今週(6月14~18日)の東京株式市場は、日経平均株価が週間で15円35銭上昇し(率にして0.05%の上昇)、2万8964円08銭で取引を終えました。2週連続の上昇です。
週初は、米国の長期金利の低下傾向を受けて、高PERのハイテク株に見直し買いが入り、日経平均株価は14日(前週末比231円高)、15日(前日比279円高)と続伸。15日は5月10日以来、約1カ月ぶりの高値をつけました。外為市場で円安・ドル高が進行したことも支えとなり、トヨタ(7203)が初の1万台を付けるなど好地合いとなりました。
ただ、無風で通過すると想定されていた15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)に関する議論を開始することとなり、FOMC参加者の政策金利見通しは2023年に2回の利上げ予想となりました。これまでは、「23年中には利上げはない」との予想でしたので、米国の金融政策が想定より早く引き締めに向かうとの見方から、週末にかけては株売りが優勢になりました。
卸売物価および消費者物価の上昇、商品市況の広範囲な上昇などを考えますと、FOMCの結果はある意味当然と言えます。ただ、読者の皆さんはお分かりのように、テーパリングは金融緩和が継続している状態ですし、「引き締め」にはあたりません。米連邦準備理事会(FRB)が慎重に「金融正常化」を進めるとの方針には変化がないと言えます。
日本でもワクチン接種が進み始めましたが、このペースで進めば、総選挙が想定される9月には接種率が60%を超える可能性があります。総選挙前に経済対策が打ち出され、東京五輪の乗り切りと相まって、与党勝利の可能性が増し、海外投資家が出遅れの日本株買いに向かうものと思われます。
ワクチン接種率の上昇に伴う景気敏感株や半導体関連株が循環物色される秋相場を予想します。
(水島寒月)
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