北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■連載コラム(第18回)
『ラーメンの憂鬱』〜飲食店としての基本が疎かなラーメン屋(山路力也)
『教養としてのラーメン』〜四国のご当地ラーメン(山本剛志)
□告知スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
「ラーメンイベントに思う」山路力也
秋から年末に向けて、ほぼ毎週のようにラーメンイベントが全国各地で行われるようになって、もう何年にもなる。東京では大つけ麺博からの東京ラーメンショーという流れがここ数年の形で、それが終われば福岡ラーメンショー、年末の大阪ラーメンEXPOとビッグイベントが続く。
東京ラーメンショーがスタートした7年前にくらべ、ラーメンイベントに限らず野外での食のイベントが本当に増えた。今年の大つけ麺博にしても東京ラーメンショーにしても、もちろん多くのお客さんが集まっていたが、一時の勢いから較べると正直寂しさを覚えたのも事実である。それは多分にお客さんも出店者も、もしかしたら主催者側ですら、ある意味での「慣れ」のようなものが生まれてしまっているのではないか。初めてイベントをやった時のワクワク感であったりドキドキ感のようなものが薄れてしまっているのではないかと思ったりしている。
現在のラーメンイベントはだいたい10年程前に構築設計されたソフト、コンテンツであって、果たしてそれが今の時代にマッチしているかどうかは疑問である。いや、合っている合っていないということではなく、10年前の設計図を元にしたイベントを今疑いもなくやっていてはいけないよな、という話である。それは広告宣伝の方法、スポンサーの確保、利益分配、客席の設え、出店ブース設備、イベント内容、演出、あらゆる部分でゼロベースで見直す時期に来ているのかもしれない。
東京ディズニーランドというコンテンツがなぜ30年も愛され続けているかといえば、常にその形やスタイルを変えて来たからである。40代以上の方はご存知だろうが、オープン当初のディズニーランドは今のように入場料を払って入ればどれでも乗れるというシステムではなく、入場券でパークに入り、アトラクションに乗るにはアトラクション券が別途必要だった。そのアトラクションやレストランなども毎年のように新しいものと入れ替わったり、増えたりと、その時代のニーズに合わせて変化し続けているのだ。
今のところまだ、全国で多くのラーメンイベントが開かれていて、地域によっては大盛況のところもあるが、ラーメンイベントもやはりその時代に合ったスタイルで変わっていっていかなければ、いずれはお客さんに飽きられてしまうことは確実だ。そうならないためにも、まずは各ラーメンイベントを主催するイベンターや団体による「連絡協議会」というと大袈裟だが、情報交換機関的なものを設けたらいいのではないかと思っている。各イベントで効果的だった施策や仕掛け、あるいは生じた問題の対処法などを共有していくことで、より良い質の高いイベントが出来ていくのではないか。そしてそこから各イベントで培ってきた経験を結集して、新しいラーメンイベントの形を作り出していけるのではないかと考えている。
そんな思いもありつつ、今週12日から開催される「福岡ラーメンショー2015」では、ちょっとした仕掛けを会場内に置いてある。色々なラーメンイベントに何度か足を運んだ方なら誰もが一度は見たことがある仕掛け。なんでコレが福岡ラーメンショーにあるの?と思われるはず。その仕掛けを考えたラーメンイベントの主催者にお願いして、今回福岡でも使わせて頂くことにした。会場に来られる方は是非楽しみにして頂きたいと思う。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は10月、六本木にオープンした新店、麺劇場玄瑛の「XO醤薫イベリコ豚の玄瑛流ラーメン」を山路と山本の二人が食べて、語ります。