『天空の城ラピュタ』のラピュタパンに憧れ、『ハウルの動く城』のカルシファーの卵ベーコンに涎を垂らし、『魔女の宅急便』のニシンのパイにうっとりする。そんな子供時代に、誰しも心当たりがあるのではないか。
新企画展示「食べるを描く。」が始まりました!食べものが本物よりも美味しそうに見え、幸せな気分にさせてくれるジブリ作品の食事のシーンが、どのように描かれているかを紹介しています。ぜひお越しください。
7月分入場チケットの先行抽選受付中。詳細は公式HPをご覧ください。#食べるを描く pic.twitter.com/B0toPzg7bo
— 三鷹の森ジブリ美術館 (@GhibliML) 2017年5月27日
加えて現在、三鷹の森ジブリ美術館にて、「食べるを描く。」企画展示が開催中。instagramなどのSNSでは、猛者たちが多くの再現写真をあげ、「ジブリ飯」はいよいよ大盛況だ。
しかし、そんなジブリ飯、「いいなぁ……作ってみようかなぁ……」とスマホを眺めてみても、いざ作るとなると何から始めればいいか分からないもの。
でも、折角なら子供時代の憧れを、今週末にでも実現してみよう!
作るのは、比較的簡単そうでも見栄えがする、『天空の城ラピュタ』のラピュタパン、『ハウルの動く城』のカルシファーの卵ベーコン、『魔女の宅急便』のキキのホットケーキ。
これらを、なんと500~800円で手に入るニトリのスキレット鍋、通称「ニトスキ」を使い、再現してみた。
ニトリのスキレットこと、「ニトスキ」とは?
しかし、そもそも何故「ニトスキ」なのか?
それは、ニトスキがなんと500~800円という安さで、かつ、店舗に行けばすぐゲットできる優れものだからだ。加えて、そのままテーブルに出せるため、カフェのような見栄えの良さになり、雰囲気的にもジブリ飯にマッチするからだ。
ちなみにスキレット鍋とは、鋳鉄製の厚手のフライパンのこと。その厚さ故に蓄熱性が非常に高いため、ハンバーグでも、パンケーキでも、アヒージョでも、なんでもござれで美味しくできてしまう。
実際に買いに行ってみる簡単に見つかったこちらが、お目当ての品だ。種類は2種類。そして、実際に値札を見ると、やはり驚くのがその価格だろう。
1つ目、サイズ15cm(6インチ)のスキレットの価格は、なんと462円(税抜き)。ほぼほぼワンコインで手に入ってしまうのだ。重さは約730g。持ってみると、さすが鉄の塊、ずしっと来る!
そして2つ目は、サイズ19cm(8インチ)。価格は740円(税抜き)。こちらも驚きの低価格だ。重さは約1.33kg。持ってみると、先ほどよりもはっきりとした重さ。
ただ、スキレットは実際に使ってみると持ち上げるシーンが洗う時くらいなので、重さはそこまで気にならない。これはフライパンとも同じだろう。
今回はレシピとして大きいベーコンを焼いたりするので、19cmを選ぶ。
また、スキレットは持ち手まで熱くなるので、138円(税別)のハンドルカバーも買っておく。ミトンがある方は買わなくてもOKだ。
スキレットの第二の魅力は、そのまま食器としてもテーブルに出せて、カフェのようにフォトジェニックな写真も撮れること!
我が家には素敵な鍋敷きがなかったので、今回はこちらの木台も買ってみた。お値段462円(税別)。
さて、これにて、買い物は終了! 1500円足らずで一式揃った。なべ敷きがある方ならば、1000円ちょっとで準備出来てしまう。料理をいくつも同時に作りたい方は2つ買ってもいいだろう。一応、今回は作業を短縮化するため、2つ買う。
それでは、肝心の作り方……いざ料理! 取り掛かる前に、ニトスキには「シーズニング」と呼ばれる慣らしが必要だ。
おまけ:IHでも使えるのか?人によっては、気になるのがIHでも使えるのかどうか、という点だろう。これについては正直ちょっと怪しそうだ。
公式サイトによると……
底面が16cmの為、機種により使えません。
底面が高温になり安全装置が作動する場合があります。
とあり、安全装置の方が中々厳しそうだからだ。折角楽しく作っているのに、何度も安全装置が作動したら気が削がれるので、余りオススメしない。
必須の「シーズニング」とは? やり方は?
