今から約150年以上前に暮らしていた人びとは、1年の季節を24分割にした「二十四節気」と呼ばれる区分けと、そこからさらに細分化された「七十二候」を暮らしに取り入れていた。72個の季節というと、だいたい5日に1つのペース。そのときの旬の食材を食べ、旬の花木を愛でる生活をし、自然の移り変わりとともに今よりずっと細分化された季節の移ろいを感じていたのだ。
七十二候の「意味」や旬の食材を知ることで、普段よりも敏感に季節の変化を意識できる。季節の移ろいを感じ、取り入れてみて、暮らしに深みをもたせよう。
前回の七十二候:「蚕起食桑」養蚕業の主、活動を始める
七十二候:蟷螂生(かまきりしょうず)
6月5日~6月9日ごろ
四季:夏 二十四節気:芒種(ぼうしゅ)
カマキリが生まれる季節。基本的にカマキリは木の幹に卵を作るが、たまに一般家庭の「網戸」に付いていることがある。
仮に見つけたら、網戸から取り除くことがおすすめ。というのも、孵化すると1cm程度の小さなカマキリが、およそ100匹ほど出てくる。初めて見る人にとっては興味深い光景ではあるが、その100匹が家の中に逃げ込むと大変なことになるので注意が必要だ。
旬の食材
らっきょうカレーのおとも・らっきょうは、鹿児島県や鳥取県で多く生産されている。鳥取県の「砂丘らっきょう」は江戸時代から続いているという。
市販されているらっきょうも然り、一般的なものは「甘酢漬け」だが、「塩漬け」や「醤油漬け」、「黒砂糖漬け」などもある。
あいなめカサゴやメバル、ホッケの仲間で、日本各地の沿岸に生息する高級魚。鮎に似ているところがあるため「鮎魚女」「鮎並」という字があてられる。
刺身や煮付けの他に、汁ものも絶品だ。
本日の一句
草花にあはれ日のさす出水かな原石鼎
「出水」とは、雨で河川が増水し、氾濫することを表すこの時期の季語。そんな梅雨の光景の中で日が差し込んだ草花を見つけ、思わず「あはれ」と発した様子が描かれている。
作者は雑誌「ホトトギス」でも活躍していた人物で、高浜虚子に師事。その後俳句雑誌「鹿火屋」を立ち上げた。
次回は「腐草蛍為(ふそうほたるとなる)」。
illustrated by Kimiaki Yaegashi参考文献:白井明大(2012)『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』東邦出版.
Japanese Pickles shallots or rakkyo eats with japanese curry image via Shutterstock
An Image of Greenling via Shutterstock