金融リテラシーを持つことの金銭的価値について考えたいと思います。
金融リテラシーを大いに活用、30銘柄厳選投資で長期保有の場合、優待がまるまるもらえ、現金配当も入ってきます。
成長株を長期で保有することで年率平均10%程度の配当成長も期待できます。
これをケース1とします。
次に証券会社の言いなり、運用を丸投げの場合です。
これをケース2とします。
この場合、優待の権利はありません。配当もはいりません。
ケース1でゼロの販売手数料がかかります。
一番大きいのは運用報酬(信託報酬)です。
投資家には見えないですが、売買手数料も短期の回転売買のファンドが多いので段違いに大きくなります。
最後は預金のケース。
手数料はすべてゼロ。利率の分だけプラスです。
以下、年間の収支を予想してみました。
【ケース1】スロー・インベスターの場合
優待利回り 1.00%
販売手数料 該当なし
売買手数料 -0.01%(3年に一度のペースで入れ替える)
配当利回り 1.00%
銘柄数 10-20銘柄
(本当に長期投資に向く銘柄をバランスよく「厳選」する)
年率キャピタルゲイン 10.00%
合計 11.99%
【ケース2】金融業界に丸投げで投信による運用の場合
優待利回り ゼロ
販売手数料 -1.50%
(2年に一回、証券マンのシツコイ乗り換え営業に「負ける」ことを想定)
見えない売買手数料 -0.10%
(投信が株式を売買した際の売買手数料は、顧客の負担。手数料率10bpで年間の売買回転率100%を想定)
ファンドの配当利回り ゼロ
銘柄数300銘柄
運用報酬や管理報酬の合計 -2.00%
年率想定のキャピタルゲイン +2.50%
合計 -1.10%
【ケース3】預貯金の場合
すべての手数料はゼロ
利率 0.01% 定期
合計 0.01%
==== 金融の本質 ====
金融商品というものの本質とは何でしょうか。
いろいろな説明があると思いますが、最重要なコンセプトは複利(ふくり)の概念です。
金融商品は値上がりがあった場合、再投資が可能です。
再投資の分の値上がりも利用するのが複利運用です。
つまり、上記のケース1の場合、12%程度、年間に儲かるのですが、それを再度、投資に回すことで指数関数的に増えていきます。
スロー・インベストメントの場合、長期スパンで考えるので、0.1%の利率の差は非常に大きなものになります。
ケース1で金融リテラシーのある自立した投資家が30才のときに100万円のポートフォーリオで運用を開始して、年率11.99%で70才まで運用した場合、1億円1670万円になります。116倍になるのです(連続複利)
現役世代のときに、毎月2万円でも追加投資に当てた場合は、2億円以上の資産を築くことになります。
一方で、同様にケース2の場合は、30才のときの100万円の価値は、70才には64万円に減ってしまいます(連続複利)。
期待利回りがマイナスであるからです。
マイナスである理由は、金融業界の体質のためです。
証券会社の回転売買、ファンドマネジャーのファンド内の回転売買、優待や配当への権利を放棄してしまったこと。
日々のノイズに惑わされて、じっくり考えなかったことの報いとはいえ、ケース1とケース2では、生涯で数億円以上の差が生じてしまいます。
わたしの主張は明快で、預金と株への長期投資を組み合わせることで、不要な費用を節約することです。
==== 貯蓄から投資への流れは生じない ====
ケース2の金融業界丸投げパターンを見れば、投資収益はマイナスになることは明らか。
信託報酬を安くすればするほど、インデックスに近づきますが、インデックスはほとんどが成熟株なので長期運用による値上がりは期待できません。
日銀が大量に買っているのに株は思うように上がらないのはそのためです。
成熟株にも日銀は投資しているからです。
ETFの多くは成熟株といってよい。
これは残念なパラドックスなのですが、手数料を安くするためには、世の中のことを調べることを諦め、考えることを放棄しなければならないのです。
単に規模の経済を利用し、インデックスを模倣する。
機械でもできるから手数料が安くなる。
インデックスを買うのに投信の内部で売買手数料がかかりますし、投信の運用報酬も0.2%は必要になる。
優待はもらえない。配当も現物より低くなる。
現物投資とETFでは40年間で投資資産で数十倍の差になってしまう。
成熟株は成長がないことが長期では致命的なんです。
インデックス投信は長期投資にもっとも向かない投資手法です。
株の本質は成長です。その一番おいしいところを諦めている。
一方で、貯金はすべての手数料がゼロです。
口座にいておけば決済にもつかえる。お金はわずかですが確実に増えます。
金融業界が提供するすべての金融商品の利回りの期待値が手数料の分だけマイナスになります。
一方で預金はマイナス金利下であっても、プラスです。
貯蓄から投資への流れは生じません。
銀行預金をマイナスにすれば、人生を守る手段は【ケース1】しかない。
自分で工夫して、不要な手数料を節約して、直接株式を保有して、優待や現金配当を得る方が長い人生においては文字通り100倍お得なのです。
==== 金融リテラシーでは何を学べばよいのか ====
数億円の価値のある金融リテラシーですが、どうしたら手っ取り早く学ぶことができるでしょうか。
残念ですが、手っ取り早く、とはいきません。
相応な時間と労力を投入することになります。
ただし、同じ立場の人々と連携すれば、分業が可能になるので、少しの努力で多くの利益を得ることができるかもしれませんね。
絶対に得をする方法はあります。
何事もじっくり考えるという方法です。
えー、それって得をするの?と思うかもしれませんが、必ず得をします。
なぜならば、深く考えるとお金は不要になるからです。
それって得でしょう?
