岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/11/19
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/11/11配信「『紅の豚』完全解説 後編〜削除された幻のEDを復元!ポルコはジーナから●●ていた。ポルコの魔法が解けない理由とは?」の内容をご紹介します。
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2018/11/11の内容一覧
- 私小説とエンターテインメントを両立させた『紅の豚』
- ジーナとポルコは結局どうなったのか?
- 私小説としての『紅の豚』解説
- 鈴木敏夫が宮崎駿を怒らせた話
- ポルコはなぜ豚になったのか?(前編)
- ポルコはなぜ豚になったのか?(後編)
- 若き宮崎駿や高畑勲は、女の子にモテたのか?
- なぜフィオのキスで元に戻ったのか
- 松本零士が『キャプテンハーロック』で描いた「豚」
- 『紅の豚』を10倍愉しむための雑学
- 曲芸飛行機乗りの生き様を描いた『華麗なるヒコーキ野郎』
- 郵便飛行士を描いた、サン=テグジュペリの『人間の土地』
- 宮崎駿が抱き続けた「裏切り者」としての意識
- 高畑勲の私小説『平成狸合戦ぽんぽこ』
ジーナとポルコは結局どうなったのか?
では、「ジーナとポルコの仲は、結局どうなったのか?」の解答編に入っていきたいと思います。
これは、スタッフロール前のほとんどラストシーンで映る1コマです。
(パネルを見せる)
「ジーナさんの賭けがどうなったか私達だけの秘密……」というフィオのモノローグと共に映されるカットですね。
誰もいない東屋を映すことで「結局2人がどうなったのかはわからない」ということを語っているんですけど。この賭けの結果については簡単で、『紅の豚』の作品内で答えが出ています。
(パネルを見せる)
これは、物語が終わった後、成長して大人になったフィオが、おそらくは自分でデザインしたジェット飛行艇で、ホテル・アドリアーノに行くカットです。この絵の中に答えがあります。
(パネルの1部分を指さして)
ここに「赤い飛行艇」が映ってるんですよ。
まあ、これについては気が付いていた人も多いと思いますけども。
ちょっとだけ付け加えさせていただくならば、ここで映る、フィオが自分でデザインした飛行艇が、なかなか細かく描いてあるところですね。フラップがちゃんと降りていて、エアブレーキが開いていて、「前縁スラット」という着陸の際に揚力を生む乱気流を発生するための部分が開いてて、なかなか凝った仕掛けになっています。
ちゃんとポルコの飛行艇が、桟橋に停まっているのが映っているのがわかりますよね?
この桟橋は「ジーナ専用の裏庭」に直結する桟橋なんです。ここに真っ赤なサボイアが停まっている。なので、単純に映画を見ていると「ああ、ポルコはジーナの元に行ったんだ。昼間にアドリアーノに出かけて、きっと人間に戻ったんだろう」と思うところですね。
これが「普通の見方」です。
「ポルコとジーナがどうなったのか?」については、もちろん、そういった解釈でも構わないんです。
だけど、冒頭でも言った通り、この『紅の豚』というのは「作者の表現したいこと」が何層にも重ねて作られている作品なんですよ。
もちろん「カーチスとの対決の後でボコボコになったポルコは、フィオのキスのおかげで人間に戻りました」という幸せな話と捉えても全然構わないし、「人間に戻れなくても、ジーナと一緒に暮らしました」という、ちょっと苦いハッピーエンドでも、もちろん構わないんです。
でも、宮崎駿は、もう1つ別のラストを用意していたんですね。
それが何かというと、さっきのシーンからの繋がりなんですよ。
「ジーナさんの賭けがどうなったのかは、私達だけの秘密……」というフィオの声のナレーションが入った後、絵コンテではどうなっていたのかというと。
(パネルを見せる)
「ガーッ!」というジェット機の音が入って、いきなりジェット旅客機が飛んでいる様子がドーンと映るんです。
そして、それを颯爽と追い抜くポルコの飛行艇。
次に、ジェット機の中から見たポルコの飛行艇が見えます。二重反転プロペラで、超高空を音速以上の速度で飛んでるわけですね、こいつは(笑)。
そして、操縦席のポルコが親指を立てるサインをして、そのままジェット機を追い抜いていくところで終わる。
これが、本来、宮崎駿が描こうとしていたラストシーンなんです。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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