世界の多様な価値観を持った映画を紹介しているアップリンクが、奥渋谷にある映画館の次に立ち上げた新しいオンライン映画館“アップリンク・クラウド”。劇場公開中の最新映画を、自宅のテレビやスマホで観ることができ、自分の部屋が映画館になる、これまでにないサービスだ。

「今月の家シネマ」は、アップリンク・クラウドで楽しめるオススメ映画作品を、アップリンクスタッフが独自の視点で執筆し、紹介する連載。

サードウェーブ・コーヒーに愛と情熱を注ぐ『A FILM ABOUT COFFEE』

みなさんは、巷で話題の“サードウェーブ・コーヒー”を、もう体験しただろうか。

これまでにないおいしいコーヒーが飲めるらしいと、新たなコーヒー時代の幕開け感に煽られた多くの人が、清澄白河にやってきたブルーボトルコーヒーに列をなしたのは記憶に新しい。それを横目で見ながらも、まだ体験していない人に、ぜひ映画『A FILM ABOUT COFFEE』を観てから、サードウェーブ・コーヒーが飲める店に足を運んでみてほしい。


このニューウェーブの特徴は、とにかく仕事が丁寧なこと。客の目には見えない生産者とのやりとりから豆の扱い方、コーヒーの淹れ方、提供の仕方まで、「ここまでしてでき上がった一杯が、おいしくない訳がない」と思わせる彼らの仕事ぶりを、本作ではくまなく紹介している。

何より、そのコーヒーのおいしさを確証付けるのは、彼らのロマンと愛情だ。人生をかけて、蝉の一生より短い「至極の一杯」を求めて世界を飛び回る姿は、感服せざるを得ない。

劇中にはポートランドやニューヨークはもちろんのこと、下北沢のベアポンド・エスプレッソや2013年に閉店した表参道の大坊珈琲店など日本の店も登場し、いかに東京がコーヒー文化に恵まれた都市か実感できる。

コモディティ・コーヒーの生産者を追う『おいしいコーヒーの真実』

そんな最高のコーヒーを朝昼晩飲めたら……と思う一方、財布事情も考慮して、平日にオフィスや自宅で嗜むのは少し安価な市販のコーヒーという方も多いのではないだろうか? これら「コモディティ・コーヒー(大量消費型コーヒー)」の生産者に焦点を当てるのがドキュメンタリー『おいしいコーヒーの真実』だ。


アラビカコーヒー発祥の地と呼ばれるエチオピアで、コーヒー農家を束ねるタデッセさんという男性が、取引先であるグローバル企業とのフェアトレードを求めて奔走する様子をカメラは追っていく。

生産者がいなければ、毎日のおいしいコーヒーも存在しない。ここにもタデッセさんのコーヒーに対する真摯な愛とロマンが溢れており、地球の裏側から届けられる一杯に思わず感謝してしまう。

これからもタデッセさんとエチオピアの生産者が、おいしいコーヒーを作り続けられるよう、消費者として妥当な対価を支払っているか、しっかりと確認したいものだ。

映画を観て、カップの向こうに広がる景色に想いを馳せながら、今日も一杯いただきます。

A FILM ABOUT COFFEE』[UPLINK Cloud]
(C)2014 Avocados and Coconuts.
おいしいコーヒーの真実』[UPLINK Cloud]


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