北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
ラーメン専門店ザボン 新宿支店@西武新宿「ザボンラーメン並」
安全食堂@九大学研都市「ラーメン」
■異論激論!
(山路力也/山本剛志/青木健)
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
「ラーメンが繋ぐ縁」山路力也
30歳になるまでラーメンなど見向きもしなかった私が、ラーメンに魅せられて食べ歩きを始めるようになってもう十数年が過ぎている。とは言いながらも三食ラーメンなどという生活はどうしても出来ず、やはりラーメン以外にも美味しいものを食べたいなどと公言しているものだから、よく「山路はラーメン好きではない」などとからかわれたりもする。地方に行ってもラーメン、寝ても覚めてもラーメンという価値観を持つ人がラーメン好きだとするならば、私はラーメン好きじゃないのかも知れないが、普通の方から比べたらかなり好きな方じゃないかと思っている。
しかしこんなことを書くとまた色々言われてしまいそうなのだが、ラーメンという食べ物だけを切り取った場合、そんなに好きな食べ物ではないかも知れない。というのも、基本的に麺類、パスタなど、最初から最後まで一つのものをずっと食べ続けることがあまり好きではないのだ。分かりやすく言うと途中で飽きてしまうのだ。鰻重や天丼などの丼物は飽きる前に一気に食べられてしまうので好きなのだが、汁そばやスパゲティなど、中盤から後半にかけて飽きてしまって仕方ない。ラーメンもほとんどの場合で飽きが来てしまうのは今も変わらない。
食べ物としてのラーメンは好きではない私だが、ラーメンは好きだ。ではラーメンの何が好きなのか。きっと私はラーメンという食べ物そのものよりも、ラーメンを取り巻く文化そのものが好きなのではないかと思うのだ。ラーメン屋さんが一生懸命ラーメン作りに取り組む姿や、ラーメン好きがラーメンについて熱く語り合う風景、初めて会った人でもラーメンという共通項でいきなり話が弾む面白さ。ラーメンという食べ物が結びつける人と人との縁。ラーメンって凄いな、面白いな、楽しいな、と思わずには居られないのだ。
ラーメンが繋ぐ縁。かく言う私もラーメンと出会ったことで、どれだけの多くの方と出会い、多くの経験をさせて貰ったことか。音楽をやりながら塾を経営していた私がいつしかラーメンにはまり、ラーメンを食べ歩いて情報発信をしていたら、雑誌からお声がかかっていつしかラーメンの文章を書く仕事をするようになった。そして今、私はラーメン評論家だけではなく、フードジャーナリストとしてラーメン以外の食についてもテレビや雑誌などで紹介するようになり、ラーメン以外の料理人の方たちとも多く交流させて頂くようになったが、これもそもそもラーメン評論家の仕事をしていなければ、フードジャーナリストになることもなかったわけで、こちらもまたラーメンから始まったご縁であり、今なのだ。
今あらためて自分の周りを眺めてみると、大切な人、友人、仕事仲間、遊び仲間、そのほとんどがラーメンによって結ばれたご縁の方ばかりだ。そして今回「大つけ麺博」「東京ラーメンショー」というラーメン界の2大ビッグイベントで、どちらもほぼ毎日のように顔を出していたのだが、必ず誰かしらに声を掛けて頂けたり紹介して頂くことでまた新しいご縁がいくつも出来た。もしラーメンと出会っていなければ、目の前にいるこの人と出会うことは無かったのだと思うと、本当にラーメンを好きでいて良かったなぁと思う。これからもラーメンが繋いでくれた縁を大切にしていきたいと思う。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は11月11日より『麺屋武蔵 新宿本店』で提供される限定ラーメン「玉露らぁ麺」を山路と山本が皆さんよりも一足早く食べて、語ります。
「玉露ら〜麺」1,000円
※11月11日〜30日まで/18:00〜一日10食限定