私事で恐縮ですが、10月5日は数年前に亡くなった筆者の父の誕生日です。
振り返れば中学生の頃、暇な時には父の書斎へ行き並んでいた東洋経済のバックナンバーを読んでいたことを思い出しました。中学生ごときに理解出来る記事は少なかったはずですが、何となく大人の仲間入りをしたような気分に浸って、父の傍で本を開いていた記憶があります。
それが社会人2年目頃だったか、日経だけでは物足りなく、経済誌くらい読まねばと過去を思い出し、週刊東洋経済の購読を申し込みました。
懐かしい話(どうでも良い余談、笑)で恐縮ですが、その定期購読が40年近くも続いていることを感慨深く感じる昨今です。
読者の皆様にも様々な(今でも続いている自分だけの)長く続くストーリーがあるのではないでしょうか。
さて、「何故、時価総額が増えない」と書いた昨年9月15日のコラムを読み返していましたが、あれから1年。株式市場は様変わりと感じる今日この頃です。
支配官庁からの天下りだらけで、昨年までは株主還元意識など微塵も感じられなかったエネルギー企業までもが増配や自社株買いに動き出しました。今年6月のコラムに書いた通りの日本人らしい横並び意識が出てきたようです。
もっとも、自社株買いで分母を少し減らしただけで、その後の施策が出てこない企業も多いのですが・・・。
「うちの株価も少しは上げなくちゃ不味い」という雰囲気でしょうか(笑)。
取引所からは資本コストを考えろと言われ、頼れる財界仲間との持ち合いも減り、以前は静かだった機関投資家にもケツを叩かれ、アクティビストもフットワークが軽くなってきました。
加えて、PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)などと言う厄介なファンドまで出てきました。
このETFに採用されたら「株主を意識しない、消極的経営者」のレッテルを貼られてしまいますから組入れ企業は心穏やかではいられません。
独立系のシンプレックスだから作れたナイスな商品です。
このETFにはPBR1倍割れ企業が400社以上も組入れられており、割安に放置されることで、いつTOBされても可笑しくない銘柄も入っていますから、個別に割安銘柄を探すのが面倒と言う方には持って来いですね。
少額から投資できることもメリットの一つです。指数系のETFより信託報酬が高いですから手数料の低いオンライン証券会社などで、タイミングを見て安い日に分散して買うなどが良さそうです。
8月中旬からの買われ方は異常と感じましたが、今週に入ってからの売られ方にも違和感があります。
前回のレポートを書いてからSOMPOなど複数銘柄の空売りをしていますので幾らか助かっていますが、かなり極端な売られ方です。
マクロファンドなどのヘッジによるものでしょうか。ファンドのポジション調整と配当取り後の売りが重なったのかも知れません。このように下げた際にPBR1倍割れETFを買えば良さそうです。
今春からの株高は単に企業利益が増えてきたからだけではなく、海外投資家からの「日本企業の行動が変わるのではないか」との期待感が想定以上の株高を演出してきたと思われます。ここ半年間の期待が失望に変わってしまうのか否か。10月下旬からの四半期開示に注目が集まっているようで、今後の日本株の行方を占うものになりそうな気配です。
時価総額は過去のピークを越え850兆円(名目GDPの約1.4倍)にまで膨らみましたが、ここからが正念場ですね。一時的な株主還元策だけでは長続きしません。
余談ですが、東芝のTOBが成立したようです。
東芝の迷走劇では経営トップの意志やビジョン、倫理観が如何に重要であるかを再認識させられました。これからは(ある意味)国策会社として出直すことになるのでしょうが、衆人環視が外れることで可笑しな方向に進まないことを祈ります。
政治にこそビジョンや倫理観が必要ですね。
軽率な発言や金の問題では呆れたニュースが多発していますし、派閥政治が戻った岸田新政権は昭和政治のデジャヴュを感じさせます。能力や専門性では無く、論功行賞や順送り人事で閣僚を決める政治体制で日本は大丈夫なのでしょうか。
金利差や交易条件だけでは無く、円安の本質は硬直化した日本の政治体制に内在しているように感じています。
さて、先月からはジャニーズ問題に隠れていますが、損保不正問題は広がるのか。いつものように財界圧力で抑え込まれるのか。
自動車業界と二人三脚で成長してきた損保業界ですが寡占化が進み、事業の拡大はしているものの自動車販売が細る中での業績拡大が気になっていました。まさかの禁じ手で収益を伸ばしていたのであれば今後が懸念されます。
昔と違ってネットやSNSの発達により隠し事や中途半端な幕引きが難しい時代になりました。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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