どの街、国で暮らそうか。Iターン・Uターンなど国内外へ移住する人が増え、選択肢が広がってきている。今回は、子どもの教育を考慮してスウェーデンの首都・ストックホルム郊外へ移住し、マンションを購入した吉澤智哉さん一家の部屋を、吉澤さんの視点で取り上げる海外版。スウェーデンではDIYがきわめて盛んで、移住後、日曜大工のレベルが必然的に上がっているのだそう。
名前:吉澤智哉さん、奥さん、長女(3歳11ヶ月)、次女(生後1ヶ月)職業:自動車部品メーカー研究開発(吉澤さん)
場所:スウェーデン・ストックホルム郊外
間取り:2LDK 74平米
住宅価格:3,400万円 ※1スウェーデンクローナ=13円の場合
築年数:51年 マンション
DIYをするには工具が必要。完成度は、個人のスキルは当然ながら、工具の質でもでき栄えが変わってくる。私はスキルが足りない分、高価な工具を使って補っている。
お気に入りの場所
趣味のもので占領されたリビング私の趣味、DJブースや自転車はリビングに置いている。大きなソファは3人各自の定位置があり、食後に団らんするのが日課。娘は定位置でひたすらピョンピョンと飛び跳ねている。
2台で150万円もした自転車は、日本にいた頃に購入した。スウェーデンでもこの手の自転車競技やイベントはとても盛んに行われているので、近々参加する予定。
自分で床を張り替えたダイニングと玄関ホール床の張り替え前で物件売り出し中の広告のもの(家具は旧オーナーのもの)
ダイニングと玄関ホールの床の張り替えは、DIYで3日ほどかかった。ホームセンターで買ってきた板を、長さを合わせて切断して繋ぎ合わせ、既存の床の上にそのまま敷いた。つまり、正しくは張り替えではなく上乗せということになる。
これは決して楽をしたいためではなく、床の構造を調べた上で、既存の床を剥がすのか、床下の土台も変更するのか、目的や求めるレベルに応じてやることがかなり変わってくるのだ。実作業はもちろんだが、スウェーデン語で一生懸命GoogleやYoutubeを検索し、ホームセンターの店員さんと入念に相談して、段取りを考えるところも楽しかった。
手前がBefore、奥の黒い床がAfter
玄関ホールも同様で、自分の好きな色と柄の床板キットを買ってきて、適切な長さに切断、張り合わせていった。
ちなみに、スウェーデンの家には必ず玄関脇にコートやカバンを掛けられるようになっていて、これが非常に便利。
見晴らしのいいバルコニーわが家のバルコニーには屋外用のソファが置いてあり、天気のいい日はここでお茶をしたり、昼寝をしたり。夏場、特に6、7月は日照時間がとても長く、夜中まで外が明るいので、日が暮れるまでバルコニーでゴロゴロしている。
目の前に公園があるのだが、これが非常に便利。公園で遊んでいるとたいがいご近所さんに出くわし、その後わが家でお茶をすることもある。単なる公園ではなく、小さな子どもを持つ家族の交流の場として機能している。
この家に決めた理由
スウェーデンでは割と気軽にお客さんを家に招く傾向にある。仲よくなった近所の年金暮らしのご夫婦とは、引っ越し祝いをした。何かとお世話になっており、スウェーデンでの両親といった感じ
スウェーデンに移住したのは、子どもの教育が大きな理由。娘が、女性として21世紀を世界中どこでも好きなように生き抜くには、どの地での子育てが最適なのか、われわれ夫婦の出した結論がスウェーデンだった。
例えばスウェーデンでは、政治家は半数が女性だったり、企業の管理職も珍しくなく、女性として生きる道がたくさんある。それに、小学校から大学まで学費は税金で賄われて無料なので、貧富の差が学ぶ機会に反映されない。教育自体も、いわゆる詰め込み型教育ではなく、受験も存在しない。
移住先として、デンマークやフィンランド、ノルウェーやオランダなども候補先に上がったが、私の仕事が自動車業界でしか潰しが効かないこと、日本の外資系企業で働いていた際に欧州人と働くのが自分に合っていると感じたこと、現在働いている企業はクルマ・バイク好きの自分が昔から憧れていたスウェーデンブランドであることなどから、スウェーデンの選択となった。詳しい移住に至った経緯は、自身のブログでも語っている。
現在、妻が学業に専念しているため、スウェーデンでは珍しく共働きでないわが家。そのためローンが組めなかったり、収入、制度などの理由から、比較的安価な現在の家に決定した。ちなみに、スウェーデンで家を買うのは日本ほど大したことではない。そもそも賃貸物件がほとんど存在せず、また賃貸物件を見つけたとしてもかなり割高となってしまう。なので、私も移住早々に住宅の購入を決意したのだが、移民がスウェーデンで家を買う方法は、ライフハッカー[日本版]で執筆した記事「移住先のスウェーデンでローンを組んで家を買う方法」をどうぞ。
残念なところ
窓辺ではイチゴやみかんを栽培しており、娘とともに日々の成長を観察するのが日課。ミカンはとても酸っぱく、娘とともに大騒ぎした
せっかくDIYをして暮らし始めたこの家だが、2人目の娘が産まれたばかりで、いずれそれぞれの子ども部屋が必要となることを考えると、2LDKのこの家に住めるのは長くても5年ほどだろう。次はもう少し大きな家に引っ越ししないといけない。
スウェーデンでは、ライフスタイルに合わせて家をコロコロと変えていく。その度に自分でリノベーションをしていくので段々と腕も上がっていく。自分も引越しをすれば、また床を張り替えたり、DIYするはず。次の家の床はもっと完成度が上がることだろう。
お気に入りのアイテム
ゲストを招いてもゆったり座れるソファゲストを招いてもゆったりと座れるソファは、MIOというスウェーデンではお馴染みの家具屋さんにて購入。
暮らしのアイデア
リビングのテレビは、DIYで壁掛けにテレビの壁掛けは、コンクリートの壁にハンマードリルで穴を開け、鉄製のキットをボルトで固定するだけ。DIYが盛んなスウェーデンでは、テレビの壁掛けぐらいなら30分もあれば十分だ。
これからの暮らし
移住して早々に家を買い、安住の地が定まった感じがする。また、家のDIYをすることで、スウェーデンの文化に深く触れられる。ご近所さんや友人、同僚と家のDIYの話をすると「キミもスウェーデン人っぽくなってきたねぇ!」なんて言われる。
これから数十年の時間があり、家族のライフスタイルに合わせてどんな家に住み替えていくのかを考えるだけでもワクワクしている。スウェーデンでは一般家庭でも別荘を持つことが割と普通なので、いつかわれわれも別荘を買うのが夢だ。
まさか自分がスウェーデンで家を買うことになるとは思ってもみなかったが、今後はスウェーデン流の住宅文化を存分に楽しんでいければと思う。
スウェーデンでの暮らしに興味がある方は、私の移住ブログや、こちらもライフハッカー[日本版]に寄稿した「海外企業へ転職するための具体的なステップ」をどうぞ。
Photographed by Tomoya Yoshizawa
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