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【ポケモン小説】part12:個にして全、全は個であるが故に

2014/12/16 23:59 投稿

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「以上が我々、グレンポケモン研究所ポケモン的電気情報研究室の
メタモンの電気情報付加による単独へんしんの誘発実験です。」

ポケモン学会のレポート発表会場のその全てから歓声があがった。

「すごいぞ。やはりポケモンはヒトには感じ取れない何かしらの
ステータスを感知する能力があるのだ。」

「これを使えばポケモンバトルのとき相手の弱点が絶対につけるじゃないか!」

「いやいやバトルに使うなんて、ヒトの記憶の抽出手段に有効だぞ。
昔の記憶や、曖昧な記憶を鮮明な物体として再現できるのだから。」

「オーキド博士の論説の裏付けにもなるぞ。
サカキ研究員の記憶は10代のポケモントレーナーのそれだ。」

「あのメタモンがへんしんしたポケモン・・・みたことがない・・・」

発表後は会場は大騒ぎだった。
いつもは私に触れもしないようなポケモン研究者までがわたしの前に現れた。
彼らの目はなんとも好奇心旺盛で、キラキラというよりギラギラが相応しかった。

「フジくん!すごいや!やっと君の研究が世間に認められたよ!
ううう・・・。ぼくは本当にうれしい。」

メガネの向こうの目からハイドロポンプのアキハバラが駆け寄ってきた。
彼の隣には丸い流線型のボディが印象的なポリゴン2がいた。

「アキハバラ。ありがとう。わたしはずっとお前にお礼をいいたかったんだ。
ポリゴン2の論文をいくつ引用したか。いくつも影響を受けているよ。
それだけじゃない。わたしが落ち込んでいたときお前がいなかったら、
わたしは本当にダメになっていたよ。」

「おお、美しい学友の再会だね。」

我が恩師、ニシノモリ教授も駆けつけてきてくれた。
教授の隣には、教授が大好きなポケモンパンに気を取られているうちに進化した
ヤドランがのんびりと、それでいてしっかりと歩いている。

「メタモン同士にへんしん勝負をさせたら何が起こるか知っているかね?
いつもより激しく動くのだよ。今の君たちはそんな状態かもしれないね。」

「教授はいつもうまいことをいいますね。」

「メタモン同士のへんしんですか。
それはわたしも試したことがなかったですね。今度やってみます。」

「メタモンは相手のポケモンにそっくりな姿になろうとするらしいが、
まちがえ探しのレベルでどこかちょっとズレているんだよなぁ。」

「メタモンとメタモンだとへんしんにへんしんが重なって発散するんだな。」

なにげない会話だった。しかしわたしは最高に幸せだった。
誰かのまねじゃない、誰かの代わりじゃない、わたしだけの幸せがあった。

「メタモンは見た目だけじゃないよ。へんしんというたった1つの技で、
その他の全ての技を繰り出すことができるのだから。まさに無限大にね。」

「ポケモンの技のエネルギー源については謎が多いですが、
メタモンのへんしん後の技の発生原因なんて謎の謎ですね。」

「でもフジくんはその謎の1つの入口に立ったんだよ!
ポケモンの莫大なエネルギーの源を特定するのも時間の問題じゃないかな。」

「メタモンの細胞が他のポケモンのものになる瞬間は観察できるのだけれど、
その原因はよく解らないからまだまだだな。」

ポケモン全てが同じ戦略をもって能力を発動させているとは考えにくいが、
例えば、水ポケモンの水を放出する技などは、
明らかにその個体の内部から発生するには大量すぎる水が確認できる。

空気中の水分を利用しているという仮説や、
一種のエスパータイプの技と同じで、別の空間から水を運んできているという、
発生原因というには少々無茶な考えもある。

しかし、アキハバラのハイドロポンプはわたしの知る限りでは、
ヒトの体内から出る量をはるかに凌駕していた。

「ポケモンのふしぎな技は本当にたくさんあるからねぇ。
そういえば2人は確認されているポケモンの中で一番たくさんの技を覚えられる
ポケモンがどの種類か知っているかね?」

「流れからいってメタモン、っていうのは反則ですよね。
メタモンはすべての技を扱えるかもしれないが知っている技はへんしんだけだ。」

「似たようなところでは、ピッピのゆびをふるがあるね。
どの技が飛び出すかまったく解らないけれど、未知数にして無限だ。」

「オニドリルのオウムがえしなんてどうだ?
へんしんと同じで戦闘相手に依存するがどんな技だって繰り出せるって聞くぞ。」

「おいおい、君たちふざけちゃいけないよ。ヒントは、わざマシンじゃ。
彼らは情報化生物。覚えられる技はそれで一気に増えるのじゃよ。」

「ニドキング、ニドクインなんてどうかな?
技のデパートなんて言われているし、地面タイプなのになみのりを使える。」

「ノーマルタイプのポケモン達もたくさんの技を使うイメージがあるな。
ケンタロスとかカビゴンとか。」

「どうかね?もう出てきそうにないかね?2人ともまだまだ頑張ってもらわないと。
正解はね。このヤドランじゃよ!」

「「え!?」」

正解のそのポケモンはニシノモリ教授の隣でずっと口をぽかーんとあけてドわすれをしていた。

「ヤドランが一番たくさんの技を覚えるのですか!?」

「でも確かに、まぬけポケモンといわれる一方でいろいろしている気もする。」

「ははは、まあ確認されているポケモンの中での話だし、
ヒトが観察できた技に限った話だからこれからもどんどん変わっていく話題だがね。」

ヒトもポケモンも見た目ではわからないものだ。
わたしも昔、ヤドンをもっていたが想像もしなかった。

「そういえば、アキハバラのポリゴン2はどうなんだ?
ポリゴンの中で発生させた進化とはいえ、人間がつくったポケモンだ。
プログラムの構造次第ですべての技どころかオリジナルの技だって覚えさせられる。」

「うーん。
ぼくのスタンスはそういった莫大な情報を限定的にしていくことなんだよね。
全ての技が使えるポケモンが仮に存在できたとしても、
きっとそれは上手く機能しないと思うんだ。」

「退化は進化ってやつかな?能力を切り落として簡潔にして発達するみたいな。」

「わしもそれには同意見だね。
ヤドランがまぬけポケモンなのは、その能力が大きすぎる故なのかもしれない。
ほれ、天才ポケモン研究家と呼ばれるやつには変な者が多いじゃろ?
オーキドくんなんてそうじゃ。」

わたしとアキハバラは目を合わせて笑ってしまった。

「でも確かに、ポリゴンシリーズはやりようによってはすべての技を使わせられる。
でもやっぱりそれは何か間違っている気がするし、何か好きじゃない。」

そのとき、わたしの後ろから南アメリカに飛んだあの声が聞こえた。

「もし、自然界にすべての技を覚えるポケモンがいるとしたら?」

わたしが振り返ると、サカキくんとジラルダンくんが立っていた。

そして彼らの隣には、見たこともないポケモンがいた。

「ミュウ」


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