お金で解決しないで、工夫で解決する。
英語を上達するためには、多額のお金を払って学校にいくのはお金の解決。
自分で黙々と隙間時間を活用して英単語を覚えるのは工夫の解決。
株式投資も同様です。プロに任せるのはお金の解決。
自分で企業を調べるのは工夫の解決。
そして、スロー・インベストメントでは、調べることや考えることは、仲間づくりにもなるし、それ自体が価値があることだと主張します。
回転売買も不要。株価さえ、見ないでよいのです。
ですから、リテラシーとは何を学ぶのか?という問題意識ではありません。
リテラシーとは、どのように考え、どう具体的に行動するのかという思考力と実行力のことです。
わたしの仕事は、リテラシーという知恵をどうみなさんにお届けするか。
その価値は億円単位です。
どうやって同じ立場の人々と連携していくのか。
金融業界のあり方を抜本的に変えることができるでしょうか。
わたしたちは、この理不尽な業界のゲームチェンジャーになれるでしょうか。
絶対になれると考えています。わたしの代では無理でも次世代までには。
日々、そのことは考えていきます
どうか、みんなも一緒に考えてくれませんか?
老後の貧困は、他人事ではないですし、多くの老人がまともな金融資産がないのは、金融業界が努力をしてこなかったかなのではないか。
そう自省しています。
注意:連続複利1%で40年の運用とはeの0.4乗を意味します。
eは自然対数で2.718程度の数です。
預金0.1%で40年間運用しても連続複利でさえ1.04倍にしかなりません。
==== ムーブメントを起こしましょう ====
若い人はリテラシーの有無が生涯では数億円の違いになりますからね。
外部にどうしても任せたいならば、長期成長株の直販投信を選ぶこと。
ひふみ、鎌倉などの良心的な会社と付き合うこと。
かれらは長期の保有者への優遇を打ち出しています。
リテラシーがあれば、自然と、投信やファンドと名のつくものには手は出さなくなります。
投信の積み立ては自然にやらなくなります。
わたしの友達で株で資産を築いた方々は何人も知っています。
投信で金持ちになった方はひとりもいません。
株の積立は手数料の一番安いネット証券を用いること。
会社で積み立てている401kがあれば、投資信託よりもましな預金で運用すること。
401k内で投信を選んでいる人は長い目では損をします。
なぜならば、海外ものは為替で抜かれていますし、現地の高い金利水準も相当分が金融業界に抜かれているからです。
地銀や年金基金の方々は、ファンドや投信は一切を購入しないのが正しい。
自己の裁量で運用できるように努力なさること。
上場企業は最低購入単位を1万円程度まで下げること。
そうすれば、個人がマイクロ・ポートフォリオを無理なく組めるようになります。
それが貯蓄から投資への大きな流れを確実なものにするはずです。
ただし、すでに、カブドットコム証券などのネット証券ではプチ株が1株単位で売買可能であるからそれを使えばよいでしょう。
プチ株ポートを積み立て、単位株になった時点で単位株ポートにすれば優待をゲットできます。
その後は、プチ株ポートと単位株ポートとを厳選された銘柄群で運用すれば、数十年のうちに数億円の単位で結果が違ってくるのです。
そのあたりの仕組みをつくってムーブメントを共に起こしましょう。
そうすれば、国民の老後の資金はいまの数倍になります。
貯蓄から投資への流れは上記の行動をいかに計画的に大胆に実行するかにかかっているのです。
スロー・インベストメント
~じっくり考える成長株投資~
ファンドマネジャー 山本 潤
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