2012年の東京スカイツリー開業以来、多くの観光客が乗り降りする押上駅。新しい飲食店などは増えたものの、まだまだ下町情緒が残る街並みが広がっています。
LIXILでプロダクトデザイナーとして勤務する安間広介さんが暮らすのは、そんな押上駅から数分のヴィンテージマンション。
名古屋から転勤してきてもうすぐ1年、ギャラリーかと思うような洗練された部屋には、取材陣もビックリでした。
名前:安間広介さん職業:LIXILのプロダクトデザイナー
場所:東京都墨田区
面積:58㎡ 間取り:2LDK
家賃:非公開
築年数:築35年
お気に入りの場所
料理やお酒をたのしむダイニングキッチンここはもともとリノベーション済みの賃貸物件。小上がりの高低差でダイニングとリビングが区切られています。
以前の住まいでも使っていたダイニングテーブルは、存在感がありつつ、置かれたものを引き立てる美しさ。
「名古屋にある千葉工作所にオーダーメイドでお願いした、木×鉄のテーブルです。食器も収納できます。
このテーブルを置けることが、部屋さがしの最低条件でした」
料理や花を生けることが趣味の安間さん。Instagramにはプロ顔負けの料理がアップされています。
キッチンまわりのものは無印良品など同じメーカーで揃え、タッパーなども同じものだけをいくつも揃えることでスッキリと。
最近ハマっているのは料理の仕上げに野菜パウダーを使うこと。上からゆず、バジル、ボルチーニ、ビーツ……なんとすべて自作なんだとか。
光が射し込むリビングリビングのソファも、以前の部屋から持ってきたCRASH GATEのもの。お酒好きの安間さんは、いつもここでお酒とおつまみをたのしみます。
最近の興味はクラフトビールから日本酒へ。酒屋で教えてもらったおいしい日本酒をたのしむのが、定番の休日の過ごし方。
「最近気にいったのは、栃木県の仙禽のナチュールトロワ。酸味と香りがはなやかで、ワインみたいなんですよ」
やわらかい雰囲気のベッドルーム個室であるベッドルームは、ダイニングとは打って変わってベージュと白でまとめられた空間。
ここもギャラリーみたいで、見るからにリラックスできそうです。
アウトドアグッズ専用ルームもうひとつの個室はアウトドアグッズの収納に。まるで小さなアウトドアショップ!
カーテンで仕切った奥は、衣類のクローゼットと書斎にもなっています。
この部屋に決めた理由
「東京への転勤が決まったとき、不動産会社サイトでこの物件を見つけました。
探したときの条件は、『ダイニングテーブルが入ること』『会社から近いこと』『改装可能なこと』」
「元から管理会社の方でリノベーションされていたので、最初からわりとできあがっていました。相談をして、借りる前に少しだけ手を入れさせてもらったくらいですね。
当初は勤務先が住吉駅で近かったんですが、今は新宿オフィスなので遠くなってしまいました……」
「名古屋から転勤してくる前と、生活はあまり変わらないかも。前から、休日は家でゆっくり過ごすことが多いので。
ただ、歩いて行ける場所にコンビニやアパレルショップがあるのは、初めはカルチャーショック(笑)。以前は車生活だったので便利さはぜんぜん違いますね。
せんべろ横丁的なお店に飲みに行ったり、下町暮らしもたのしんでますよ」
残念なところ
電気温水器の収納扉がにおう……部屋にほぼ不満はないという安間さん。ただちょっと気になるのが、玄関スペースにある電気温水器置き場の木製扉がカビくさいこと。築年数ゆえなのでしょうか……。
なので、そのにおいを取り、部屋の壁をアーティスティックにもしてくれるのが、ご自身も開発に携わっている「オンデマンドエコカラット(仮称)」。
調湿や消臭をしてくれる壁材・エコカラットに、好きな模様や写真をプリントし、マグネットでカンタンに取り付け/付け替えが可能です。
「海外では部屋にアートを飾るのって普通ですが、日本にはまだそういう文化が浸透しきってないですよね。
機能が付随したこの壁なら、気軽に取り入れてもらえて、生活の中でアートをたのしむきっかけになるんじゃないかなと」
秋頃発売予定だそうなので、気になる方はチェックを!
