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目指せDIYマスター。壊れたイスをリペアする方法、ACME Furnitureに学んでみた

2017/08/01 06:00 投稿

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店では買えないオンリーワンのアイテムを手にできるDIY。ただDIYといっても、その幅はとてつもなく広い。簡単な棚を作ったり、色を塗り替えたりといったものから、いちから家具を作ったり、リペアで作り替えたりといったレベルまで、求められる技術はさまざま。特にリペアや家具を作るには、それなりの経験を要する。

今回ROOMIE編集部は、1960~70年代のアメリカヴィンテージ家具を買い付け、専門職人がリペアし販売するACME Furniture(アクメ ファニチャー)の工房へ伺い、リペアの技術を学びつつ、実際のリペアを体験。ROOMIE読者がDIYやリペアをしてみようと思った際に役に立ちそうなTipsを学んできた。

新しい家具を購入しなくても、昔から使っている家具がガラリと変わる。なかなか工程は多いが、リペアのBefore / Afterのあまりの違いに、きっと驚くだろう。



ACME Furniture 設樂真也さん

リペア体験にあたってはACME Furnitureの家具職人・設樂真也(したら・しんや)さんの指導のもと、リペアを行った。今回リペアするのは、ROOMIE編集部・緑川が実家で使っていたダイニングチェア。20年以上使われていたこともあって、座面が割れて使えなくなっていたもの。



設樂さんには事前に椅子の写真をお送りし、今回のリペアデザインを考えていただいた。座面を張り替え、黒一色の木部を部分的に茶色に塗り変えるというものだ。作業ステップは以下。

作業ステップ
STEP1:割れた椅子の座面を外す
STEP2:座面の張り替え
STEP3:木部の色を一部落として塗り替え、仕上げ直す
STEP4:トップコートを塗り直して、完成

所要時間
電動工具があれば、DIY初心者の1人作業で1日程度
今回は、電動工具も使いながら、2人がかりで5時間

『ACME Furnitureの職人に習う、壊れた中古椅子のリペア』

用意するもの リペアしたい椅子/木の板(今回は5mm厚、40cm角を使用)/紙やすり(120番、240番)/カッター/ノミ or 彫刻刀/好きな布/鉛筆/ビニールひも or 糸 or木の端材/ノコギリ/ウレタンフォーム(今回は八幡ネジのウレタンフォーム #2 20×500×500mmを使用)/カッター/接着剤(今回はG17ボンドを使用)/タッカー/オイルステイン/いらない布 or 刷毛//トップコート(今回は無色透明つや消しのラッカー)/ビス

<あると便利なもの>
電動ノコギリ or 糸ノコ/作業用クランク or 洗濯バサミ/サンダー/ペイント薄め液/スチールウール/電動ドリル

STEP1:割れた椅子の座面を外し、平らに整える



はじめは、座面の張り替え。今回は座面が割れてしまっているため、既存の座面をはがした上で、座面を作り直す必要がある。最初は手でざっくりはがし、残った細かい部分もきれいにはがしていく。細かい部分はカッターや紙やすりで椅子に沿わせるように削って整える。それでも剥がれない部分は、隙間からヘラを差し込んで剥がしてみよう。

あとで座面を載せることを考えると、座面が乗る部分は平らにしなければいけないので、ノミ or 彫刻刀で整え、そのあと紙やすり(120番)でさらに平らに。うまく平らにならない場合は、いらない木片に紙やすりを巻きつけて使うとやりやすい。

STEP2:気に入った布を使って、座面を張り替える



つぎに新しい座面を作っていく。

既存の座面の幅と同じサイズに板を切り出す。今回は5mm厚、40cm角のベニヤ板を使用。直径を測り、座面を切り抜く木の板に鉛筆でガイド線を落としていく。今回は直径が379mmで、4mm厚の布を巻き込むため、375mmとした。中心を出して円を描く。

このサイズのコンパスはさすがにないので、ビニールひもや糸を使って円を描くのがオススメ。当日は木の端材をコンパス代わりに円を引いた。

予想サイズになっているかを測って確認した上で、引いた線に合わせて板から座面を切り出していく。誰かに板を押さえてもらうか、作業用クランクや洗濯バサミを使って作業机に固定しよう。

ノコギリを使ってもいいが、かなりの労力を要するのでできれば電動ノコギリや糸ノコをオススメする。最近は工具の貸し出しを行っているホームセンターが多いので、そこで後述する工具も含めて借り、一気に作業するといいかも。円を切り出す場合には、刃の厚みが薄めのものがいい。

切り出したあとは、一度椅子に置いてハマるかを確認してから、断面を紙やすりで整えよう。角が尖っていると座面の布がやぶけやすい。



座面となる板が用意できたら、座り心地をよくするためのウレタンフォームを切り出していく。ウレタンフォームはホームセンターで簡単に入手可能。今回は八幡ネジのウレタンフォーム #2 20×500×500mmを使用。

