「子供たちに借金の怖さを教えてあげてほしい」
学校向けの出張授業ではこのようなご要望をよく伺います。
子供たちが借金地獄に苦しんでほしくないというのは、教育者や保護者が持つ当然の意向です。
ただ、子供達に「借金は怖いんだぞ」「借金で身を滅ぼした人がたくさんいるぞ」という借金否定の話をするだけでは、あまり意味がありません。
わざわざお金の専門家が学校に出張してまで話すことでもありません。
「カイジ」を読んでおけばわかる話です。
一方で、最近は「借金推奨派」の人もいます。
理論としては「借金のプレッシャーでがんばれ」とか「借金をして投資をしてビジネスを成功させろ」とか言ったりしてます。
これらの意見には同調できません。
借金以外でもお尻に火をつける方法はありますし、ビジネス経験がない人が借金して投資をすることは投機と呼ぶからです。
重要なことは「お金の流れ」を知ることで、借金によるデメリットを教えることです。
働いて稼いだら、家計にお金が入ってきます。
稼いだお金からは優先的に、支払いをする必要があります。
支払うものは、税金や「借金の返済」です。
支払いを済ませたら、計画に基づいて貯める場所にお金を流し込みます。
預金や証券口座にお金を振り分けるということです。
これは川でいうところのダムと同じです。
松下幸之助さんもおっしゃっていたそれです。
稼いだお金のうち、一部は生きるために使います。
これを支出、消費といます。
貯めたダムの中にあるお金は投資で増やします。
水は置いておくだけでは蒸発して減ってしまいますが、お金は増やすことができます。
借金をたくさんしている人は、支払い義務が増えるので貯めるお金や自由に使えるお金に振り向ける分が少なくなってしまいます。
借金をすると今の瞬間は満足を得られますが、あとがしんどくなるということです。
ただ、奨学金のような自己投資のために借金をすることは悪くありません。
支払い義務は増えますが、稼ぐ力も付くからです。
自己投資によって年収を100万円上げることができれば、年に30万円の借金返済をしても、トータルでは70万円キャッシュフローは増えます。
大学に行くなら本来はそのくらいの気概が必要です。
「借金はダメだ」という対症療法的な教育ではなく、借金をすることで発生する不利益をしっかり教えることが本当の金融教育です。
(遠藤)
[遠藤 功二氏 プロフィール]
日本FP協会認定CFP
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
MBA(経営学修士)
大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com
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