新宿や渋谷に電車一本というアクセスの良さ。買い物に便利な駅前の繁華街。そして、この街の顔ともいえる自然豊かな井の頭公園がある吉祥寺からバスで15分ほど。奥様と小学2年生になるお子さんと一緒に暮らすのが、アメリカヴィンテージ家具の会社で働く勝山龍一さん。新築マンションでありながら、自由な発想で居心地の良さを追求する勝山さんの暮らしには、さまざまなアイディアが散りばめられていた。
名前:勝山龍一さん職業:アクメ ファニチャー/ジャーナル スタンダード ファニチャー セールスプロモーション
場所:東京都三鷹市
面積:3LDK 74㎡
購入価格:非公開
築年数:3年
お気に入りの場所
ウッドパネルで作ったアクセントウォールヴィンテージ家具を独自の価値観でセレクトし、自社工房にてメンテナンスして販売する「アクメファニチャー」のセールスプロモーションを担当する勝山さん。以前は、中古マンションを自分好みにリノベーションしたいと思っていた勝山さんが選んだのは、井の頭公園からほど近い新築のマンション。
「一人暮らしと違って家族で住む家なので、妻の意見や子どものことも考えて決めたいと考えるようになりました」
勝山さんが真っ先に手を加えたのが、生活の中心となるダイニングの壁紙。R不動産toolboxの古木タイルは、海外の木造住宅で使われていた建材や枕木を加工した壁材で、天然古木の素材・形をそのまま生かしたウッドパネルだ。古木ならではの深い色合いや不揃いさが、部屋全体にヴィンテージ感を醸し出す。
「アウトドアや自然が好きでこの街を選んだので、家の中でも木の温もりを感じられるアクセントウォールが欲しかったんです。購入時に貼られていた真新しい壁紙を剥がし、職人さんにウッドパネルを貼ってもらいました。大きな面積の壁を変えることで、ヴィンテージの家具やインテリアもしっくりと馴染みます。下地の壁さえ設置すれば、賃貸でも取り付けることができますよ」
フェザーソファとドリフトウッドのテーブルを置いたリビングダイニングとひと続きになっているリビングには、入居時に購入したアクメファニチャーのソファと、テーブルが鎮座。
1950年代のソファをモチーフにデザインされたソファは、ゆったり余裕のある作りが印象的だ。流木をつないで作られたテーブルは、木目の表情が際立つシンプルかつソリッドなデザイン。
この部屋に決めた理由
「以前は、利便性や友人が近くに住んでいることを重視して、三軒茶屋や駒沢に住んでいたこともありました。でももう都会は疲れたのもあって(笑)、結婚後にこの界隈で暮らし始めたら、自然豊かで便利で山も見えて、すごく気に入ったんです。家を購入するときも、このあたりの家に限定して探しました。
この界隈は、井の頭公園をはじめ近隣に大小さまざま公園があって、昼夜問わずとても静かなのも気に入っています。駅からはバス約20分という立地は人によっては不便に思うかもしれませんが、僕は自転車やバイク、車に乗るのが昔から好きなので、ぜんぜん問題ないですね」
家を購入する際に見た中古マンションは、築20~30年のマンションで天井が低い物件が多く、圧迫感があった。この物件は、天井が高いことで得られる開放感が決め手になったそうだ。また、エントラスやエレベーターなどの共有スペースがきれいなのも、新築マンションの良さ。
残念なところ
新築の分譲マンションゆえに、選べるものが限られていた点新築マンションを分譲で購入した場合、床や扉、間取りなどを自由に変更することは難しい。変更できるのはカウンターやカップボードなどの住宅設備の種類や有無、床や扉の色程度というのがほとんどだ。
「リビングとダイニングの間仕切りをナシにしたかったんですが、どれかを選ばないといけない仕様で……パーテーションタイプの折れ戸タイプを選びました。ダイニングとリビングをひとつの部屋にすることで開放感のある広い空間になるので、閉めたことは一度もないですね。オプションとして選ぶことができるとはいえ、やはりフルオーダーではない分、仕様が変えられなかったり、選べるアイテムが限られているのが残念でしたね。正直、妥協したところもあります」
収納の扉も気に入らないので外して、お気に入りのファブリックをかけているそう。
お気に入りのアイテム
ラーチ材で作ったディスプレイ棚自由度が狭まるとはいえ、持ち前のアイディアで部屋をレイアウトするのが勝山さんのスゴイところ。対面式キッチンのカウンターの下は、扉付き戸棚をオプションで付けられたが、あえてカウンターのまま残し、凹み部分にラーチ材で棚を取り付けた。
