北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
【北島秀一】
つるや@旭川「正油ラーメン」
どさん子 銀座0号店@銀座「どさん子味噌白練」
■クロスコラム
■告知/スケジュール
□編集後記
■巻頭コラム
「再訪しない理由」山路力也
とあるラーメン店でのことだ。店に入った瞬間から何とも言えない違和感というか、嫌悪感に近い雰囲気を覚えた。それが何であるかは分からないのだが、とにかく居心地が悪い。別段接客が悪いわけでもなければ、清潔感が無いわけでもない。ごくごく普通の、いやもしかしたら普通よりもちゃんとしているお店。なのにどうにも落ち着かない。なんなのだろう、この違和感は。
その疑問はカウンターに座って食券を渡した瞬間に氷解した。店員さんが私から食券を受け取る時の所作が雑なのだ。引ったくるわけではないけれど粗野な感じ。そしてカウンター上の空になったピッチャーを交換する際、製氷機から氷を出す時にガラガラガラッと大きな音を立て、ビッチャーに氷を入れる時もガラガラガラッ。そして水を入れる時はドバーッと入れて、カウンターに置く時もドンッ!と置く。まぁとにかく乱暴、雑。
私のラーメンが出来上がった時。カウンター越しに熱々の丼を片手でホイっと差し出した。目の前に置かれるのではなく、空中で受け取れという。しばらくして隣の席が空いて、厨房から空の丼を片付けに来た時も同様。ドタバタやってるなぁと思ったら、最後に客が引きっぱなしだった椅子を足でヒョイっと押し込んだ。下品極まりない。とにかく一事が万事ガサツなのである。
決して愛想が無いわけではなく、声掛けもちゃんとしているし、店を出る時の挨拶も大きな声でしっかりしていた。しかしどうにも不快な思いが消えない私がいる。ラーメン屋なんてそんなもんでしょ?という声が聞こえなくもないが、これはもうラーメン屋以前の問題だと思うのだがなぁ。部屋を出る時にバンッとドアを閉める輩や、エレベーターなどで閉まるボタンを連打する輩、レストランで食事する時に食器の音をガチャガチャ立てて食べる輩と同じ。ましてや接客業なのだから、こういうところをちゃんと躾けられた人でないといかんと思うのだけれども。ラーメンの味はまぁまぁ美味しかっただけに勿体ない。
私は同じラーメンを食べるならば、もっと普通にストレスなく食べられる店に足を運ぶ。この店には多分もう行くことはないだろう。まぁそれだけのことなのだけれど。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今月12日、西日暮里にオープンした店名の無い話題の新店『(中華そば屋)』の「中華そば」を三人が食べて、語ります。
「中華そば」800円