なにわちょろけん レアチーズクラッカー
大阪出身の友人が昔勤めていた会社では、お盆やお正月の帰省時期のあと、地元のお菓子や名物を持ち寄って、会議室のテーブルに広げてみんなで食べる習慣があったそうだ。会社に入りたての頃、なんとなくシャレがきいたパッケージのお菓子を買っていったところ、さすがはお笑いの本場のおみやげと喜んでもらうまではよかったが、以来ずっと、「○○さんはユニークなお菓子を選んでくる」と期待されるようになったらしい。
その会社を辞めてから、おみやげを差し出すことももらうこともめっきり少なくなり、今となっては懐かしいという。大阪から我が家に届いた2つのおみやげを前に、そんな話になった。
「なにわちょろけん」で、大阪老舗の味を一度に
パッケージを開けると「まいど」&「おおきに」
大学時代4年間を大阪で過ごした私は、一人暮らしをはじめた当初、地元・静岡と大阪との文化の違いに随分驚き、それまで知らなかった言葉や食やタレントまでも、人に聞いて真面目に学んだ。“関西人なら必ず知っている”と教えてもらったお菓子があればスーパーで探して食べてみていたのだけれど、その一つが、「あたり前田のクラッカー」とキャッチコピーがついた、前田製菓の「前田のクラッカー」。あっさりとした塩味で、果物のジャムをのせたり、スープに添えて朝食によく食べた。
そんな前田のクラッカーと、大正2年から大阪で練羊羹を作り続ける梅花堂本店のブルーベリーソース付きレアチーズ、老舗の味がセットになった「なにわちょろけん レアチーズクラッカー」。缶にあしらわれれているのは、江戸時代の浪速(大阪)で流行した、福を呼び込む大道芸“ちょろけん”のかぶりもの。
ひょうきんな顔の大きな張りぼてで仮装した大道芸人が、「ちょろが参じました、ちょろを見る者福来たる」と唱えながら町を練り歩いていたそう。芸ごとが盛んな大阪みやげとして、渡した人にも福が訪れるようにと願いが込められている。
芋けんぴは、お裾分け袋付きがうれしい
この大阪らしい組み合わせを考えた「せのや」は、ちょろけんが流行したのと同時代の江戸時代創業。400年前の大阪は「天下の台所」と呼ばれ、全国諸藩から多くの産物が運び込まれた。例えば大阪に残る地名・土佐堀の由来は、土佐(高知)から届いた品が荷揚げされた場所だったから。
高知名物の芋けんぴが缶に詰まった「なにわちょろけん ちょろけんぴ」も、浪速と大阪との結びつきを物語る。歯切れのいい芋けんぴは高知で大正時代に創業した横山食品製。お裾分け袋が付いているのも気がきいているけれど、私は出かけるときのスナック・タイム(間食)用に、袋に移してカバンに忍ばせよう。
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ROOMIE(ルーミー)さん(@roomie.jp)がシェアした投稿 – 2017 7月 6 5:03午後 PDT
「スナック・タイム」バックナンバー・七夕、愛らしい和菓子の日。西陣織の糸玉をかたどって
・りんごでしょうか、いいえ、マシュマロ
・これはGIFにしたくなる味わいのパッケージだ
photo by Suzuki Ryuichiro