「短歌」に意識を向けてみたら、140文字より圧倒的に少ない“31文字”のことばに、詰まっているものに驚いた。ハッとしたり想像が膨らんだりするのがとても楽しく、日々にクリエイティブな視点を与えてくれる気がしている。
その月に合ったテーマで月1本、リレー形式で毎月異なる歌人の短歌を、描き下ろしの10首連作でお届けする。
連作の中にある展開やストーリーを、まずは楽しんでみてほしい。
第4回目の歌人は永井 祐さん、テーマは「アイス」。
夏休み 最後の8時間
永井 祐
昼に何をしたかで夜の表情はちがって見える 灰皿とかも
文字と文字の離れ具合がちょっとずつちがう気がする字幕をみてる
コンビニのアイス売り場は壁際から通路沿いへと引っ越していた
わたしはピノをあなたはガツン、とみかんを買いコンビニを出るうろうろ歩く
ウクレレを寒いところで弾くような時間をすごすお風呂場の中
風呂場というものが少ない空間にしばらくいるとアイデアが出る
引き出しを抜き取るとただの箱になりどこに置いたらいいかわからない
あと4時間で終わるわたしの夏休み 掃除するためベランダに出る
キーボードの上に動物ビスケット 置いてくれそうな人 二人いる
夏休みが終わっても夏が続いてる ベランダはきれいになりました
1981年生まれ。1999年、サークル「早稲田短歌会」入会。2002年、北溟短歌賞次席。 2007年、「セクシャル・イーティング」に参加。2008年、「風通し」に参加。ガルマン歌会などで活動。「日本の中でたのしく暮らす」発売中。
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illustrated by ki_moi
第一回目:交通費くらいは出してあげるから平たい布団に眠りにきてよ(東 直子)第二回目:コインチョコ、ひと月前の指定券、ジョーカー、行けるとこまで行こう(平岡 直子)
第三回目:思い出が狛犬になるカーテンを閉じたらたった一人だけれど(北山あさひ)
第四回目:わたしはピノをあなたはガツン、とみかんを買いコンビニを出るうろうろ歩く(永井祐)
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