日本にでは味わえないお酒、フェダーヴァイザーを一言で表すとしたら、“ワインになる前の姿”。収穫されたばかりのぶどうの果汁が、“発酵中”のお酒。酵母が残っている状態だ。4%のアルコール濃度になると、フェダーヴァイザーと呼ばれ、1年のうち2ヶ月弱だけ楽しめる貴重なお酒である。
貴重なお酒なんて書くと玄人向けに聞こえるけれど、実は、お酒が苦手な人にこそオススメしたい。
ぶどうの収穫時期によって、出現時期も変わるし、まさに発酵中の生きたお酒だから、2ヶ月の間に味もアルコール度数もかなり変わってくるのだ。
出始め時期のものは、まるで口一杯にぶどうをほおばったようにフルーティー。スパークリングワインよりも強い炭酸がとてもさっぱりして、まだまだ暑い季節に持ってこい。
対して、終わり時期に飲むフェダーヴァイザーはフルーティーの中に、渋みも出てきてだんだん辛口に。ワインの貫禄を少し感じられる。4%だったアルコール度数もこの頃には11%に。
(フェダーヴァイザーとは「白い羽」という意味で、酵母が羽のように見えることからこう呼ばれているが、ワインと同じように赤とロゼもある)
ところで、発酵中のお酒だからこその面白さは、その取り扱いと、貴重なワケにある。
ラベルを見てみると……
赤く囲まれて、「横にしないこと」と書いてある。
瓶の蓋にまで、念入りに。
実はこのボトル、スーパーなどで売っている時も、蓋がちゃんとしまっていないのだ。発酵中のため、密閉してしまうと破裂してしまう恐れがあるから。
それはつまり、購入したフェダーヴァイザーを日本へ持ち込むことなど不可能というわけだ。まさに、“発酵中”というキーワードが、この時期にだけ、ここヨーロッパだけ、の特別感を生み出している。
この時期にドイツを訪れる人には、大きな自然の中で玉ねぎケーキを食べて、フェダーヴァイザーを飲みながら感じる秋の訪れをぜひ経験していただきたい。
ただドイツのスーパーはベルトコンベア式のレジが多いので、フェダーヴァイザーに関しては、順番が来るまで手に持っていることを忘れずに。そして、飲みやすくてぐんぐん飲めてしまうので、知らない酔っぱらってしまわないように気をつけて!
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