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【ポケモン小説】part13:はじまりのポケモン

2015/04/01 23:59 投稿

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「サカキくん!ジラルダンくん!帰っていたのか!」

ふたりの姿はベトベターのヘドロ攻撃をうけたあと、ポッポのすなかけをくらい、
ブーバーのにほんばれの中を帰って来たようなとんでもないものだった。

しかし二人の泥だらけの顔は不気味な笑顔で満ちている。

「報告と準備の為に一旦帰国しました。フジ博士、ミュウです。」

サカキくんは自分の隣にフワフワと浮かんでいるポケモンを指していった。
ミュウ?そんなポケモンの名前は聞いたことがなかった。

「これが君のいっていた南アメリカのポケモンかい?
うーむ、ふしぎな姿のポケモンだ。ヒトの赤ん坊の様だね。」

娘のアイが生まれたばかりのころの姿にこのポケモンが重なった。
ミュウのうっすらな桃色の体はキラキラと輝いている。

「ほほー。このポケモンは私も初めて見るな。ミュウといったかい?
何かの文献で聞いたことがある名前だなぁ~?なんだったかな?」

「フジくんの言う通りだ、このポケモンは反復説の初期段階に似ているね。」

ニシノモリ教授もアキハバラも興味津々でミュウを観察している。

「教授、紹介します。
いまわたしが所属しているグレンポケモン研究の・・・」

「サカキです。ニシノモリ教授ですね。お噂は聞いております。」

「ジラルダンです。」

紹介を挟んだところで、ミュウの変化に気が付いた。
ミュウは薄い桃色の体色から、うっすらな空色に変わり、紫色になっていく。
そこでこれがメタモンであることが分かった。

「ああ、メタモンだったのか。でも、へんしんできたということは。」

「二人はミュウと出会ったということだね。」

本ポケモン学会でわたし達が発表したメタモンの実験。
ヒトの強烈なイメージからメタモンを単独へんしんさせることが可能だった。

「いえ、残念ながら僕は見ていないんです。
フラッシュよりもより眩しい光をミュウが発して目をつぶってしまって。」

ジラルダンくんが少し悔しそうに言った。

「私も一瞬しかミュウの姿を見ることができませんでした。
光を直視しすぎて今でも少し視界がピカピカしていますよ。」

サカキくんは忙しなく瞬きを繰り返していたが、鋭い眼差しは健在だった。

「しかし最初はあのポケモンかと思ったんです。」

「あのポケモン?」

「イワヤマトンネルの光り輝くポケモンですよ。」

「そう!僕もそれは分りました。
先輩の記憶からへんしんさせたあのメタモンの姿そのものでしたよ。」

「どういうことだい?」

詳しく聞くと、ふたりは南アメリカのジャングルを冒険していたときに
何かの遺跡の一部と思われる洞窟に入ったのだという。
洞窟の中には、ヒトが描いたと思われる壁画がたくさんあったらしい。

サイホーンやプクリンなどのいわゆる珍しいポケモンもいたが、
カントーでも見かけないわけではないポケモンばかりで
ジラルダンくんはそれほど期待はしていなかった。

しかし、サカキくんは違った。

洞窟が本格的にフラッシュを必要とする暗さになったとき、
ミュウはほんの一瞬だけ現れたのだ。

「あのとんでもない光を見た後、なんとか宿を借りていた村に戻って
携帯用に開発したメタモンへんしん誘発マシーンで
まずは僕の見た記憶のポケモンを確認したんです。そしたら・・・。」

「私の記憶の、イワヤマトンネルの輝くポケモンがあらわれたんです。」

「最初は機械の故障かメタモンが混乱しているものだと考えましたが、
今度はサカキ先輩の記憶を確認してみたんです。」

ミュウがあらわれた!

「私自身があまりの出来事でよく思い出せないのにもかかわらず、
メタモンはミュウにへんしんした。記憶とは不思議なものです。」

「僕の記憶も何度も試しましたが、ミュウにはへんしんしませんでした。」

サカキくんとジラルダンくんは我を失ったケンタロスのように。
いつになく興奮して話続ける。

「それで、ミュウという名前はどこから出てきたんだい?」

暴走するケンタロスの群れの中に飛び込むガーディの如く、
アキハバラが疑問を投げかけた。

「1つは私の母の昔の資料にあった鳴き声がこのポケモンに一致する事、
そして録音テープには幻のポケモン、ミュウとメモされていました。」

「宿泊していた村の長がメタモンのへんしんを見て教えてくれたんです。
その土地に古くから伝わる伝説のポケモン、ミュウではないかと。」

「思い出したぞ!あの本だ!!」

ニシノモリ教授が突然声を上げた。

「なんです!?」

「文献ではなかったが、こどもの絵本じゃよ!
わしの息子、ニシノモリ5世に外国のお土産に買ってあげたポケモンの絵本じゃ!
お話の中に自由自在に姿を消すことができるミュウというポケモンが出ておった!
うーん、姿がなかったから絵にはおらんかったが・・・。」

「村の遺跡にミュウの姿だという壁画が残っていて記録してきました。
これです。」

ジラルダンの手に握られたミュウの壁画の写真に皆の視線が集まった。

「村長はこうもいっていました。」

ミュウはすべてのポケモン、すべての生命の記憶を内包している。
過去、現在、未来における、幻のポケモン。
母なるポケモン。
はじまりのポケモン。


part1 : ar181399
part12 : ar687415


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