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フランス人建築写真家フランソワ・アラールと、故ソール・ライターを訪ねる

2017/10/11 20:30 投稿

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映画『人のセックスを笑うな』で、美術学校の講師ユリにモデルを頼まれたみるめは、彼女のアトリエを訪れる。笑ってしまうほどに不器用で切ないふたりの関係がはじまる、この作品の中でもっとも象徴的なシーンのひとつ。そこでのふたりの些細なやりとりや表情から、僕は一瞬たりとも目が離せない。

それなのに、一体どうしてだろう。何年もあとになって思い出すのは、そのアトリエに置かれていた謎の巨大オブジェの存在、みるめが座らされたソファ、ユリが使い方さえわからないアラジンの石油ストーブ、そしてふたりが必死に膨らませた黄色いエアベッドだ。

それはきっと、主人公と同じように僕が最後まですべてを理解できなかったユリという女性の存在を、それらひとつひとつがくっきりと浮かび上がらせるからではないか。

フランス人フォトグラファーであるフランソワ・アラール(François Halard)は、南仏アルルとNYを拠点にアーティストの自宅や有名建築などの撮影を手がける、高名な建築写真家のひとり。これまで世界的に有名なアーティストのアトリエに赴いては、自らをインスパイアする場所を数多く写真に収めてきた。

彼が今回訪れたのは、アメリカ人画家で、写真家のソール・ライター(Saul Leiter)のアトリエ。享年89歳でこの世を去ったライターが2013年まで暮らしていたイーストヴィレッジにあるアパートメントだ。そこを訪れたアラールは、朽ちかけた壁や空っぽのクロゼット、わずかに遺された故人の私物などを撮影し、ライター自身がどこからか現れそうなほどの気配や臨場感を漂わせた作品を、写真集『Saul Leiter』にまとめた。

そんな『Saul Leiter』の刊行を記念した展覧会が、恵比寿POSTにて開催される。展覧会では、『Saul Leiter』の日本限定スペシャルエディションのプリント10点(各エディション10部限定)を展示販売するほか、10月12日(木)に行われるオープニングレセプションには初来日となるフランソワ・アラールも参加し、サイン会を開催する。


ライターが55年間暮らしたアパートメントには、すでにライターの姿はない。だからこそ、剥がれ朽ちかけたその壁に、シワがよったままのシーツに、いまにも倒れてしまいそうな傾いた間接照明に、彼をさがそう。そこに、生前よりもくっきりとその存在があらわれることを信じて。

Saul Leiter by François Halard
開催期間:2017年10月12日(木)〜29日(日)12:00-20:00
定休日:月曜(祝日の場合は通常営業)
会場:POST(東京都渋谷区恵比寿南2-10-3)
オープニングレセプション&ブックサイニング:10月12日(木)19:00〜21:00

レギュラーエディション書籍概要
判型:ハードカバー/4ページ(45図版)/235x285mm/カラー 価格:6,800円+税
詳細:https://twelve-books.com/products/saul-leiter-by-francois-halard

スペシャルエディション/日本限定版書籍概要
判型:ハードカバー(アーカイバルピグメントプリント付き)/スリップケース入り/64ページ(45図版)/35x285mm/カラー/サイン・ナンバリング入り/価格:140,000円+税(額装有り) 120,000円(額装無し)
詳細:https://twelve-books.com/products/saul-leiter-by-fran-ois-halard-japanese-special-edition


Saul Leiter by François Halard[POST]

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