さて、鋳鉄製のスキレットは、文字通り、完全に鉄で出来ている。そのため水で錆びるし、空気でも錆びる……。見た目と重さの割に繊細な奴なのだ。
そして、売り物は工業油が塗ってあるので、これでは調理しても食べられない……。
なので、これを一度落とし、再度塗って鉄板を焼き上げる「シーズニング」という慣らし作業が必要。
難しくない! シーズニングの簡単で正しい手順「ニトスキ シーズニング」で調べると、非常に手間のかかる方法が大量に出てくる。もうこの段階でうんざり。
でも、そんな時は公式情報をチェックするのが定石だ。すると、あれよあれよ、あるじゃないか簡単な方法が!
今回はこちらに従う。では早速、シーズニングスタートだ!
STEP1:まずは最初に塗られている錆び止め(工場出荷時に塗られている)を、洗剤で洗い落とす。
STEP2:錆びないよう、水気を拭き取る
この時、きちんと拭き取るために、キッチンペーパーなどを使うとよい。
※しっかり拭くと、こんなに錆び止めが取れる。このまま食べてたらと思うと怖い!
STEP3: 食用油・オリーブオイル(食塩を使用していない油)をキッチンペーパーに含ませ、全体に薄く塗る。
持ち手と裏側もお忘れなく!
STEP4:弱火で5分ほど加熱。
STEP5:なるべく熱いお湯で、くっついたキッチンペーパーを洗い流す。
スキレットは持ち手までアッツアツになるので、この時に買っておいたハンドルカバーが役に立つ。
※注意! 間違えて冷水で洗い流すと、スキレットが急激な温度差で割れてしまうこともあるので気をつけること。
すると、このように油が表面をコーティングし、水を弾くようになった。
これにてシーズニングは完了だ!
今回はこの手法に従って行い、鉄臭さもなく、おいしく食べられた。スキレットも錆びなかったし、ネットにある大量の手間がかかる方法はなんだったのだろうか……。
さてさて、それでは実際の「ジブリ飯」に行ってみよう! レシピに凝ったメニューでもないので、作る過程と写真をざっくり載せていく。
おまけ:「シーズニング面倒臭い…!」という方に「シーズニングはちょっと面倒臭い」という人は当然いるはず。ニトリでは、かつてホーローのスキレットも販売していたようだが、ニトリに問い合わせてみたところ、現在は完売で、製造もしていないとのことだった。
なので、値段は3倍以上だが、LODGEのスキレットがシーズニング済みなので、こちらを購入されるのがいいかもしれない。
『ハウルの動く城』から「カルシファーの卵ベーコン」
材料・卵2個
・厚切りのベーコン
STEP1:ベーコンを3枚ほどに切る
STEP2:強火でベーコンを焼き、油を敷く
カルシファーが甲高い声で騒ぎながら、ジュワーっとやってくれているイメージが脳内に一気に広がる! 油の焼ける、い〜い匂いが漂ってきた。
STEP3:弱火にして、卵を二つ落とし、3分ほど待つ
卵があるだけで、一気にジブリ飯風になってくる!
スキレットがもう一つある方は、ここで蓋として代用するのもアリだ。
STEP4:塩コショウを振って、そのままテーブルにドーンと出す!
はい、完成! 『ハウルの動く城』から「カルシファーの卵ベーコン」だ!
お皿に移さず、そのままテーブルに出せるから手間がない! しかも見栄えもする! 可愛いマルクルがかぶりつく様子が頭に浮かんでくる。
ラピュタから「ラピュタパン」
もう一つスキレットがある方は、卵ベーコンと並行するのもよい。
材料・卵1個
・厚切りのパン(今回は4枚切り)
STEP1:レンジでパンを3分ほどトーストする
STEP2:その間に、目玉焼きを焼いて、塩コショウを降り合体!
これにて、カルシファーの卵ベーコンと、ラピュタパンのセットが完成だ!
食べてみての違いは?まず驚くのは、ただただ、おいしいということ。
たかが目玉焼きさえも普通にフライパンやホットプレートで焼くよりも、とろ~り半熟でいい具合に仕上がる。
ラピュタパンはまるでパズーのように、卵をんぐんぐ言いながら一気に食べてしまった。
それでも、普通にラピュタパンと卵ベーコンをそのままお皿に出していたら、ラピュタパンを食べている間に、卵ベーコンは多少なりとも冷めてしまうだろう。
しかし、スキレットは鋳鉄製のため、ずっと熱いまま。厚切りのベーコンはテーブルに出してからも、ステーキのようにジュージューと音を立てて食欲をそそる。
食べてみると、じゅわっと肉汁がしたたり、それでいて表面はカリッと、中は柔らかく仕上がっていて、「本当にスーパーで買ったベーコンだっけ?」と疑いたくなる美味しさ!
