
「性格を変えて遊ぼうぜ!」の続きです!(#1)
このシリーズでは、ジャーナリストのオルガ・カザンが、最新のパーソナリティ研究をもとに行った「性格いじり」実験をベースに、いかにすれば自分の性格を変えていけるのかをまとめております。そこで前回は外向性について見てみたので、今回は神経症傾向の介入をチェックしてみましょうー。
神経症傾向の改善介入
「また失敗するんじゃないか」「最悪の事態になったらどうしよう」──。こうした思考パターンにハマりやすいのが、心理学でいう「神経症傾向」です。気分の落ち込み、不安、イライラの温床であり、放っておくと不眠や依存症のリスクまで跳ね上がることがわかっている、なかなかやっかいなパーソナリティですな(私も過去は神経症傾向がバカ高い人間でしたが、だいぶマシになりました)。
で、私と同じくオルガ・カザンさんも筋金入りの「心配性」で、いつも「最悪のシナリオ」を想像して、まだ起きてもいない未来に疲弊して引きこもり状態になってたんだそうな。神経症傾向が強すぎてライターになるってのは、私も非常に共感するところであります。
そこで「不安にすぐ支配される」自分を変えるために彼女が試したのが、このブロマガではおなじみの瞑想と呼吸法であります。ブラウン大学の精神科医ジャド・ブリューワーが開発した「Unwinding Anxiety」というアプリを使い、呼吸法や注意集中のガイドを毎日実践したんだそうな。私も1ヶ月だけ試してみたところ、不安の仕組みを解説する動画、瞑想や呼吸法の練習、ユーザー同士のコミュニティ機能などが含まれていて、なかなか良い感じでした。
アプリを使い始めた当初、カザンさんは「全然落ち着かないし逆にイライラする」と感じたんだけど、続けていくうちに「これは不安だ」と気づける力が育ち、感情との距離をとれるようになったと言っておられます。具体的には、それまでは会議前に「絶対に失敗するに違いない」と思ったり、メールの返信が遅いと「嫌われたんじゃないか」と悩んだりしてたらしいんですが、数週間のトレーニングを続けたころから、不安に襲われても「飲み込まれる前に一歩下がれる」瞬間が出てきたらしいんですな。
たとえば、〆切が迫っている記事を前にして「もう無理、失敗する」とパニック状態になりかけたとき、以前なら「不安=現実」と信じ込んで効率が落ちていたのが、練習の成果で「あ、これは“また不安が出てきた”ってだけだ」と気づけたとのこと。その瞬間、感情と自分のあいだにわずかな「隙間」が生まれたおかげで、行動の選択肢が増えたそうで、これも私が経験したこととまったく同じっすね。「不安を感じている私」ではなく「不安を眺めている私」に切り替えられた感覚と申しますか。
オルガさんは、この感覚を「テレビを見ているような感じ」と表現してまして、
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不安という番組が流れている
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でも私はそれをただ眺めているだけ
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だから「見続けるか」「チャンネルを変えるか」を選べる
みたいなイメージで不安を捉えられるようになったんだそうな。こうした「距離感」が育つと、不安が消えるわけではないけれど、不安に振り回されにくくなるんですよね。つまり、不安の改善プロセスをまとめると、
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練習前:不安と自分が一体化しているため、行動が制御不能になる
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練習後:「これは不安だ」とラベルづけするスキルが身につき、不安を“対象”として扱えるようになる
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結果:感情に飲まれず、冷静に行動を選べるようになった
みたいになります。あらためて見るとシンプルですけど、これがなかなか難しいんですよねぇ。
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