北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■連載コラム(第17回)
『ラーメンの憂鬱』〜半世紀先を見据えた味創り(山路力也)
『教養としてのラーメン』〜中国地方のご当地ラーメン(山本剛志)
□告知スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
「珍しいラーメンイベントの光景」山本剛志
10/10(土)から10/12(月祝)の3日間、つくば市の研究学園駅前公園で「つくばラーメンフェスタ2015」が開催されている。今回で4回目になるこのイベントに、土曜日の開始直前に訪問してみた。
まず驚くのがお客さんの多さ。土曜日とはいえ、10時前から各ブースに長い列ができている。数えてみたら、長いところは200人近くになっていた。駅前というだけでなく、近くの市役所駐車場を開放しているので、車で来る家族連れも多い。とはいえ、初日の午前中からこれだけの人が来ているラーメンイベントは珍しい。「10月の3連休のイベント」として、つくば市民やTX沿線住民にも定着している事を感じさせる。
更に驚くのが、地元ブースの人気ぶり。ほとんどのラーメンイベントでは、他地方から来たブースに長蛇の列ができる一方で、地元店のブースは「いつでも食べられるよね」と思われて苦戦してしまう。そのために地元店はコラボで「イベント限定の味」を提供するのが常だが、それでも列は伸びないもの。ところが「つくばラーメンフェスタ」では、地元店の列の方が長かったりする。しかも提供スピードが速く、地元人気店「喜元門×喜乃壺×華丸」による3店コラボは、2年連続でNo.1の売上数をあげている。これはラーメンイベントでは珍しい光景だと思う。
TV露出による宣伝が期待できない茨城県(そもそも民放テレビ局が、47都道府県で唯一存在しない)という事を考えると、出店する地元店の発信力が強く、それぞれの店のファンが並んでいる状況だと思われる。もちろん味も負けていない。2人でシェアした3杯を紹介します。
「Dragon Noodle」と「麺堂 稲葉」のコラボ。奥久慈軍鶏とつくば鶏、茨城県の地鶏を2種類使ったスープはじんわりと美味しい。見た目のシンプルさがありながら、磨き上げられた味わいに驚いた。
「麺屋 むじゃき」「龍のひげ」「味箪笥」のコラボ。豚と鶏の旨みを凝縮させたスープに、野菜の旨みが徐々に流れていく塩ラーメン。麺との相性も抜群。
「喜元門」「喜乃壺」「華丸」のコラボ。行列も一番長かった。軍鶏と煮干のスープは、アツアツで旨みもしっかり。イベント用の麺も自家製にこだわり、ハルユタカをブレンドした細麺も力強い。
「全国からラーメン店が集まるイベントでは地元店が伸び悩む」というのは定説のように言われているが、つくばではそれが当てはまらない。他のラーメンイベントに出店する地元店も、つくばを見習ってほしいものです。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今年8月、中野にオープンした新店、バラそば屋の「バラそば」を山路と山本の二人が食べて、語ります。