そして「これ、キャンプの星空の下、火を起こしながら作ったら最高なんじゃないか?」何の疑いもなく、そう思わされること間違いなしだ。
『魔女の宅急便』から「キキのホットケーキ」
材料・卵1個
・ホットケーキミックス
・牛乳
・バター
・メープルシロップ
続いて、キキのホットケーキもスキレットで作ってみるが、こちらも特にコツというものはない。
STEP1:ホットケーキミックスと卵と牛乳を混ぜ合わせ、弱火で焼く
ちなみにスキレットは、このままオーブンに入れて焼くことも出来る。
STEP2:泡がふつふつと出てきたら、蓋をして蒸らす
STEP3:ひっくり返して、STEP2を繰り返し、バターとメープルシロップをそのままかける
「キキのホットケーキ」も完成だ!
食べてみての違いは?いやはや簡単なのに、こちらも、ただ美味しい。
いつもホットプレートやフライパンで焼くと、中がパサパサして、固まってしまっている感じがするから、メープルシロップでベタベタにして誤魔化している。
なのに、スキレットを使うと不思議なくらいに中はふわっふわだ! 材料は同じなのに、お店で食べるパンケーキのよう。
さっき食べたばかりなのも忘れて、10秒足らずで平らげてしまった。
椅子に座って満腹で放心しながら思ったことはただ一つ。「ニトスキ恐るべし……」だ。本体が1000円しないし、簡単なメニューなのに、こんなにおいしく出来るのだから驚きである。
忘れてはいけない、使用後のスキレットの手入れ
さて、スキレットはこのまま洗剤で洗ってお終いではない。食後の重いお腹で動くのはちょっと面倒だが、使用後にも、シーズニングの続きがある。
STEP1:ご飯を食べたら、なるべく早く、熱めのお湯とスポンジで洗う
この時、なるべく洗剤は使用しない。なじんだ油が落ちてしまうからだ。もし、とれない焦げや匂いがどうしても気になる場合は、重曹や洗剤で洗って、STEP2に進んでもOK。
焦げ付いた場合はスクレーパーで焦げをそぎ落としてから水を入れて火にかけ、焦げつきを浮かすとよい。
STEP2:水分を飛ばすため、火で炙って乾かす
わざわざ炙るのは、水分が少しでも残っていると、錆びてしまうからだ。
STEP3:フライパンが熱いうちに、食用油・オリーブオイル(食塩を使用していない油)を全体に薄く塗る。
STEP4:弱火で5分ほど加熱する。
これにて完了。お疲れ様でした。
使ってみて、特徴やオススメは?
「ニトスキ」の強みと弱み使ってみての強みとしては、やはり「ニトスキはコスパがすごい!」ということに尽きる。
付属のものも合わせて1000円ちょっとでここまで出来て、皿に移す手間もなくテーブルに出せて便利。しかもフォトジェニックで、温かいままで美味しい。
これは凄い強みだ。
でも、弱みとしては、どうしてもシーズニングはやらなくてはいけないことだろう。とはいえ、これは実際にやってみるとそこまで手間がかかる訳ではない。最初と最後をあわせて20分くらいだ。何度かやると逆に楽しくなってくるし、なんだか愛着が湧いてくる。
ここにお金をかけるかどうかが、ニトスキかLODGEかの分かれ目だろう。
おすすめのサイズと種類は?19cmってどうなの?実際に使ってみての、おすすめのサイズは19cmだ。卵とベーコンを実際に焼いたりするとなると、16cmはかなり面積として手狭な感じがするだろう。
ただ、19cmは持ち帰る時に結構ずっしりくる……。今回、お店で手提げのビニールに入れていただいたのだが、重くて手が痺れた。そのためリュックサックを用意するか、車で買いに行くことをオススメする。
それでは、是非今週末あたりに、子供時代のワクワクを胸に、スキレットで「ジブリ飯」への第一歩を踏み出してみてはいかがだろうか?