=マイホーム購入が「当たり前」の時代もあった=
東洋経済新報社から3月28日に出版された、
いわゆる「当たり前の幸せ」を愚直に追い求めてしまうと、30歳サラリーマンは、年収1000万円でも破産します。
という本の出版記念として、これから本の内容を連載の形態で少しご紹介します。
本文は東洋経済Onlineにて全文公開しています。
それでは第2回は【住宅とお金】編です。
僕たちの親世代に当たる団塊世代の持ち家比率は、なんと86.2%。マイホームを買うことはまさに「当たり前」の行動でした。
実際、親世代がマイホームを買った当時は、今よりも不動産価格が低く、また日本自体が経済発展の最中にあったため、不動産価格は年々上昇していました。 「土地神話」なんて言われていたとおり、仮に売却することになっても、買ったときより高く売れると信じられていたのです。
こういう環境では、マイホームを買うのが「当たり前」というのは、きわめて合理的です。2000万円のマイホームを買って何年か住み、3000万円で売れるのであれば、買わない理由はまったく見当たりません。
そんな時代の「当たり前」から抜け出せていないからか、子供世代の僕たちにも「家を買え」と強くすすめる親御さんが多くいます。また、僕たち世代の中に も「一国一城の主には、持ち家は不可欠だ」と信じて疑わない人が大勢います。僕のところに相談にくるお客さんの中にも、「マイホームを買わない」という選 択肢を最初から持っていない方が多くいらっしゃいます。
ですが、残念ながら時代は変わりました。もうすでに、不動産を買値よりも高く売るなんてことがほぼ不可能だということは、ご理解いただけるでしょう。僕 たち世代は、「マイホームを買うか、賃貸に住むか」を真剣に検討しなければならないのです。これが、僕たち世代の「当たり前」なのです。
=マイホームと賃貸、どっちが得?=
こういう話をすると、多くの方が「じゃあ結局、マイホームを買うのと賃貸では、どっちが得なの?」と聞いてこられます。確かに、気になりますよね。どっちが得なんでしょうか?
期待を裏切るようで心苦しいのですが、この問いに対する僕自身の回答は「ケースバイケース」。つまらない答えですが、買おうとしている物件と借りようとしている物件の条件、お客様の資産状況やどれくらいリスクを取りたい
のか、などがわからなければ、無責任なことはとても言えません。
では、ファイナンシャルプランナーとして何も言えないかというと、そんなことはありません。「損か得か」以上に、皆さんに知っておいてほしいことがあり ます。それは、「マイホーム購入は人生最大のギャンブル、賃貸はたんなる消費」ということです。どういうことか、詳しく説明していきましょう。
=マイホーム購入は人生最大のギャンブル=
FX取引をご存じでしょうか。手元資金が100万円しかなくても、たとえば10倍の1000万円までの取引ができる「レバレッジ」を効かせた投資として、個人投資家の間で人気となりました。
では、みなさん、実際にFX取引をやっていますか??やっていらっしゃる方は、10倍ものレバレッジをかけて、取引をしていますか?
おそらく、多くの方の答えは「やっていない」でしょう。日本人はアメリカ人などと比べ、投資のリスクに対して回避的です。「レバレッジ10倍=危ない」と思われるのではないでしょうか。
実は、マイホームの購入は、購入する物件の10分の1の頭金を用意すれば、その10倍の値段の家を買えるという意味で、レバレッジを効かせた投資以外の何ものでもありません。
手元資金よりも大きな買い物ができるので、うまくいけば大きな資産を作るチャンスです。ですが、レバレッジが効いている分、損をするときの傷も大きくなってしまうという問題がつねにつきまといます。
親世代のときは、不動産価格が上がり続けていたので、比較的勝つ確率の高い投資でした。でも、今は状況が一変しました。
住宅購入層の人口は減少し続けている反面、住宅建設は止まっていないので、1世帯当たりの住宅数はすでに1.15戸に達しています(総務省統計局「住宅・土地統計調査」より)。
1世帯が1戸の住宅に入居するとしたら、全体の15%が空き家になっているのです。値上がりを期待するは難しいでしょう。
さらに、転勤やリストラでマイホームを手放さなければならないリスクも、親世代のときと比べて増えました。隣人トラブルに巻き込まれれば、ずっとそこに住むのは大変ですし、いざ売ろうとしても簡単に買い手は見つからないでしょう。
東日本大震災を受けて、災害によってマイホームが壊れてしまうリスクも、強く意識されるようになっています。
こんな状況ですから、親世代のときと比べて、マイホーム投資は勝つのがとても難しくなっています。まさに、「マイホーム購入は人生最大のギャンブル」と言っていいでしょう。
マイホームを買うときは、これらのリスクをすべて引き受ける覚悟を持って、しっかりと「負けない工夫」をするように心掛けてください。
【以下省略】
連載全文を読みたい方は東京経済Onlineにて公開中です。
⇒http://toyokeizai.net/articles/-/33609
書籍はAmazonにて発売中
⇒http://goo.gl/mFL4im
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
東洋経済新報社から3月28日に出版された、
