そんな“デジタルノマド”のためのユニークな宿泊施設が、オランダの首都アムステルダムにある「Zoku」。実際に泊まってみた様子をレポートします!
“デジタルノマド族”が、ひとつ屋根の下に集まる場所
日本語の“族(ぞく)”から名付けられたこの施設は、その名が表わすように、世界各地からアムステルダムにやってきた“デジタルノマド族”が、ひとつ屋根の下に集まり、心地よく暮らすことのできる空間。ゆるやかなつながりを生み出しながら、効率よく仕事に取り組める場所です。
客室は、住まいと仕事場の機能を兼ねそなえ、ニーズに合わせて空間をフレキシブルにアレンジしながら利用できるのが特徴です。
効率的で、快適な環境が整っています
一般的なホテルの客室やワンルームマンションでは、多くのスペースをベッドに占領されがちですが、「Zoku」の客室はキングサイズのベッドがロフトスタイルで設置され、空間を効率的に使いながら、快適な睡眠環境が確保されています。
ベッドの扉を閉じて、ベッドへの階段を収納すると、スッキリとした空間に。
ベッド下には、収納スペースがたっぷりと設けられています。
ドイツ・シーメンス製のコンパクトなシステムキッチンは、IHクッキングヒーターのほか、冷蔵庫や電子レンジ、コーヒーメーカー、電気ケトルを完備。
食器や鍋、フライパンなどの調理器具も揃っているので、地元のスーパーやファーマーズマーケットで食材を調達し、自炊を楽しむこともできます。
四人用ダイニングテーブルには、デンマークのインテリアブランド・Muuto(ムート)の椅子が使われており、座り心地はバツグン。
食事やコーヒータイムだけでなく、仕事仲間との打ち合わせや作業用スペースとしてもフレキシブルに活用できます。
デスク、筆記用具、ホチキス、ハサミなどの文房具が備えられているなど、細かな点にまで配慮し、仕事場としての機能がとことん追求されているのは、旅先でも仕事に集中したい“デジタルノマド”にとってありがたいポイントですね。
交流が生まれる「Neighbor」たち
また、「Zoku」では、宿泊客を“Neighbor(ご近所さん)”と称し、宿泊客同士の交流をうながしているのも特徴です。
テラスが広がる最上階は、“Neighbor”たちが顔を合わせ、食事を囲んだり、仕事をしたり、夜にはお酒を飲みながら賑やかに交流できるパブリックスペース。
「Zoku」の“Neighbor”だけが利用できる食堂では、日々の健康管理に配慮し、朝食・ランチ・ディナーの1日3食、ヘルシーでおいしいメニューが日替わりで提供されています。
長テーブルで食事を囲みながら、「これ、おいしいね」「その料理、どう?」など、相席した“Neighbor”同士で自然と会話を交わし合うのも、旅先で孤独になりがちな“デジタルノマド”にとっては貴重なひとときです。
また、“Neighbor”のためのコワーキングスペースは、卓球台やサンドバッグなどが備えられ、クリエイティビティを刺激する空間。
打ち合わせをするグループもあれば、パソコンに向かって黙々と作業をする人もいますが、スペースがゆったりと確保されており、ほどよい距離感があるので、互いに仕事に集中しやすい環境です。
安心できる、つかの間の生活拠点と仕事場
私自身、国内外をあちこち行き来しながら仕事をし、生活をやりくりする“デジタルノマド”のようなライフスタイルを実践しはじめて6年目。
わからないことだらけの見知らぬ地に飛び込み、根を張って生活できるようになるまでには、相応のパワーが必要です。ときに孤独を感じたり、心身ともクタクタに疲れることがあります。
「Zoku」は私のように、仕事をしながら暮らすように旅をする“デジタルノマド”にとって、安心して快適に暮らせ、仕事にも集中できる、つかの間の生活拠点と仕事場。かつ、同じようなワークスタイルを実践する世界中の仲間と“Neighbor”としてゆるやかにつながり、ネットワークを広げることのできる空間でした。
アムステルダムに再び出向き、世界中から集まる“デジタルノマド族”とともに「Zoku」で暮らし仕事をできる日が、待ち遠しくてなりません。
[Zoku Amsterdam]Photographed by Yukiko Matsuoka
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