さまざまな作品が集まる鬼子母神の「手創り市」
鬼子母神堂は、安産・子育(こやす)の神様である鬼子母神をお祀りするお堂です。
冬のある日、鬼子母神堂でパンやクッキー、アパレル、布小物、革製品、木工、ガラス、アートなど、職人や作家による手づくり作品が並ぶ「手創り市」が行われていました。
多くの人でにぎわっていて、それぞれが気になった作品に目を留め、足を止め、手に取ったり、嬉しそうに迎え入れていたり。
そこに以前から気になっていた、パンのための皿「パン皿」を制作する「ふたば工房」が出展するというので、行ってきたのです。
岐阜の工房で生まれる、余計な水分を吸いとる「パン皿」
「ふたば工房」は、岐阜県にある工房。職人の井筒佳幸さんが木を切り、削り、彫って、皿、箸、お椀、ランプシェードなど木の作品を作っています。井筒さんが作る「パン皿」は使い勝手がよく、その魅力にハマる人も多いのだとか。
「パン皿」の素材は桜。食用油で仕上げており、木材本来の機能である水分を吸い取る、放出する力を活かすことで、余計な熱気である水分を皿自体が吸いとってくれるそうです。
陶器皿に比べて、トーストしたパンのパリッとした食感を楽しむことできるのが特徴です。
手彫りなので、1枚ずつ表情の違うのみめ彫りを施した「パン皿」は、パンだけでなくお菓子にもピッタリ。シンプルさの中に木のあたたかさを感じ、軽くて扱いやすく、そこにあるだけで嬉しくなるようなものなのです。
ズボラな私は手入れが気になるところですが、普通の食器と同じ使い方で、洗っても大丈夫とのこと。長く使ってカサカサしてきたら、えごま油などを塗るとまたしっとりしてくるんですって。
「パン皿」は岐阜県八百津町のふるさと納税の返礼品にもなっています。
木のプロフェッショナル、ふたば工房の井筒さん
井筒さんは、ブースに足を留めるたくさんの人に、まさに木のプロフェッショナルといった感じで、木の種類や性質、取り扱い方などの質問に、丁寧に対応していました。
井筒さんはもともと学生時代に漆を専攻しており、その後石川県で修業をして独立。今は東京から400キロ離れた岐阜県の、山に囲まれた工房でひとりで制作をしているそうです。扱う木はチェリー、桜、ウォールナット、トチ、クリ、黒檀、パープルハート、ローズウッドなどさまざま。
さじの大きさは「さじ加減」ということで、色々。どれもその時の井筒さんの加減で作っているから。
今回、鬼子母神の「手創り市」は初体験でしたが、私は井筒さんの作品や、他のたくさんの作品に出会えて、とてもわくわくしました。
自分だけの一品を求めて、手創り市に出かけてみてはいかがでしょうか?
[鬼子母神 手創り市次回の開催:2018年1月21日(日)
※ふたば工房は春以降に、各地の手づくり市などに出展予定 [ふたば工房]
[鬼子母神 手創り市]
Photographed by Miyuki Hayashi