
「スーパーエイジャーの科学」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7,#8,#9,#10,#11,#12,#13,#14,#15)
このシリーズでは、年をとっても脳と体が元気に動きまくる“スーパーエイジャー”の最新研究をもとに、いくつになってもピンピンした状態を保つための知見を考えております。
で、そのために本シリーズでは、スーパーエイジャー研究で有名なトポル先生が提唱する『Lifestyle+(ライフスタイル・プラス)』を掘り下げてまして、今回は「ストレス対策」の話です。
メンタルヘルスと健康が切り離せないことは、すでに皆さまご存じのとおり。慢性的なストレスは、がんの進行や転移を促すし、糖尿病や心臓病のリスクも高めるんで、スーパーエイジャーを目指すには、メンタル面への配慮も必須であります。
ただし、ここで話を難しくするのが、
- ストレスには「良いもの」と「悪いもの」がある
ってポイントであります。ストレスは大きく2種類に分かれまして、
- 良いストレス:一時的な負荷ではあるものの、回復可能な範囲に収まっているストレス。適応的で、レジリエンスや対処能力、神経可塑性を高める可能性がある。
- 悪いストレス:回復する間もなく長く続き、心身のシステムをじわじわ消耗させるストレス。とくに慢性的な悪いストレスは、気分障害や不安障害の引き金になり、糖尿病や心臓病のリスクも上げる。
みたいになります。たとえば、仕事で少し緊張したり、人前で話してドキドキしたりといったストレスは、場合によっては前向きな刺激にもなり得るんですよ。
しかし、その一方で、休んでも疲れが抜けなかったり、体調不良が続いたりといった状態が慢性化しているなら、それは「回復能力を超えた負荷」になっている可能性があったりします。まずは、この見極めが大事。
なので、ストレス対策においてまず考えるべきは、「ストレスをいかになくすか?」ではなくて、
自分にとって、どの負荷はプラスで、どの負荷はマイナスなのか?
を見分けることなんですな。
同じストレス対策でも、人によって効き方が違うことは多い
でもって、ここでめんどうなのが、「そのストレスが良いか悪いか?」は、個人の状態によって大きく変わるところです。なぜかというと、私たちはそれぞれ、
- 何で疲れるか
- 何で回復するか
- どの刺激に敏感か
- どの環境で安心するか
- 人との交流で元気になるか、消耗するか
- 運動で回復するか、さらに疲れるか
- 静かな時間が必要か、刺激がないと気分が落ちるか
が個人によって異なるからです。
たとえば、あなたが「孤独」で誰とも接触がない状態にあったとしても、「創作や読書に集中できるから快適だなー」と思う人もいれば、「誰にも頼れないと感じて不安だ!」とストレスになっちゃう人もいるじゃないですか。前者に対して「孤独は健康に悪いから、とにかく人と会おう!」と言っても意味がないですからね。ここでまず必要なのは、「孤独の解消」ではなく、「自分に合うつながり方を知ること」であります。
あるいは、ある人は仕事で煮詰まったときに20分ほど歩くと頭がスッキリする一方で、別の人は、寝不足の状態で無理に走ると、かえって翌日まで疲労を引きずることもあるでしょう。こちらも、前者に対して「疲れているなら運動は控えよう」と言ってもズレるし、後者に対して「ストレスには運動が最強!」と押しつけても危ないですからね。
かように、ストレス対策ってのは、「自分に合うかを見分ける」のが大事になってくるわけです。そこらへんを、もうちょい整理してみましょう。
自然が効きやすい人、効きにくい人
まずは自然。自然環境のメリットは過去にもさんざん言ってきまして、「ストレス対策には自然だ!」と個人的にも思うわけですが、やはりここにも個人差はあったりします。
自然が効きやすいのは、たとえば以下のような人でしょう。
- 屋内作業が多く、光や風に触れる時間が少ない人
- 情報刺激が多すぎて、頭が常にざわついている人
- 人間関係のストレスが強く、一時的に社会的刺激から離れたい人
- 運動が苦手でも、歩くことならできる人
- 緑や水辺にいると、気分が落ち着く実感がある人
こういう人は、とりあえず近所の公園を歩いてみるが吉だと言えますね。一方で、自然が効きにくい人もいまして、
- 暑さ、寒さ、花粉、虫などに弱い人
- 治安や交通量の問題で、外を歩くこと自体がストレスになる人
- 近所に緑地がなく、移動コストが高い人
- 外に出る準備が負担になりやすい人
- 疲労が強すぎて、歩くより横になったほうが回復する人
などは慎重になるべき。そもそも、自然へのアクセスには地域差もありますんで、「自然に触れよう」と言うだけでは、実行できない人も出ちゃいますからね
なので、自然をストレス対策に使うなら、以下のような小実験をしてみるのがオススメです。
- 昼に5〜10分だけ外へ出る
- いつもの道を、少しだけ緑の多いルートに変える
- 週末に20〜30分だけ公園を歩く
- 屋外でコーヒーを飲む
- 朝にベランダや玄関先で光を浴びる
ここで見るべきなのは、「外に出たあと、自分の気分、集中力、睡眠、疲労感がどう変わるか?」であります。自然に触れたあと、頭のノイズが減る、寝つきが良くなる、人へのイライラが減るなら、自分にとってかなり有力な回復法でしょう。逆に、移動で疲れる、暑さで消耗する、外出準備が負担になるなら、自然の使い方を変えたほうがいいでしょうな。
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