切り出した板をウレタンフォームの上に載せてガイド線を引き、カッターでぐるっと切り出していく。カッターは新しい刃を使い、断面を直角にするイメージで刃を立てると切り出しやすい。

ウレタンフォームが切り出せたら、接着剤で座面の板と貼り合わせよう。今回は多くのホームセンターで売っているG17ボンドを使って、花を描くように全体に塗布した。

ウレタンフォームを貼り合わせたら、座面となる布をかぶせる。布のチョイスは、キャンバス地のように厚すぎたり、シワがよりやすい薄すぎないもの、また伸びすぎないものがベスト。

布は座面+10cmずつくらい余分に切り出せばOK。たとえば今回は直径45cmほどの座面なので、布は60cm角ほどとした。





切り出した布をかぶせ、裏側をタッカーという大きなホチキスのようなもので止めていく。布の中央に板を置き、布を強く引っ張り、なるべく表側にしわができないように止める。なかなか力がいる作業だ。浮きやしわができてしまったら、一度外してやり直すか、ハンマーで叩いてみよう。

今回は円形なので対角の場所を小刻みに、座面の端から5cm程度の位置で一周グルッと止めていく。四角い座面の場合は、布の角に切り込みを入れて張りやすくしてもいい。

最後に余った布を切れば座面は完成。ここで全体の半分ほどだ。

STEP3:木部をきれいに仕上げ直す



座面の後は、木部の塗り替え。今回の椅子は曲木で有名なイタリアのトーネット。ネジで止まっていて分解可能なため、色を塗りやすいよう一度椅子を分解した。外れない椅子はそのまま塗装に入ってOK。

まずはネジを外していく。

ばらしたあとは、色を変える部材だけ、木目に沿って塗装を剥がしていく。紙やすり(120番)でもいいのだが、今回の椅子のようにしっかりと色がついているものは紙やすりで剥がすのはなかなかの重労働なので、できればサンダーという電動工具を使うのがオススメ。そのあと、番手の細かい紙やすり(240番など)で仕上げていく。

やすりがけの際は、接合部をやりすぎると削れてしまうので注意。


一通り剥がしたあと、オイルステインで色を入れる。今回は和信ペイントの水性ウレタンニスのチークを使用した。容量は300mlあればOK。

塗装する際は、手袋をするなど直接手につかないように気をつけよう。今回は着ないTシャツなどの布につけて塗装を行ったが、刷毛で塗ってもOK。平面を広く塗る場合は、刷毛の方が効率がよさそうだ。

このとき、まずは目立たない場所に塗ってみて、色味が希望通りか確かめよう。



続けて、塗装をそのまま活かす部分もメンテナンスを施していく。さすがに20年以上使われているので、それなりに汚れがついているからだ。今回は、市販のペイント薄め液をスチールウールにつけ、全体を磨いていった。この日はこのまま作業を続けたが、ここで半日〜1日程度乾かせたらベスト。

STEP4:トップコートを塗り直し、座面を固定したら完成

パーツが一通りできあがったところで、再度組み上げていく。すべてのビスを強く締めないで、仮で入れてみて確認をしてから締め上げる。

座面を置いてみたとき、地の色が見えて気になったら、そこにもオイルステインを塗ろう。細かい箇所は筆を使うと塗りやすい。


座面以外が組み上がったら、最後に全体をコーティングして仕上げる。今回はこれまたホームセンターで普通に販売されている、無色透明つや消しのラッカー系トップコートを使用。吹き出し口の向きが縦横が変えられるので、横の面は縦吹き、縦の面は横吹きに変えて、1箇所ずつ進めるとムラなく塗れる。抜きつけすぎると滴れるので、ちょっと難しいが滴れるか滴れないかの仕上がりがベスト。

そのあと、20〜30分置いておこう。



木部が組み上がり、コーティングも乾いたところで、最後に座面を取り付けていく。新たに取り付ける座面は、電動ドリルやキリで貫通穴を最低4箇所くらい開ける。今回は座面の厚さが25mmなので、ビスは3.5mmを使用し、穴は4mm程度開けた。ただ、穴は一気に太い針で開けず、細い針で開けたほうが安全。

座面の向きを決め、穴に合わせてビスで座面を留め、固定したら完成だ。


リペアは、個別のアイテムごとで構造が違うため、一概に正解があるわけではない。ただ、基本的な直し方さえマスターすれば、あとは応用が効く。

自宅でDIY作業をする場合は、汚れてもいいベランダで行おう。

自宅で使っているあの家具も、中古屋で売っている家具も、ACME Furnitureで販売されているような雰囲気があるヴィンテージアイテムにリペア……なんてことも夢ではない。DIY男子の諸君は、ぜひ試してみてほしい。

ACME Furniture

Photographed by Kenya Chiba

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