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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『ラ・ラ・ランド』のオープニングはなぜ楽しい?カメラワークを追ってみよう」

2019/02/18 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/02/18

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/02/10配信「『ラ・ラ・ランド』オープニング5分間の感動を「見える化」、『ファーストマン』予習編と『ミスター・ガラス』の見どころ」の内容をご紹介します。
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2019/02/10の内容一覧


カメラワークに注目してオープニングを見る

 僕はまず何よりも「カメラの動きが、なんでこんなウキウキするんだろう?」と思って、カメラワークに注目してみました。
(パネルを見せる)
 これは冒頭のシーンです。
 カメラが、わりと雲のあるロサンゼルスの空から降りてきて、高速道路で渋滞に巻き込まれているいろんな車がザーッと映ります。
 このパネルは、画面を無理矢理繋げて1枚にしてますけど、実際は、かなり歪曲の強いレンズで撮っていて、近くの車がギュッとアップになって、遠くの車が小さくなるので、こんなふうにスムーズに繋がってはいません。
 白い車があって、その奥にシルバーの車があって、黄色っぽい車があって、その奥に赤いオープンカーがある。
 この自動車から、それぞれ流れている音楽が違うんですね。

 ロサンゼルスの高速道路は渋滞中で、もう車がほとんど止まってしまってる。そんな様子をカメラがナメていくと、1つ1つの車を通り過ぎるごとに、中から聞こえてくる音楽が違う。
 この「自動車から流れる音楽が違う」というのは、実は「この車に乗っている1人1人は、全員、それぞれのミュージカル世界を生きている」ということの象徴なんですね。
 高速道路で、みんなが同じ場所にいるんだけど、実は違う世界に生きていて、違う夢を見ている。
 「それぞれが、みんな、自分のミュージカルの世界を生きてるんだよ」ということを暗示するようなシーンなんですね。

 この長いシーンが過ぎると、カメラが1人の女性に近づいていきます。
(パネルを見せる)
 この女の人、後で車から出てきた時にわかるんですけど「黄色に水玉の入ったワンピース」を着ています。
 そんな女の人のクローズアップになっていきます。

 この女の人を僕は、一番最初にボーカルで歌うお姉さんということで、「第1ボーカル」と呼んでいるんですけども。
 彼女が「I think about that day. I left him at a Greyhound station. West of Santa Fé~♪」と歌い始めます。
 英語の歌だからなかなか発音しにくいんですけども、「that day」と「Santa Fé」が、ちょっとうまく韻を踏んでるような歌詞ですね。
 「あの日を思い出してみた。私が彼をサンタフェのグレイハウンド駅に置き去りにした日のことを」という、ちょっとショッキングな歌詞です。
 つまり、この黄色いドットワンピースの女性は、映画女優になりたくて、高校を中退して、彼氏も捨ててハリウッドに来たわけですね。
 それがもう、何年も前の話なんです。わりと年食ってるお姉さんですから。「高校を中退した」っていうのも、ひょっとしたら、もう10年以上前かもわかりません。
 それを今、思い出して、急に語り出してるわけですね。

 まあ、もう、何年前かも忘れちゃったんだけど、でも、今もその夢を信じちゃってるから、渋滞の中で「自分がなぜ、そんな夢を見るようになったのか?」のきっかけを思い出して、歌い出しちゃうわけですね。

 このお姉さんが車から出ることで、ミュージカルシーンが始まります。
(パネルを見せる)
 最初は、まだお姉さんが1人で歌ってますね。
 サングラスをクルクルっと回して、車の中にポイッと捨てます。これは「これから本音を言うぞ」というサインですね。
 それまでずっとサングラスを掛けていたということは、「自分が抱き続けている夢というのをあまり他人には語っていない」ということなんです。あくまでも、自分だけの夢として抑えていた。
 だけど、このサングラスをポイッと車の中に捨てて、素顔を晒すことによって、「ちょっと抑えていた本音というのを出す」ということを暗示しているんです。

 彼女は「And live inside each scene~♪」と歌います。
 あえて訳すとしたら、「だって、私はスクリーンの中で生きて行くって決めたんだもの!」という感じでしょうか。
 なぜ、サンタフェで彼氏を捨てたのかについて「女優になると決めたから」と言って、サングラスをポイッと捨てるというアクションをやってるんですね。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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