「ラーチ材のラフな質感が好きで、職人さんに作ってもらいました。カウンターの下を全面棚にすることで、キャンプ道具や家族のもの、子どものおもちゃなどすべてここに収納しています。ここだけは、僕が好きなものを好きなだけゴチャゴチャと置いて良いところなんです(笑)。見せる収納にすることで、取り出しやすいのもポイントですね」
また、キッチンにも同素材の収納棚を作ってもらっている。生活感が出やすい調味料や乾物などの食材は、バンカーズボックスに入れて収納。もともとはアメリカで書類保管用に使われているバンカーズボックスなら、センスよく整理整頓ができる。
流木のオブジェ勝山さんの部屋には、植物や流木が巧みにディスプレイされている。ぼくりゅう亭で購入した流木のオブジェもそのひとつ。壁に吊るせるようDIYして、存在感を放つオブジェに仕上げた。
神山隆二さんデザインのホーローのケトルシルクスクリーンを中心に、ファッション、アート、ライフスタイルとさまざまな方面で活躍する神山隆二さんデザインのホーローのケトル。キャンプにも持っていくアイテム。
ピート・ヘイン・イークのスツールオランダ生まれのデザイナーピート・ヘイン・イークの家具が大好きだという勝山さん。自然木や工場廃棄物の壁材などの廃材を使い、彼の美の感覚と機能美を融合させた独特のスツールは一点一点表情が異なるのが特徴。
アメリカ製のヴィンテージキッチンカート部屋を彩る観葉植物。植物が置かれているアメリカ製のヴィンテージキッチンカートは、買い付けに行った際に手に入れたもの。ヴィンテージな設えがグリーンにとてもよく合っている。観葉植物はベランダ付近にまとめ、移動ができるカートに並べることで、配置換えや水やりなどの手入れがしやすくなる。
収納上手になれるコーナンラックキャンパーに人気のコーナンラックを、整理棚として利用。かさばるキャンプ道具や子どものおもちゃ、シーズンアイテムなどもすぐに取り出すことができる。
暮らしのアイディア
モノは収納するエリアを決め、1か所にまとめて統一感を趣味のキャンプ道具やファブリック、コーヒー用品などお気に入りのアイテムであふれているにもかかわらず、勝山さんの部屋はおどろくほど整理整頓がされている。そのヒミツは収納テクニックにあるようだ。
「いろいろなところに置かず、見せるエリアをひとつに絞ってまとめることです。わが家の場合は、キッチンカウンター下の棚。一見無秩序に見えますが、実は各棚にはテーマがあるんです。こうした小さなルールを決めておくと、見せる収納もまとまり良く見せることができます」
ファブリックを巧みに使って季節感を出すクッションやブランケットといったファブリックが好きな勝山さんは「友人が遊びに来ると、1人に1つブランケットがあるくらい」の数、ファブリック製品を集めてしまうという。収納は、畳んで重ねたり、バスケットに入れるだけだそうだが、ソファやワゴンにまとめられた肌触りのよいクッションやブランケットの置き方からは、無造作でありながらセンスの良さが感じられる。
「家具はシンプルにして、カラーはファブリックで取り入れるようにしています。衣替えのように、ラグやクッション、ブラケットなどのファブリックでシーズン感を出すのも良いですよ。季節ごとに家具を変えるのは難しくても、ファブリックを変えるだけでガラリと部屋の印象が変わります。冬はウール素材で暖色のものを、夏は綿で涼し気な色など、季節によって遊んでみるのがオススメです」
お気に入りのポスターや絵は、肩肘を張らずに飾ってみる「絵やポスター、ポストカード、切り抜きでも、場所をまとめて飾ってみるだけで気分が上がりますよ。マスキングテープで貼るだけでも大丈夫です」
これからの暮らし
「新築マンションに住んでみてわかったのが、新築でも中古でもアイディア次第で自分仕様に変えられるということですね。この先、ライフスタイルや子どもの成長に合わせて家具に配置やインテリアが変わるのも楽しみですし、家を住み替えることもあると思っています。その場合も、この好きなエリアのなかで住み替えていく予定ですね」
どんな形態の家に住もうと、暮らしをつくるのは自分自身。勝山さんのこだわりとセンスは、そのためのひとつのメソッドを教えてくれた。
Photograghed by Kenya Chiba
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