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【ポケモン小説】part11:暗闇を歩く

2014/04/02 23:15 投稿

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「サカキくん、次の冒険は長くなるのかい?」

「どうでしょうね。すぐ帰ってくる気もしますよ。」

今期のポケモン学会も終わった頃、
グレンポケモン研究所研究員であるサカキくんは
自身の専門である新ポケモン生息地探索に出かけようとしていた。

「しかし今回は遠いな、南アメリカ?」

「ええ、母親の書斎から興味深い資料が出てきましてね、
母はそのことを忘れているようでしたがちょっと確かめに。」

聞くと、昔録音されたポケモンのなきごえのサンプルだという。
その不思議ななきごえの正体をどうしても確かめたいと
休暇返上でがいこくへ飛ぶらしい。

「ハナダシティなら空を飛ぶですぐなのにね。
この間のイワークの穴を掘るの速さを測ったら
時速80キロだったって論文は君らしくなくって逆に面白かったよ。」

「問題なくそのイワークもゲットしました。
イワヤマトンネルも当然諦めていません。」

そういうとサカキくんはいつもの真っ直ぐな鋭い目でわたしを見て
ニヤリと笑った。

サカキくんはずっとイワヤマトンネルで有名な
ハナダシティに程近い山脈地帯を探索してきた。

あのあたりにはポケモン界最大級の全長をもつイワークが多く生息していて
地面タイプのポケモンの好きなサカキくんにとっても
楽しい所なのかもしれない。

トンネルの先には、シオンタウンという町があるらしい。
まだ私は行ったことがないが死んでしまったポケモン達の供養を行っていて
全国からトレーナー達が墓参りに訪れるという。

イワヤマトンネルを抜けるには少し骨が折れるが、
わたしもポケモン達にひどいことをしてきた。
サカキくんに案内してもらって一度いってみようと思っている。

イワヤマトンネルといえばポケモンの技、フラッシュを使わないと
トンネル内がまったく見えないほど暗いことでも有名だ。

手さぐりでも洞窟を抜けることは可能らしいが、
他のトレーナーと突然出くわしたり、
イシツブテを踏ん付けて自爆をくらったりと案外危険だ。

たまたま持っていた秘伝マシン05を貸してあげようとしたが
どうやら彼は毎回、暗闇のままのイワヤマトンネルを歩いているらしい。
よく怪我も迷うこともなくちゃんと帰ってこられるものだ。

なぜフラッシュを使わないのか
後輩のジラルダンくんと話しているのを聞いたことがある。

「先輩はなんでいつもフラッシュを使わないんです?」

「私のニャースがフラッシュを使えるようなんだがね、使わせないよ。
私は洞窟内で輝くポケモンを探しているんだ。」

「輝くポケモン?」

「子供の頃よくイワヤマトンネルに遊びに行っていてね、
当時は普通にフラッシュも使っていたが、もう庭のようなものだった。
迷うなんてことはないと思っていたんだよ。」

するとサカキくんはいつものニヤリではない笑顔になった。
サカキくんの顔があの時ほど優しくほほえむところを私は見たことがない。

「調子に乗っていたんだな。だからあの日、
フラッシュを使えるポケモンを連れずにトンネルに入った。
迷ったよ。明かりのない世界があんなにも怖ろしいとは思わなかった。
もう家には帰れないと本気で考えたほどにね。」

「それで、どうなったんです?」

「ポケモンに会った。光り輝く飛行タイプのポケモンのようだった。
突然の激しい光と音だったから目がくらんでしまって姿はよく見えなかっが、
私を案内するかのようにトンネルの出口へ飛ぶあの光は絶対に忘れない。
私はあのポケモンにもう一度会いたい。」

「だからフラッシュを使わない。」

「また暗闇で迷いたいとさえ思うよ。だから暗闇を歩くんだ。
今度あいつが現れた時には確実にゲットしてやる。」

「それって、それって、その輝く鳥ポケモンって、
カツラ所長とフジ博士もみたっていう伝説のポケモンじゃないですか!?
ね!きっとそうですよねフジ博士!!」

それからというもの、ジラルダンくんはサカキくんとよく一緒にいる。
研究所内では迷コンビとしてちょっと話題になった。

先日のメタモン単独へんしんの実験でサカキくんがメタモンに与えた記憶は
イワヤマトンネルの暗闇の中で出会ったでんせつのポケモンのものだという。
あのときのカミナリのような光と音には驚かされた。

でんせつのポケモンは誰もが憧れる存在だ。
それがどんな出会いであっても、一度は出会ってみたいと思うもの。

彼らはでんせつのポケモンに再会できるのであろうか。
今度の南アメリカの冒険でもいい出会いができたらと思う。

私はといえばメタモンの研究三昧で引きこもりがち。
カツラもジムリーダー業が忙しいのかクイズに夢中なのかあまり会っていない。
サカキくんとジラルダンくんが旅に出たらちょっとの間また一人ぼっちだ。

最近、さびしくなると
メタモンのイメージ付加によるへんしんの誘発を利用して
アイの姿にメタモンをへんしんさせている。

メタモンアイは、ただただあの思い出を語るサカキくんのように
「ほほえむ」技を繰り返すのみだった。


part1 : ar181399
part10 : ar438881


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