小池新知事が誕生して1か月余りが経過。その活動ぶりがインターネット上で取り上げられるとともに、4年後のオリンピック開催に向けた東京都の動きに関心が高まっています。
リオ・オリンピック閉会式から帰国した小池知事は11月に迫った築地市場の豊洲移転を延期する決定を下したかと思うと都政改革本部会議をスタート。定例記者会見での記者との受け答えもなかなか見ごたえがあります。
1350万人もの人口を抱え、予算規模13兆円と一国にも匹敵するほどの巨大な自治体企業を経営する長として活動を開始した都知事が打ち出した様々な自立改革、情報公開、見える化の進展で東京都民だけでなく国民の多くが関心を持つようになったように感じられます。
伏魔殿とまで言われる東京都議会の不透明な世界は白日の下に晒され、都民の税金が有効に活用されるようになることが究極の狙いですが、これは東京都に限ったことではありません。
週末に開催された緊急記者会見ではやってあるべき筈の建物の下の盛り土が施されていないという前代未聞の約束違反となる事態が都知事自ら指摘していました。
一体、豊洲の地下はどうなっているのか。東ガスの工場跡地で汚染されていることは明らかながら、それに対する措置がいい加減では問題にせざるを得ません。専門家による更なる追及、見解の提示が求められます。
豊洲の地下水汚染への対応企業として、このところ水の浄化処理装置で関心が高まっているナガオカ(6239・時価559円)が昨年6月上場後の株価下落トレンドにようやく終止符が打たれようとしています。
石油精製用の装置では世界的な企業であり、水処理装置でも実績を重ねつつある企業ですが、東京都水道局との意外なつながりが今回の問題を通じて一層明らかになりつつあります。
さて、情報公開と言う点では上場企業も一層のIR活動をしていかないとならなりません。上場企業にとってはIRにはコストがかかる、経営には無関係じゃ ないかという認識からややもすれば後ろ向きな対応をしてしまいがちになりますが、小池知事や東京都職員と同様に都民ならぬ株主や関心を持つ投資に対して積 極的に情報公開をしていくことは株価を公正に形成するためにも、とても重要なことだと思われます。
情報公開をして企業が今後どういう費用をかけてどういう収入を得るのか、経営の課題は何なのかを提示して株主との間で問題点、リスク要因について情報共有することが上場企業には求められています。
13兆円もの税収で賄われている東京都と企業努力がないと収入増が得られない一般企業とは違うのかも知れませんが、見える化によって株主にも課題と方向性をできるだけわかりやすく伝えるべきです。
東京都では都民ファーストをキャッチフレーズにした改革に努めていますが、上場企業においても株主ファーストを念頭に経営トップが従業員とともに課題を 認識した上で企業改革を推進し、結果として長期的に成長を続けていくように努めていくなら既存株主だけではなく、新たな投資家にも支持を受けることになり ます。
そうした積極的な情報開示に努めている企業の一例が、タイ証券取引所に上場するグループリース(時価総額2000億円・持ち株比率37.15%)を 100%出資持ち株会社を通じて子会社に持つウェッジホールディングス(2388・JQ・時価528円・時価総額186億円・グループリース社推定評価額 650億円~700億円)です。
同社の実質オーナーが証券取引等監視委員会との間でのもめごとが尾を引いて評価が抑えられている現状に対して、理路整然と投資家に企業内容をインター ネットでの説明会の公開を通じて積極的に開示して評価を高めようとしている点は都知事と伏魔殿的都議会のドンとの対決に似たところがあってとても興味深 い。
現経営者はオーナーの弟でタイ語も話せる現地に鎔け込んだ人物。タイやシンガポールを拠点にカンボジア、ラオスに続き、インドネシア、ミャンマーへと金融事業を拡大しようとしています。
企業経営はスポーツと同じ感覚で見える化を実行すればファンは自然に増える。不正は白日の下に晒され、真実と勝利への期待のみが株価を下支えしてくれると考えられます。
インターネット時代の新たな株価形成をもたらしてくれるのではないかと思う次第です。
(炎)
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