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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「アニメビジネス特集:市場規模が過去最高になったアニメ産業の未来と裏側」

2018/12/08 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/12/08

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、過去記事から「アニメビジネス」の特集をお届けします
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アニメに必要な「中間のアニメ」

 これまでのような日本のアニメの一週間で数十本も公開されてっていうふうなものは、ちょっとこで、Netflixが出たことによって終わっていくだろうと。
 それは同時に、さっき話さなかったんですけど、Netflixの視聴体験というのは、自分で参加してやってみたらわかるんですけど。基本的に全話一気見なんですね。今まで僕らがやってたような、オンエアを待って、一週間待ってまた見て、一週間待ってまた見てっていうのを、それを楽しみにしないということかな。全話一気に見るっていうのが前提の視聴体験になっていくので。
 アニメーションをその作り方でやると、かなり苦しくなってきますね。普通のドラマだったら、全話いっぺんに撮るっていうことはメリットなんですけど。
 アニメーションの場合は、じつはちゃんと作画が出来る少ないスタッフをいかに業界で譲り合いながら、逆に奪い合いながら、なんとかアニメーションを作る体制っていうのを、全話一気見体制にしちゃうと、本当にスタッフの囲い込みとかが始まってしまって、最初話したように大予算アニメっていうのが、やっぱり有利になっていくっていう状態なんですね。
 次に、本当に中間アニメっていうのが、膨大にいいものが出来たっていうのは日本型の製作体制、あと週1本のアニメっていう状況があったからなので、資本投資型の世界では、あまりあのやり方では生き残れないなあと僕は思いました。

アニメーターにお金が回る仕組みのむずしさと海外資本

岡田:やたら、予算をあげればいいってもんじゃないっていうのはホントに、ガイナックス時代に実感したんですよね、僕は。いわゆる原画とか作画の単価をあげればいいかと思ってたんですよ。一番最初にこの業界、アニメ業界に入った時に、すごく僕も甘くて、素人だったもんですから、単純なくだらない正義感しかなかったんですね。
 なので、バンダイからお金を、言い方悪いですけども、騙してでもいいからとってきて、それをアニメーターたちに配って、鼠小僧みたいなかんじで自分なりの正義感を満足させて、アニメ作ったらそれでいいものが出来るに違いないっていう、なんでしょうね、あの変な正義感。
 ところがそれをやると、倍の予算を払うと、アニメーターって普段の半分しか仕事しなくて、その後、遊びにいっちゃうんですよね。結局、1か月10万で暮らすことに慣れてるから、20万をやるぞっていったら、ラッキーって言って半月働いて、残り半月沖縄に消えていっちゃうんですよ。あーそんな世の中って単純なものじゃないんだって思って、それを僕が思い知ったのはもう30年前ですから、その時から見ても、やっぱり制作費増えてない、現場に降りてくる金、あんまり増えてないんですけども。

真木:あのー、基本的には、構造的には変わってないと思うけども、若干、制作費は上がる傾向にありますね。上がる傾向にあって、スタジオによってはもうこれ以下だとやらないよっていう線引きをしている、でも、仕事が来るっていう、そういう傾向に少しずつなってますよね。それであとは成功報酬がスタジオに行くようになると、少しずつ変わってくる。たぶん今がチャンスじゃないですかね。制作会社にとってはチャンスじゃないですかね。

チャイナマネーと「投資ではないクラウドファンディング」でアニメを作る話

真木:つまり、DVDはもう売れなくなったでしょ。そうすると、制作費を支えるプレーヤーが減ったというか、変わってきてますよね。そうすると、チャイナマネーというのは必然ですよね。

岡田:必然ですか。アニメファン、これ見てるるアニメファンの人たちが、じゃあクリエイターを支えたいと思ったら、なにをするのが一番いいんですか? よく言われる円盤を買うことなんですか。それとも個々の制作会社が、クラウドファンディングみたいなのをやって新しくアニメを企画する時に、片渕監督が草を食わなくてもいいように、ひとつひとつのアニメを応援するみたいなことなんですかね。

これからのアニメビジネスは儲かる?

