Dラボのユーザーさんを見ていて感じるのは、とにかく「自分を追い込みたい!」というタイプが多いところであります。HIITを週5で回していたり、毎回の筋トレを限界までやったりみたいな感じで、あたかも修行僧のような勢いでやってる方が多いよなー、と思うわけです。
もちろん、そのストイックさは素晴らしいことだし、努力や自己管理の意義を疑うものではないのですが、なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとし。実際のところ、最近のスポーツ科学の知見を見ていても、「追い込む=強くなる」って図式は成立しないことがわかっているので、ご注意ください。というか、むしろ「ゆるめ」な運動の比率を増やしたほうが、パフォーマンスは伸びるという研究が相次いでるぐらいなんですよ。
ということで、新たに出たデータ(R)もそのひとつでして、「プロアスリートの世界でも『ゆるめ』を導入したほうが成功しやすい!」って面白い傾向をあきらかにしてくれてます。普段から追い込みまくっている人ほど、「肩の力を抜く」重要性を実感できる内容だと思いますんで、ぜひ日ごろの体づくりの参考にしてください。
強い選手ほど簡単なトレーニングの時間が長い
調査を行ったのはオランダ・フローニンゲン大学のスポーツ科学チーム。対象となったのは、2013〜2019年の女子ワールドツアーに所属するプロチームの14名の選手で、この研究の面白いところはデータの精密さであります。
研究チームは、すべての選手の心拍数、パワー値、走行距離、走行時間、自覚的な疲労感などをシーズンを通して記録し、その上で合計43シーズン分のデータを「成功シーズン」と「低迷シーズン」にわけて徹底比較したんですよ。
- 成功シーズン:レースごとに平均5ポイント以上(=世界トップ15%レベルの成績)
- 低迷シーズン:それ以下
つまり、「同じ選手がうまくいった年」と「イマイチだった年」を比較できるわけで、このあたりは非常にすばらしいですね。
そこで、調査の結果がどうだったのかと申しますと、一番大きな違いは総トレーニング時間だったそうな。簡単にまとめると、
- 成功シーズン → 563時間
- 低迷シーズン → 443時間
みたいになりまして、なんとトレーニングの時間に約120時間も差が出ていたというんですな。結構なトレーニング量の差ですなぁ。
というと、「やっぱり成功者は練習量が違う!」と思うかもしれませんが、そう簡単には行かなかったりします。それと申しますのも、「みんなが“どの強度で”走っていたか?」を見てみると、また話がまったく変わってくるんですね。研究チームがパワーゾーン(FTP比)で分析した結果をチェックすると、
- 成績が良かった時ほど、ゾーン1〜2(55〜75%以下の有酸素域)の練習が多かった!
- 一方で、ハードなゾーンのトレーニング量は、どちらのグループもほぼ同じだった!
って感じだったんですね。つまり、強くなった選手ほど、簡単なトレーニングの時間を増やしていたってことです。これは面白い結果ですなぁ。
さらに、心拍数データをチェックしてみても、同じ傾向が見られております。
- 成功シーズン → 平均126bpm(最大心拍の64%)
- 低迷シーズン → 平均132bpm(最大心拍の67%)
要するに、同じぐらいの距離を走ったとしても、成功した時期のほうが、全体のトレーニングの強度は低めに抑えられていたんですな。「強い選手は、みんなきつい練習を積んでいる!」という一般的なイメージとは正反対の結果で、実際には「強い選手ほどゆるい練習の積み重ねが多い!」ってのが真実ではないのか、と。
コメント
コメントを書く