お気に入りのアイテム
好きな絵をプリントしたアートダイニングの壁には、絵画風のポートレートが。
さまざまなものにプリントできる写真ギフトを使って、レンタルフォトで見つけて気にいった絵画を布にプリントしたもの。
ニュアンスを出すため、プリント後にロウを塗り、わざと丸めてシワをつくって仕上げたこだわりようです。
思わず動かしたくなる照明リビングで存在感を放つのが、スッと伸びた柄が印象的なFROSのウォールライト。引っ越してきてから購入したアイテムのひとつです。
後方に重りがついていることで、軽く触れるだけでなんとも心地いい動き。光源の位置を変える必要がなくても、ついついさわってしまいます。
料理が映える作家ものの器キッチンの棚やダイニングテーブルの収納には、主に個展や陶器市で探すという作家さんの器が。
料理を盛る前からかっこいい安藤雅信さんの平皿や、
猿山修さんのワイングラスは、ふだん使いもできるほどよいカジュアル感。
やわらかいフォルムが素敵な大谷哲也さんのプレートとボウル。
ダイニングテーブルの中心に置かれるのは橋本忍さんの茶器。
「器のたたずまいはもちろん大事ですが、飾るだけでなく日常的に使えることを基準に選んでます」
KINTOのコーヒーメーカー「KINTOのSLOW COFFEE STYLE SPECIALTYは、見た目が気にいって購入してしまいました(笑)。
紙フィルターよりもコーヒーの味がダイレクトに抽出されるので、気をつけないとちょっと難しいんです。ちょうどいい粗さで挽いたものでないと、雑味が残ってしまったり……」
そう話しながら淹れてくれたコーヒーは、確かにいつものコーヒーより風味が強い印象。とてもおいしくいただきました。
暮らしのアイデア:ディスプレイやインテリアのコツ
部屋のどこを切りとっても画になる安間さんの部屋。
ここまでくるともう、モノを選びぬく眼と、それをどう飾るかの感性の域のような気もしつつ……ディスプレイやインテリアのコツを聞いてみました。
余白をつくる「モノがいちばん美しくみえるように、『余白』があること大事にしています。
例えばこのカーテンは特注したもので、窓枠サイズに合わせないで、壁一面に天井から吊るしています。
こうすることで壁の面が分断されずに生活感が出づらいし、手前に置かれたアイテムが生きてくるんですよ」
色のトーンを揃える
「もうひとつ気をつけているのは、色のトーンを揃えること。
ひとつひとつが目立ちすぎず、統一感のある空間になります」
雰囲気に合わないものは入れない
「もともとキッチンの扉は、かなりギラギラしたステンレスだったんです。ちょっと主張しすぎるなと気になったので、布に替えました。
布の撥水性を高めるためにロウを塗って、マグネットで留めてあるだけのカンタンDIYです」
ちなみにインテリアのインスピレーションになっているのは、名古屋時代に通っていたインテリアショップ・Carafeや、雑誌I’m homeだそう。
これからの暮らし
すでに完成された雰囲気が漂う安間さんの部屋。さらに手を加えたいところは?
「冷蔵庫を大きくしたいくらいですかね。いろいろな日本酒を取り寄せて飲み比べられるように、たくさん保存できる容量が欲しいです」
理想の空間づくりという点では、賃貸よりも購入のほうが自由度は上がりそうですが?
「でもまだ独り身ですし、購入には踏み出さない感じです。パートナーとふたり暮らしをはじめたらどうなるかな、ということは考えます。
インテリアに関しては、できれば僕にすべて任せてもらいたいですけど……(笑)」
セレクトショップが開けそうなほど、選ぶものひとつひとつに世界観を感じる安間さん。ライフスタイルやインテリアは、InstagramやRoom Clipでものぞくことができます。
こちらもおすすめオフロも寝室も。建築家夫婦による「つながる間取り」(川崎市宮前平)|みんなの部屋 - ROOMIE(ルーミー)
都心のスモールハウス暮らし、二拠点生活も視野にいれて(東陽町)|みんなの部屋 - ROOMIE(ルーミー)
Photographed by Kenya Chiba