北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
□告知/スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
「夏の終わりに」山路力也
ラーメンを食べ歩くようになって二十年近く。これまで私は基本的に7月と8月の2ヶ月間はラーメンを食べないようにして来ました。理由には色々ありますが、まず暑いので基本的に食欲が湧かないこと。さらにラーメンの食べ歩きともなると、時には外に並んだり、一日二軒など行くこともあったりで、夏はしんどいなぁというのがそもそものきっかけ。そこに、毎日ラーメンを食べ歩いていると新鮮さや感動が薄れていくので、2ヶ月ほどラーメンを食べない期間を設けることも大事だと思ったり、体重が増えて来たので節制する意味もあったり、またラーメンの食べ歩きを始めた頃は塾を経営していましたので、夏は夏期講習で朝から晩まで仕事をしていて物理的に厳しいというのもありました。
さすがにラーメン評論家が本業となって、雑誌の取材やテレビのロケなどが入ったり、仕事としてラーメンを食べる時は食べるようになりましたが、数年間は本当に一杯も食べなかったんです。しかし元々ラーメン好きではなかったし、2ヶ月くらい我慢出来るだろうと思ったらとんでもない。一週間やそこらは何ともなかったのですが、二週間くらい経つとラーメンが食べたくて仕方なくなりました。それでも頑張って我慢して、9月になって食べた2ヶ月ぶりのラーメンの美味しかったこと。やれスープがどうだ麺がどうだと、分かったような顔をして語っているのがバカらしくなるほどに、シンプルに美味かったんです。そうそう、ラーメンの食べ歩きを始めた頃の感動ってこうだったよな、と。
さて、今年の夏ももうすぐ終わろうとしています。この夏も極力ラーメンは控える夏にして来ましたが、やはり完全に絶つことは出来ず、ラーメンのシンプルな感動を得られず、探るようにスープを飲み麺を啜っている自分がいます。これはもう性というか、仕方のないことなのかも知れませんが、毎年夏が来るとラーメン絶ちをしていた十数年前の夏を思い出し、毎日ラーメンに感動していたあの頃に戻りたいなぁと思ったりするのです。しっかりと一ヶ月くらいラーメン絶ちしてみようかな。まだまだ暑い日が続きますが、皆様どうかご自愛下さいますよう。
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今月13日にオープンした麺屋宗の新ブランド「百年本舗」の「肉汁中華ソバ」を、山路と山本が食べて、語ります。