岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/11/23
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/10/28配信「新発見『もののけ姫』サンとエボシ姫は親子だった?!シシ神の正体は?」の内容をご紹介します。
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2018/10/28の内容一覧
- 前説
- サンはエボシ御前の娘だった?
- 山犬モロの秘密
- モロがアシタカに見たもの
- 『もののけ姫』は『火の鳥』+『ゴジラ』+『七人の侍』
- ゴジラは神様
- ディズニーとの戦いと海外での評価
- 日米の文化格差
- 声優と主題歌から見える宮崎駿の創作哲学
- ジコ坊の謎
- この世に2柱の神様はいらない
- 「シシ神の正体」と「宮崎駿にとっての映画を作る意味」
- 宮崎駿が映画を作る理由
- ラスト以降、登場人物たちはどうなった?
モロがアシタカに見たもの
もう、この辺の「人間が許せない!」みたいなモロの台詞よりも、「モロ自身は、縁もゆかりもまったくない人間の赤子、噛み殺してもいいはずのサンを拾って、ずーっと大事に育てて来た」とか、「なおかつ、その愛してやまないサンを、いずれ人間の世界に返そうと思っていて、アシタカがそれの助けになると思い、少なからずの望みを抱いていた」という部分を見るべきだと思うんですよ。
アシタカがねぐらの中で、傷にうなされて寝ている時には、屋根の上に、ずっとモロがいたわけですよね。
モロは、アシタカが起きて来た時に「お前が一言でも唸り声を上げようものなら、噛み殺してやろうと思ったぞ」とか言うんですけど。
これがどういう意味かというと、アシタカは右腕が呪われているんですけど、モロもモロで、エボシの鉄の銃弾にやられて、死に掛けているんですよ。
両者共、まったく同じ状況だったんですね。両者共、自分がタタリ神になりそうなのを抑えているから、余計に苦しいんです。この痛みを他者への恨みに変えれば、2人共、簡単にタタリ神になれて、楽になるんですよ。
でも、アシタカは、うなされつつも、それを恨みに変えずに必死に耐えていた。
そんなアシタカを見て、モロも「こいつと同じく、この痛みをタタリ神にせずに、ここで一人死んで行こう」と考えていたんだと思います。……まあ、「エボシの頭だけは噛み砕いてから死ぬ!」とは言ってるんですけど。
つまり、モロは、自分自身の負の感情に負けずに、苦しみに耐えるアシタカを見て「可愛い娘を任せられる男だ」と見たんでしょう。
でも、宮崎駿は相変わらず、そういうことをアニメの中ではまったく書いてくれないんですよね(笑)。
そうではなくて、モロに怖い台詞ばっかり言わせるから、すごく怖いバアサンみたいに見えちゃうんです。
だけど、本当のモロというのは、いろんな人を冷静に観察しているような重要な役になっているんです。
だから、モロの声優を務めた美輪明宏は、宮崎駿から色々と設定を聞いた後、ものすごく喜んだそうです。
美輪明宏から「うわあ、そういう役なんですね。……でも、ちっともそれを書かないんですね」と言われた宮崎駿が「そう。書かないんですよ」と、嬉しそうに返すというやりとりが、ドキュメンタリーの中にも収録されています。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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