岡田:すべてのアニメが、いわゆるアニメファンの言うところの「クオリティーが高くなければいけない」というような感じになってきている。こんな状況で、『チャージマン研!』は絶対に生まれてこないわけですよね。

氷川:あれは「暴投」でしょ(笑)。ストライクゾーンがあるとすれば、暴投みたいな作品。まあ、『君の名は。』も、そういう意味では暴投系ですよね、本当はね。

岡田:アニメはこれから儲かるんですか? ちょっといやらしい話になるんですけど。

氷川:どうだろうな?まず「何と比べて」ですよね。
 ゲーム業界と比べれば、儲け的なことで言えば、イン(出資)とアウト(戻り)に関しては、コントロール次第でそこそこ良いところに持って行けるんじゃないですか? 「今が良い」ということじゃなくてね。
 さっきの話みたいに、「アニメは制作が遅れる」って言われてるけど、ゲームほど「バクだらけになってまったく現場が動かないまま3カ月」とか、そういうことはないですからね。遅れるとしても、ある程度は読めちゃうので。
 そういう意味だと、インとアウトに関しての儲け幅というのは、銀行レース的に読めるところがあると思うんですよね。

岡田:これまでは、アニメーションの制作予算について、「これくらいの予算だろうな」って、日本の「制作委員会のおじさんたち」がなんとなく決めた枠というのがあったところから、中国資本とかAmazon、Netflixとかが入ってくることによって、大きく変わりつつありますよね。

日本はアニメ後進国?

 次は、「日本はアニメ後進国?」という話ですね。
 河森正治監督という『超時空要塞マクロス』シリーズにおいて中心的な役割を果たしたクリエイターがいるんですけど、その人が、自分の新作アニメの発表会の中で、「日本のアニメはいつの間にか後進国になっていた」と発表しました。

 河森正治監督が20日、東京都内で行われたDeNA、創通、文化放送の3社が、合同でオリジナルアニメを制作する新規プロジェクト「Project ANIMA(アニマ)」の発表会に登場した。
 河森監督は、昨今のアニメシーンが話題になると「学園魔法ものが何作品もあったり、テンプレートがあって、なんでこんなに似てしまうのかな?と思うこともある」と話し、「作品数がたくさんあって、一見活気があるようだけど、世界の動きを見ていると、日本はヤバい。いつの間にか後進国になっている」と警鐘を鳴らした。
 ――と、こんな出来事があったそうです。

 これについては、わりとネットニュースにも流れて。まあまあ、「河森くんだったら、そういうふうに言うのもわかるかな」とは思うんですけど。
 僕個人の意見から言うと、河森くんの苛立ちもわかるんだけど、ガンダム放映前の日本のアニメ界というのも同じようなもんだったって思うんですよね。
 『機動戦士ガンダム』が放映される前って、ロボットアニメが、もう、腐るほどあって、しかも、そのすべてがテンプレートで「1話毎に変な敵が出てきて、新兵器でやっつける」っていう、同じような内容の繰り返しだったんですよ。
 あの頃のテンプレートよりは、今のほうがまだマシじゃねえかって思うんですよね。
 なので、公開されるアニメ作品の傾向については、さほどヤバいとは思わないんです。

 どちらかというと、アニメ界の危機っていうのは、「アニメ業界に行きたがる人が減っていること」だと思うんですよね。
 今の大多数のファンにとってのアニメというのは、完全に「見て楽しむもの」になっている。

(中略)

 ニコ生で、僕がこれまで話してきた『機動戦士ガンダム』とか、『この世界の片隅に』とか、『風の谷のナウシカ』といった名作を、どうやって読めばいいのかを解説した、『大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ』という本が出版されます。
 タイトルだけ聞くと、「日本のアニメはすごいぞ!」とか、「こんなふうに売れてるぞ!」みたいに聞こえるんですけど、これはKADOKAWAから出てるからビジネス書っぽいタイトルが付いているだけで、実際は、「どう読めば面白いのか?」をひたすら語ったという内容なんですね。
 12月28日発売で、Amazonでは、もう予約を開始していますので、自分へのクリスマスプレゼントとして、ぜひ、1冊お願いします。

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