注目されていたトランプ米大統領の議会での施政方針演説が今しがた行われました。演説内容は、事前に概ね出ていた為もあり、演説による大きな影響はなく、一応無事イベント通過といったところでしょうか。
今回の施政方針演説でのポイントは:
・1兆ドルのインフラ投資を議会に求めた。(アメリカ国土のインフラを一新)
・移民規制により米国民の雇用を拡大、給料も上昇させる。
・古過ぎる規制は撤廃すべき。
・防衛予算の歴史的増加を求める。
・米国の指導力を発揮させるために、米国民に結束を求める。
・オバマケアを全面見直しする。
インフラ投資額は予想通りで他にもサプライズない、税制改革について言及がなかったという失望も市場の一部から聞かれました。そんな反応もあってか、演説中、一時ドル円相場は113円台を割る場面も見られましたが、終了後には、ドル円も日本株も値を回復しました。
今日の演説の中で、「海外から米国への巨額投資案件が複数ある」としてソフトバンクが紹介されていたことから、ソフトバンク株の急伸が目立ちました。
また、メキシコとの壁についても触れたものの、ペソ相場に大きな影響はありませんでした。
余談ですが、施政演説を見ていて、民主党の女性議員が全員白い服で出席していて目につきました(女性参政権運動時のシンボルだそうです)。
ちなみに、民主党議員は、男女問わず、演説終了後直ぐに退場しています。
犯罪の犠牲者の家族、難病を回復した女性、中東で犠牲になった軍の特殊部隊兵士の妻が参列されていたことは、ヒーローを称えるアメリカらしいという印象がありました。
また、国民に対して、分裂、争いをやめて、国の新たな国づくりのために自分に力を貸してほしいというメッセージを含んだ部分もありましたが、これはどこまで国民の心に届いたでしょうか。
トランプ政権、発足1ヶ月が過ぎました。
閣僚19人のうち議会承認を経て任命されたのが9人。未だ6人は未承認状態です。従来からすれば異例です。
承認された閣僚に特定の金融機関出身者が多いとか、超右派の陰謀が付き纏うのでは?の人物がいて大統領を操作している等々が言われ、大統領本人のTweetと共に、政権発足当初からは異例の支持率歴代最低レベルと伝わっていま
す。
世界的に衝撃と緊張を与えた「特定の国からの入国制限」や「メディアへの敵対」でネガティブなニュースが報道されます。アメリカ中間層の為の政策としながら、結局ウォール街が恩恵を受けるだけ?との見方もあります。
ただ、好き嫌いは別として、知り合いのアメリカ人の中は、公約したことは直ぐにやっている、これまでにいなかった大統領ではないか、と評価する声も聞きます。
米大統領として前例がないタイプだけに、何が出てくるのか不確実さが多過ぎ、予想が難しいという怖さはあります。
施政演説というイベントが終わり、今後は、予算教書を経て、議会での予算審議があります。財政規律を重んじる共和党が多数派ですので、大型インフラ予算、国防予算が承認されるのかどうか。注目は議会に移っていくものと思われます。
一方、もう一つの注目材料は、米国FRBの利上げです。
3月15日(日本時間16日未明に結果発表)のFOMCでの利上げ確率予想が、昨日のサンフランシスコ連銀総裁とニューヨーク連銀総裁の利上げへの前向き発言から一気に62%に上昇しました。
昨日は、東京から欧州市場へ移る時間帯あたりからドル売りが強まり一時は112円を割る場面もありましたが、利上げ期待と共に113円台まで反発、10年物米国債金利も2.3%台から2.4%台へ戻りました。
年初から2月末までのドル円相場は、昨年末のトランプ・ラリーを調整する動きでした。特に2月は111円~115円のレンジ内での推移でした。
こうして、今後の相場のキーを握る、米国の金融政策(利上げ)と米国の予算協議がドル円相場に大きな影響を与えるものと思います。
税制改革に加えて、財政刺激策が現実化すれば、レンジ相場から上抜けした動きになると思いたいところですが、そう単純にいかないかもしれません。
貿易政策や通貨政策を考えると、将来、過度にドル高になった場合、今はテーブル上には見えない政策(トランプの札)を出す可能性もあります。
「アメリカ・ファースト政策」、アメリカの夢再びなのか、幻想に終わるのか。トランプ政権、始まったばかりです。投資に関しても、経緯を見守りながら、考えていきたいと思っています。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。
※3月1日東京時間午後1時執筆
本号の情報は2月28日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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