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不快の科学」シリーズの続きでーす!(#1,#2,#3,#4,#5,#6)

 

このシリーズでは、マイケル・イースター先生の『The Comfort Crisis』をベースに、「快適すぎる現代人が忘れてしまった“不快の価値”」を掘り下げております。

 

現代の生活は、冷暖房完備・スマホで暇なし──って感じで、とにかく“快適づくし”。一見すると理想的な環境のようですが、実はこれが心と体の不調の温床になっているってのが、大きなポイントっすね。

 

そのためには、あえて日常に“不快さ”を取り込む必要があるんだよーってことで、このシリーズでは、我々が失った“不快”を生活に取り入れるための方法論をいくつも紹介してきたわけです。

 

ってことで、今回はシリーズの最終回。ここまで見てきた“快適対策”をベースに、私たちができることをロードマップとしてまとめてみましょう。

 

 

 

快適すぎる人生は、人を幸せにしない

軽くおさらいしましょう。まず大事なのは、私たちの「人生の満足度」は、収入でも、健康でも、人間関係でも、快適さでも上がらないってのがポイントでした。この点をふまえて、イースター先生は、

 

“快適さ”が飽和した結果、人間の身体と心が逆に弱くなっているという矛盾した現象

 

といった主張をしているわけですね。実際のところ、現代人の暮らしはあらゆる意味で「快適」になってまして、

 

  • 寒ければヒーター、暑ければクーラー

  • 食事はボタンひとつで配達され

  • 暇があればスマホで情報も娯楽も無限にアクセス

  • ちょっとした不快感には、アプリやサービスが即対応

 

この状態を、イースター先生は「マリネされた快適」と表現しています。いわば、常時ぬるま湯に浸かっているような状態のことですな。

 

が、このぬるま湯はわりと危険でして、快適な生活ってのは一見ありがたいんだけど、

 

快適さは人間の幸福度を下げる「静かな毒」でもある

 

というのがイースター先生の主張になってるんですよね。実際のところ、いまの日本人の平均寿命は84.04歳と過去最長クラスになったのに対して、

 

  • うつ病・不安障害・依存症の発症率は増加傾向にある

  • 若年層の自殺率も上昇中である

  • 「人生に意味を感じられない」と訴える人も多い

 

って問題が起きつつあるんですよね。ここらへんは「最高の体調」冒頭でも書いたので、おなじみの問題意識でありましょう。

 

ということで、ここでイースター博士は、重要な問いを提唱しておられます。

 

「あなたは“長く生きている”のか?それとも“深く生きている”のか?」

 

近年は、医療やテクノロジーの発達により寿命はどんどん伸びているけど、一方で精神的な充足度はむしろ下がっている傾向がありますからね。そう考えると、ただ長く生きるだけでなく、深く生きられているかを考えたくなるのは当然でありましょう。そして、この問いに向き合うために必要なのが、「不快さとの再接続」だって話ですな。