ダイヤモンドオンラインの連載は今年4月から開始し、
おかげ様で5ヶ月目をむかえました。
露木行政書士事務所・露木幸彦と申します。
たくさんの方にご覧いただき、ありがとうございます。
「熟年離婚」の回では、フェイスブックの「いいね」が
413件を突破することができました。
http://diamond.jp/articles/-/74408
ところで・・・
「妻」は遺族年金の受給対象ですが、「元妻」は対象外です。
・離婚する場合⇒遺族年金は支給されない(年金分割をしようと、しまいと)
・離婚しない場合⇒遺族年金は支給される
ほとんどの場合、妻が得る年金は年金分割<遺族年金です。
「夫と離婚する。年金分割をする」よりは
「夫が死ぬまで我慢して離婚しない。夫が死んだ後は
遺族年金を受け取る」の方が妻が得るお金は多いです。
しかし、「夫と離婚するパターン」と
「夫が死ぬまで待つパターン」をそれぞれ金銭的に
比較して欲しいという相談は、私のところにはほとんど来ません。
なぜなら、夫が死ぬまで待てない、我慢できないから、
わざわざ相談をしに来るからです。
そのため、今回の原稿には「夫と離婚するパターン」と
「夫が死ぬまで待つパターン」の比較について
触れていません。あらかじめ、ご了承ください。
祝10周年企画!10年間の離婚ノウハウすべてを2時間で学べる最新マニュアル
詳細・お申込はこちら(1分で入力可)
http://www.tuyuki-office.jp/10nen-02.html
さて、ここからが本題です。
「養育費さえ約束してくれれば、他には何もいらない」
本当なら請求できる慰謝料や財産分与、そして生活費を放棄してでも
とにかく養育費を確保したい・・・
そんな謙虚で健気で控えめな希望すら
当たり前のことを当たり前のやっても上手くいかないことが多いですが
ごくごく最低限の条件を実現するにはどうすれば良いのか。
具体的な流れ、手順、対処方法を紹介してきました。
前回は家の話ですが、今回は貯金の話を取り上げてみましょう。
<今回の登場人物>
夫(34歳、会社員、年収600万円)
妻(32歳、専業主婦)
子(1歳)
このメールのバックナンバーは「ブログ」で読むことができます。
http://ameblo.jp/yukihiko55/
退職金、年金、家・・・財産の種類は数あれど、
特にこの3つは重苦しいと思われがちです。
誰だって「離婚するときに請求できる」ことくらい
重々、承知しているでしょう。
しかも、退職金、年金、家はいずれも
1,000万円単位の大金なので、なおさら大事です。
それなのに心理的な抵抗が邪魔をして、
一歩を踏み出して「いざ請求!」する
ところまで至らないことが多いですが、
それもそのはず。
退職金は定年後、年金は65歳時、そして家は処分しない限り
現金に化けないのだから、フワフワとして
雲を掴むような話で、いまいち現実味を感じられないのです。
サクっと綺麗さっぱり解決すれば良いのですが、
そうは問屋が降ろさないようです。
それなのに、いろいろと面倒で、
細々として手間がかかり、しかも手に入れるまでに
時間がかかるのだから、どうしてもハードルは高くなり、
結局のところ「もういいや!」と早々に見切りを
つけてしまうのです。
まぁ、それはそれとして、それなら退職金、
年金、家のように手間や時間、労力を使うことなく、
さっさと「もらえるものはもらっておこう」と
いう感じで、事を荒げることなく、オサラバできれば、
それに越したことはないでしょう。
財産分与のなかで最もハードルが
低いのは「貯金」です。
だって退職金、年金、家のように
10年も20年も先の話ではなく、極端に言えば、
今すぐ駅前のコンビニでお金を引き出して、
そして渡してくれれば、ものの10分で終わるのだから。
ここで問題になるのは相手が
「俺って500万も持ってるんだ。すごいだろ!」などと
吹いて回るかどうかです。
財産を渡す側からすれば、正直に財産を開示すればするほど、
手元の財産を持っていかれ、損をするのだから、
なるべく明らかにしたくないと思うのは自明の理です。
「500万円の財産を持っている」=「妻に250万円を渡さなければならない」と
同じ意味なのです。
だから、ジャイアンのようなオラオラ系だと
「知らないって言ったら知らないんだ!」などと言い張って、
『無理が通れば道理は引っ込む』と地で行こうとするのです。
一方でスネオのようなネチネチ系だと「財産なんてない。
嘘だと思うのなら調べてみるがいい」などと
馬鹿の一つ覚えのように連呼したりして、
用意周到で沈着冷静、そして腹黒さを隠しもしないのです。
確かにスネオ系の言うように今は個人情報保護法があるので、
妻が銀行や証券会社、保険会社へ「夫がいくら預けているのか」を
聞き出そうとしても、門前払いを食らうのがオチです。
しかし、今回の場合、妻は子供のことを何より
最優先に考えています。
「法律で決まっているのだから。
誰のおかげで貯金できたと思っているの?
お金をくれるのは当然でしょ!」
そんなふうに正論を正しく振りかざしたところで、
夫は「はい、そうですか」と二つ返事で答えるとは
思えないので、「貯金がいくらあるのか」を
白状させるのに膨大な時間を要するでしょう。
このように貯金の在り処を突き止めることで
長期化するのを必ずしも望んでいないので、
そのせいで長引いたら、養育費を減らされるようでは
本末転倒でしょう。
ですから、妻の希望条件を受け入れた上で
今すぐ協議離婚に応じてくれるのなら、
貯金の件がウヤムヤにしてあげるというに
具合に駆け引きをするのですが、
夫は夫で「俺の財産には指一本、触れさせない」と
いうジャイアン的な条件なのだから決して悪い話
ではないでしょう。
特に隠し事をしている人間はとにかく
「秘密がバレる」ことを何よりも嫌がるので
根掘り葉掘り詰問されることなく、
最後まで秘密を隠し通すことができ、
そして「貯金がないと言っているのに
後日、貯金が出てきたら、違約金として○○○万円」と
いう誓約書を書かされることなく、
絶体絶命のピンチから脱出することができるのだから大きいです。
このように相手の立場をわきまえた上で
自分の希望をのませるという、簡単そうだけれど、
なかなか出来ないテクニックの1つです。
(おわり)
現在私が執筆しているダイヤモンドオンラインの連載
『実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」』ですが
おかげ様で8回目が公開されました。
前編後編の今回は「後編」です。
テーマは『卒婚と終活~熟年離婚という究極の選択』
ぜひぜひご覧いただければ嬉しいです。
コメント
コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。