いわゆる「当たり前の幸せ」を愚直に追い求めてしまうと、30歳サラリーマンは、年収1000万円でも破産します。
という本の出版記念として、これから本の内容を連載の形態で少しご紹介します。
本文は東洋経済Onlineにて全文公開しています。
それでは第2回は【住宅とお金】編です。
僕たちの親世代に当たる団塊世代の持ち家比率は、なんと86.2%。マイホームを買うことはまさに「当たり前」の行動でした。
実際、親世代がマイホームを買った当時は、今よりも不動産価格が低く、また日本自体が経済発展の最中にあったため、不動産価格は年々上昇していました。 「土地神話」なんて言われていたとおり、仮に売却することになっても、買ったときより高く売れると信じられていたのです。
こういう環境では、マイホームを買うのが「当たり前」というのは、きわめて合理的です。2000万円のマイホームを買って何年か住み、3000万円で売れるのであれば、買わない理由はまったく見当たりません。
そんな時代の「当たり前」から抜け出せていないからか、子供世代の僕たちにも「家を買え」と強くすすめる親御さんが多くいます。また、僕たち世代の中に も「一国一城の主には、持ち家は不可欠だ」と信じて疑わない人が大勢います。僕のところに相談にくるお客さんの中にも、「マイホームを買わない」という選 択肢を最初から持っていない方が多くいらっしゃいます。
ですが、残念ながら時代は変わりました。もうすでに、不動産を買値よりも高く売るなんてことがほぼ不可能だということは、ご理解いただけるでしょう。僕 たち世代は、「マイホームを買うか、賃貸に住むか」を真剣に検討しなければならないのです。これが、僕たち世代の「当たり前」なのです。
=マイホームと賃貸、どっちが得?=
こういう話をすると、多くの方が「じゃあ結局、マイホームを買うのと賃貸では、どっちが得なの?」と聞いてこられます。確かに、気になりますよね。どっちが得なんでしょうか?
期待を裏切るようで心苦しいのですが、この問いに対する僕自身の回答は「ケースバイケース」。つまらない答えですが、買おうとしている物件と借りようとしている物件の条件、お客様の資産状況やどれくらいリスクを取りたい
のか、などがわからなければ、無責任なことはとても言えません。
では、ファイナンシャルプランナーとして何も言えないかというと、そんなことはありません。「損か得か」以上に、皆さんに知っておいてほしいことがあり ます。それは、「マイホーム購入は人生最大のギャンブル、賃貸はたんなる消費」ということです。どういうことか、詳しく説明していきましょう。
=マイホーム購入は人生最大のギャンブル=
FX取引をご存じでしょうか。手元資金が100万円しかなくても、たとえば10倍の1000万円までの取引ができる「レバレッジ」を効かせた投資として、個人投資家の間で人気となりました。
では、みなさん、実際にFX取引をやっていますか??やっていらっしゃる方は、10倍ものレバレッジをかけて、取引をしていますか?
おそらく、多くの方の答えは「やっていない」でしょう。日本人はアメリカ人などと比べ、投資のリスクに対して回避的です。「レバレッジ10倍=危ない」と思われるのではないでしょうか。
実は、マイホームの購入は、購入する物件の10分の1の頭金を用意すれば、その10倍の値段の家を買えるという意味で、レバレッジを効かせた投資以外の何ものでもありません。
手元資金よりも大きな買い物ができるので、うまくいけば大きな資産を作るチャンスです。ですが、レバレッジが効いている分、損をするときの傷も大きくなってしまうという問題がつねにつきまといます。
親世代のときは、不動産価格が上がり続けていたので、比較的勝つ確率の高い投資でした。でも、今は状況が一変しました。
住宅購入層の人口は減少し続けている反面、住宅建設は止まっていないので、1世帯当たりの住宅数はすでに1.15戸に達しています(総務省統計局「住宅・土地統計調査」より)。
1世帯が1戸の住宅に入居するとしたら、全体の15%が空き家になっているのです。値上がりを期待するは難しいでしょう。
さらに、転勤やリストラでマイホームを手放さなければならないリスクも、親世代のときと比べて増えました。隣人トラブルに巻き込まれれば、ずっとそこに住むのは大変ですし、いざ売ろうとしても簡単に買い手は見つからないでしょう。
東日本大震災を受けて、災害によってマイホームが壊れてしまうリスクも、強く意識されるようになっています。
こんな状況ですから、親世代のときと比べて、マイホーム投資は勝つのがとても難しくなっています。まさに、「マイホーム購入は人生最大のギャンブル」と言っていいでしょう。
マイホームを買うときは、これらのリスクをすべて引き受ける覚悟を持って、しっかりと「負けない工夫」をするように心掛けてください。
【以下省略】
連載全文を読みたい方は東京経済Onlineにて公開中です。
⇒http://toyokeizai.net/articles/-/33609
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株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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