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新規事業に参入したアドヴァンの勝算

2018/04/25 01:56 投稿

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 自前の物流センターを保有し粗利率50%という高収益を誇るイタリア仕様の高いクオリティの建材や石材、住宅資材を提供し着実な成長を示しているアドヴァン(7463)と筆者は長い間交流して参りました。

 3月期決算の中でも最短で決算発表を行うことで有名な同社は早くも先々週に決算説明会を実施しました。

 前期は為替が円高に振れたため3年後以降の為替予約分についてデリバティブ評価損が発生したことで経常利益以下は期初計画を下回る結果となりましたが、内容的には特段悪いものではなく、今期業績も増収増益見通しです。

 同社は自社の物流センターを保有しており、これを駆使した高収益ビジネスで着実な成長を辿ってきました。昨年から新規に住宅周辺ビジネスの一環としてキッチン回りの製品に参入したのも、自社物流センターと自社のショールームを持つためだと考えられます。物流センターを持つアマゾンの住宅機器版と言っても良いでしょう。そのポイントは以下の通りです。

(このコンテンツは先週の有料メルマガ・炎の投資情報から一部転載しております点をご了承下さい。)


1)年度末に向けた急激な円高が10億円の評価損につながった

 2017年3月末112.2円⇒2018年3月末106.27円
 3年超分の予約について10億円の評価損を計上海外からの仕入れ原価安定のためにレバレッジのない単純な為替予約(四半期ごとの時価評価洗い替え実施)を行っています。


2)この結果、売上、営業利益ベースまでは期初計画通りになったが、経常利益以下はデリバティブ評価損10億円分の発生の影響を受け減益となった。


3)粗利率(49.6%)や営業利益率(27.2%)は若干期初計画を下回ったものの高水準を維持。


4)盤石な財務体質を維持

 前期は合計83億円(前々期は43億円)の積極的な設備投資(神宮前1丁目、博多ショールーム用地などの土地取得を中心の積極投資)を実施するも資本剰余金の増加27億円、自己株処分(1株当たり867円)で31億円余り(最終調達額は58億円)を調達し盤石な財務体質を維持。自己資本比率74.1%高水準維持。

【主な設備投資状況】

 ◎名古屋新ショールームのオープン(2017年6月)
 ◎神宮前1丁目の土地取得(2017年8月)*本格的な着工は数年後の予定
 ◎ポラリスショールーム(キッチン館)のオープン(2017年10月)
  *キッチン事業スタート
 ◎本社裏の事務所建設(2018年1月)
 ◎福岡支店の新ショールーム用地取得(2018年3月)ほかソフトウェア
  など


5)創業から総額571億円の設備投資を実施。積極的な設備投資が成長への原動力に


6)今期も業績は続伸見通し。大型建築案件前期8億円から今期は12.5億円に拡大へ。その分、粗利率は47.6%(前期は49.6%)に低下見込む。
 東京オリンピック開催に向けホテル需要増が期待され、2018年から2019年にかけ想定以上に伸びると見ている。
 今期は4.8%の増収、1.9%の営業増益、21.1%の経常増益を見込む。

 EPSは86.2円。為替変動が前期と同様に起きると業績は変化するものと想定されますが、今期末の前提為替相場は前期と同水準(106円)並みで想定。ただ、予約は円安方向に向かうとのニュアンス。


7)配当金は今期も26円配当継続。配当性向は30%に低下。

 リスク要因としてはオリンピック以降の需要停滞の可能性ですが、新たにキッチン分野への参入を図るなど先行的な手を打っており、これが2年から3年後に業績に貢献すると期待されますので現在の株価調整局面が長期化するとは考えにくい。


8)キッチン製品のショールームを説明会後に自主的に見学。イタリア製の高級家具のような高いデザイン性のキッチンの数々を自社物流センター(現在、3か所)で加工し提供するビジネス。住宅施主のニーズに対応して一定部分は在庫を保有することで売上を確保する予定。まだスタートしたばかりであり試行錯誤のところではあるが、一定のニーズはあると見られ、価格面でも他社との比較で対応可能できると見られますので今後のビジネス拡大が期待されます。

 アマゾンと同様に物流拠点を持つ強みが今後も生かされようとしています。
 この分野には有力な同業他社が既に存在しておりますが、勝算はありそうだとの印象を持っています。

*クリナップ(7955・本社荒川区西日暮里)も富裕層向け世界的プレミアムブランドのイタリア・バルクッチーネの代理専売を開始したようですが、原宿に本社とショールームを置く同社とのイメージの違いがあります。また、クリナップと違って中国などの海外展開についてはアドヴァンは行っておらず、リスクは限定されています。


9)株価は直近の高値1125円(2月2日)から直近安値945円(4月12日)まで16%下落した後、出直り傾向。

 積極的な設備投資が今期以降の業績にどのようにプラスとなるのかが投資家の関心事で、なおも下値模索が続く可能性はありますが、3指標とも市場平均を下回る評価となっており、徐々に見直されるものと期待されます。


本日終値:976円 (直近安値945円、高値1000円)
時価総額:453億円 今期予想経常利益60億円 現預金90億円
今期予想PER11.3倍、PBR1.17倍 配当利回り2.66%


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)



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