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「蚕起食桑」養蚕業の主、活動を始める|七十二候ダイアリー

2017/05/21 10:00 投稿

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桜が咲いて初々しい新社会人を街で見かけたら「春だなぁ」と、道すがら蚊取り線香の匂いがすると「夏だなぁ」と、なんとなく思うことがあるものの、僕らが日常生活の中で季節の変化を意識することはそんなに多くない。

今から約150年以上前に暮らしていた人びとは、1年の季節を24分割にした「二十四節気」と呼ばれる区分けと、そこからさらに細分化された「七十二候」を暮らしに取り入れていた。72個の季節というと、だいたい5日に1つのペース。そのときの旬の食材を食べ、旬の花木を愛でる生活をし、自然の移り変わりとともに今よりずっと細分化された季節の移ろいを感じていたのだ。

七十二候の「意味」や旬の食材を知ることで、普段よりも敏感に季節の変化を意識できる。季節の移ろいを感じ、取り入れてみて、暮らしに深みをもたせよう。

前回の七十二候:「竹笋生」たけのこが、食卓に並び始める

七十二候:蚕起食桑(かいこおきてくわをくう)

5月21日~25日ごろ
四季:夏 二十四節気:小満(しょうまん)

字面そのまま、蚕が桑を食べ始める季節。蚕は4度の脱皮を経て、糸を吐いて繭を作り始める。その繭から、生糸が作られる。

開国を機に輸出を再開させた頃、最大の輸出品は生糸であった。その立役者となった富岡製糸場は、2014年に世界遺産登録され、今でもほぼ当時のままの姿で残っている。

旬の食材

そら豆

一般的には茹でて食べるそら豆。こんがり黒くなるまで、さやごと魚焼きグリルに入れて食べると風味を閉じ込めることができ、よりおいしくいただける。

基本的には砂底付近で暮らしている鱚。この時期は産卵期のため、浅瀬まで出てくる。

一般的な鱚は「シロギス」という種類の魚で、その姿から「海の女王」「海の白雪姫」などと呼ばれることがあるという。

本日の一句

さまづけで 育てられたる 蚕かな

小林一茶

1810年の正月から1818年の12月までの記録を綴った句日記「七番日記」の中の一句。

蚕を使いその繭から生糸を作る「養蚕」は、弥生時代に中国から伝わったとされており、ずっと前から暮らしの中にあった。江戸幕府は養蚕を推奨するなど、特に力を入れていたという。

その養蚕業を支える蚕は、敬称を付けて呼ぶほど大切なものだったことがうかがえる。

次回は「紅花栄(べにばなさかう)」。

illustrated by Kimiaki Yaegashi

参考文献:白井明大(2012)『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』東邦出版.
Fresh broad beans image via Shutterstock
silver sillago image via Shutterstock

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