーブルからティーカップを落として壊してしまったとする。そんなとき家財保険に入っていれば、全額を保険でカバーできるんです!

事故性があれば、対象は備え付けじゃない家財全て。カーペットでも、スーツでも。

しかも年間5000円くらいと、かなり安いのも魅力です!賃貸なら、基本的に契約のときに入ってるはずなのですが、でも知らないひとが意外と多いですね」(大喜さん)

知らなかった……。

「もうひとつ、これも基本的に賃貸なら誰もが加入しているんですが、たとえば僕が部屋でタバコを吸って火事を起こしてしまう。すると当然、大家さんから損害賠償を請求されます。

でも、それも保険金請求できるんです。これも意外とみなさん加入していることを知らずに、自腹を切ってしまうことが多いんですよ」(大喜さん)

知らず知らずのうちに入っている各種保険。万が一、が起こったときに適切に使えるよう、いま、このタイミングで一度確かめてみては?

これからの暮らし

「夫の例の部屋を、もっと部屋らしくしていきたいです」(未沙子さん)

なんだかんだ言いつつも、大喜さんお気に入りの部屋を快適にしたい、と優しさを垣間見せる未沙子さん。

「いまは僕の部屋ですけど、ゆくゆくは子ども部屋にしようと思っています。一子相伝じゃないですけど、未来に引き継いでいけるような場所にしたいという、意外と壮大な想いもあります(笑)」(大喜さん)

結婚し、ふたりでともに生活をはじめて、まだ1ヶ月。

喧嘩をすることもありますが、うまくお互いを補い合って良いバランスを保っているふたりです。これからの住まいと暮らしが楽しみなのでした。

合わせて読みたい:

プロポーズもこの家で。「このソファで人生変わりました」(東中野)|みんなの部屋 - ROOMIE(ルーミー)

オフロも寝室も。建築家夫婦による「つながる間取り」(川崎市宮前平)|みんなの部屋 - ROOMIE(ルーミー)

Photographed by Yutaro Yamaguchi

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