北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
めん処 宣@柴又「豚骨魚介そば」
家系総本山 ラーメン吉村家@横浜「ラーメン+海苔」
博多一風堂 大名店@天神「元祖赤丸新味 中」
天然とんこつラーメン一蘭 一蘭の森店@糸島市「滋味系とんこつラーメン」
■異論激論!
□告知/スケジュール
■編集後記
【お詫び:今号は北島秀一の原稿が休載となり、一部構成を変更しております。ご容赦下さいませ。】
■巻頭コラム
「ラーメン評論家としての矜持」山路力也
時々自問自答することがあります。それは「ラーメン評論家」と「ラーメンフリーク」の違いは何なんだろう、ということ。共にラーメンを愛し、ラーメンを好んで食べ歩き、そしてそのラーメンについてブログなどで情報発信していることは変わらない。むしろ私よりもより精力的に食べ歩かれているフリークさんも少なくありません。ならば、そこにギャランティが発生すればプロフェッショナルで、そうでなければアマチュアなのか。あるいはメディアで名前が知られているのがプロで、そうでなければアマなのか。それも一つの線引きになるかも知れませんが、私はそうではないと思っていたりもするのです。
新しいラーメン店が出来て、その情報をキャッチして食べに行き、雑誌なりテレビなりブログなりのメディアでその店について紹介する。これは正直誰でも出来ることだと思うのです。実際、話題の新店の情報はどんなメディアやブログなどでもほぼ一緒ですし、そこで得られる情報というものも大差ありません。それがアマチュアのラーメンフリークさんのブログであればそれでも良いでしょう。しかしプロのラーメン評論家の発信する情報としては、それではいけないと思っているのです。
他の人とは違う目線で、己の知見を持って、己の経験から生まれた考えを通しつつ、目の前にあるラーメンについて「語る」ということ。あるいはラーメン文化について「語る」ということ。そして文章であれば読むに耐え得る文章力で、テレビやラジオであれば聴いていて分かりやすい言葉で「語る」ということ。これこそ、ラーメン評論家に課せられた使命であり、最低限の矜持であろうかと思うのです。
皆が東京や横浜のラーメンにばかり注目していた十数年前、私はウェブサイト『千葉拉麺通信』を立ち上げ、千葉初となるラーメンムック『千葉ラーメン最強の222軒』(角川書店)を出しました。さらに、新しいラーメン店ばかりを追いかけ、雑誌やテレビ、ラーメン本なども最新の店をもてはやす風潮に逆らうように、私は『トーキョーノスタルジックラーメン』(幹書房)という本を書きました。ただの天の邪鬼と言われればそれまでですが、私の中では他の人と同じ情報であれば発信する意味が無いと思ってやって来ましたし、それは今でも変わることがありません。
判で押したようなトレンドのラーメンをみて、私たちは「またおま系」などと揶揄します。しかしながら、ラーメンを語る側ももしかしたら「またおま系」のような情報を垂れ流してしまっているのではないか?アマチュアならまだしも、プロフェッショナルがそれではいけないのではないか?そう自らを戒めつつ、ラーメン評論家としてのプライドを持ってラーメンを語っていかねばならぬと思っています。
この「ラーマガ」という場所は、そんなプロのラーメン評論家が集まり情報発信をしている場所です。来月より、さらに三者三様の視点や切り口がもっと活かせるような誌面作りをしようと考えています。プロでなければ書けない文章、プロでなければ気づかない目線。自分たちにより高いハードルを課し、これからも全力で取り組んでいきますので、どうぞ末永くお付き合い下さい。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は7月8日、東新宿にオープンした『らーめん味里 misato』の「醤油ラーメン」を山路と山本が食べて、語ります。
「醤油ラーメン」700円
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