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【いえ読み】田舎の小学生とカメは広い空を見上げテツガクする~『すみっこの空さん』を読む

2013/02/27 16:03 投稿

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手塚治虫『火の鳥』が自分の哲学の原点だと思うFP山崎(@yam_syun)です。鳳凰編で茜丸が輪廻転生するシーンとか、小学生に死生観や人生観について深く考えさせたものです。今回は小学生がかわいくテツガクするマンガ『すみっこの空さん』をご紹介します。

■テツガクは小学生でもカメでもできる!

主人公は田舎の小学生「空さん」と、隣の家に住むカメの「プラトン」。プラトンは自分のことをギリシャの哲学者プラトンと思っているのですが、空さんが自己紹介のとき「そらです」と名乗ったのを「ソクラテス」と誤解し、先生と呼んで懐くようになります。なぜなら、プラトンはソクラテスの弟子だったからです。

小学生になったばかりの空さんにとって、世界は新鮮な驚きと発見に満ちあふれています。また、東京のワンルームマンションの狭い世界しか知らなかったプラトンにとっても越してきた田舎の広い世界は初めての体験ばかり。

さらに、小学生とカメのコンビは「当たり前」という常識の枠にもまだ囚われていないので、自由に発想の引き出しが開きます。いつも一緒に遊びながら、プラトンと空さんは、(それぞれのレベルで)世界の意味を考えるのです。

■哲学は身の回りの生活とつながっている

哲学、というと何か小難しいもののように思えますが、「モノの見方・考え方」だと思えば、それは生きる力であり、判断力の基礎でもあります。

なぜ人と通じ合えないことを悲しいと思うのか、なぜ空っぽのポケットを寂しいと思うのか。そんな素朴な疑問を抱けるのは実は子供の頃だけかもしれません。私たちの中に「当たり前」がインプットされるほど、私たちは自分のアタマでモノの見方や考え方を判断しなくなります。

しかし、それはとても刺激のないつまらないことです。だからこそ、マンガの中で空さんは自由に歩き回り、自由に思索をめぐらせます。「毎日、家の中しか見てこなかった炊飯ジャーに、ゴミ捨て場に行く前にいろんな世界を見せてあげよう」なんて考えられるのはすてきなことです。

あるいは「世界を定義すること」が哲学だと考えてみると、今まで言葉で表してこなかった世界の一部を切り取り、自分のものにするプロセスでもあります。

初めて見た景色、初めて経験した小学校の生活、初めて自覚した感情をありのまま言葉にしていると、そこには「定型句」とは違った世界が見えてきます。久しぶりに家族に会えた「うれしい」が数日後の別れの合図である「さみしい」とセットであることをすっと体から外に出せる子どもの気持ちはとてもきれいなものです。

■かわいい絵柄でテツガクしよう

かわいい絵柄の空さんと、プラトンのコンビは、とても心安らぐテツガクタイムです(個人的には柔らかい印象を与えてみたいのであえてカタカナにしてみたい)。難しい気分で眉間にしわを寄せるのではなく、楽しくテツガクをしてみたいと思ったら、オススメの一冊です。

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